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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第八章

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聖王国の力

 結局夜襲などが起こることもなく、反魔王同盟に関する作戦は終了した。まだ敵が聖王国に残っている可能性は否定できないが、今後もヘレンなんかは調べていくだろうし、国も動くだろう。俺達の出番はなさそうだ。


 そうした中でヘレンはギリュア大臣を打倒するために作戦を行っていたわけだが……三日目が終わろうとしている時に、ようやくヘレンはそちらの作戦が終了したことを報告してきた。


「結果としてはどうなる? 政治の世界は大きく変わるのか?」

「そこはまあ、まだわからないかな」


 ヘレンは俺へそう述べたが、表情からは満足げな感じだったので、彼女としては作戦成功、ということなのだろう。

 ま、ヘレンの頑張りがどこまで影響するのかについては、じっくり見ていくとしよう……ただ一つ気になるのは、


「ヘレン、仮にギリュア大臣が失脚したとしたら、どのくらい影響が出る?」

「わからない。あの人は色んなことに首を突っ込んでいるし、実際いなくなることで色々騒動が起きるかもしれない」

「……痛みは伴うか」

「絶大な権力者であるのは間違いないからね。でもまあ、人々の暮らしに影響が出ないよう頑張るつもりではあるよ」

「……大臣がいなくなったことで、暮らしが悪くなったとしたらそれはそれで今の王様に不満を持つ人間が増えると思うぞ」

「もちろんそこはわかってる。ここが踏ん張りどころかな」


 ――様々なことを見通している様子なので、俺はこれ以上言及しなかった。どうあれ反魔王同盟に関する騒動は打ち止め、と思って間違いないだろう。


 そしてさらに翌日になって、反魔王同盟の拠点に残されていた情報などの考察が始まった。それによると反魔王同盟が人間界で活動していた際、そのリーダーであったのは夜襲を指揮した総大将の魔族と、俺達が戦った魔族レイオンであったらしい。そして二人が滅んだことで退却するという旨の資料も発見。今後も警戒はするが、反魔王同盟の魔族が魔界へ退却したのは間違いないだろうというのが騎士団の見解だった。


 反魔王同盟は今後も人間界に侵略してくるのか……そこについては不明だが、組織がボロボロな状態かつ、情報をやりとりしていたギリュア大臣の権力基盤が揺らぐとなったら侵攻することも難しくなる……はずだが、大臣に関してはヘレン次第か。

 結果がわかるのは、当面先になるだろう。今後はヘレンが手にした情報とギリュア大臣との綱引きが待っている。権力を維持できるか否か……それによって魔界の動きも変わる。しばらくの間は政治の情勢を要チェックだな。


 あと気になることとしては、ヘレン自身が権力の中枢に居座るといったわけではないみたいだし、彼女の立場がどうなるのか……ま、ここも可能な限り調べることにしよう――






「それじゃあ、行くか」


 そして作戦開始から五日後、俺とミリア、そしてアルザの三人は砦を出ることとなった。一度レインダールを訪れ、そこから先どうするのかについてはその場で話し合う、ということに。

 既にニックとその仲間は砦を離れており、俺達は一歩遅れた形だ。現時点でヘレンの作戦により大臣がどうなったのか、ということについてはわからない。ただ彼女も砦を離れていて、反魔王同盟との作戦で構築した厳戒態勢も終わり普段通り戻っている。町も既に平穏を取り戻しているだろうし、一連の事件は全て収束、ということで良いだろう。


 砦から出た時、見送りにいたのはレグト。彼は最後までここに残って後処理をするらしい。


「冒険者ギルドを通して報酬は支払います」

「わかった。レグトも無理はするなよ」

「はい、ありがとうございます」


 簡単な挨拶と共に俺達は砦を離れ、街道を歩き出す。レインダールへ向かう街道は様々な人が往来しており、おそらく普段通りの景色が広がっているのだろう。


「……いずれ」


 と、ふいにミリアが口を開いた。


「反魔王同盟は諦めず、再び攻撃を仕掛けてくるかもしれないわ」

「かも、しれないな。でも魔王が滅んだ最大の好機である今は失敗した。当面の間は大丈夫だろう」


 それが何年、何十年なのかわからないけど……。


「それにミリア。人間からしたら魔王も反魔王同盟もあまり関係がない。同じ魔界から侵攻してきた魔族だ。今後は謀略を警戒し、もう二度とこんなことをさせないよう、仕組みを変えていく……それで、大丈夫だと思うぞ」

「そう、ね」

「陣頭指揮を執っていたヘレンはそれが一番わかっている。王族も新たな脅威であるのを考え、さらに大臣クラスの人間が関わっていたことを踏まえ、何かしら対策は出すだろうさ。だから、ミリアが気にする必要はない」

「……わかったわ。後は聖王国の力を信じましょう」


 そんな結論を出しつつ……俺達は、レインダールへ向け歩き続けた。


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