表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

435/487

籠城する魔族

 俺達とニックは揃って拠点となる砦を出た。そして近くに存在する森まで移動し、その一角に転移魔法陣が構築されているのを発見する。


「どうぞ」


 近くにいた騎士の一人が俺達へ宝石を手渡す。そして騎士レグトもまた宝石を受け取ると、


「転移魔法陣近くには、こうして騎士が常駐しています」

「転移する際は、騎士から触媒を受け取って、というわけか」


 周囲を見回す。作戦の要である転移魔法陣が壊されないよう、それなりの人数騎士と兵士が集っている。

 ここで、ニックに声を掛ける騎士が出現。彼らがニックと共に戦う騎士……つまり、ニックの無茶についてこれるようにとヘレンが選抜した面々だ。


「レグト」


 俺はそうした光景を見ながらレグトへ問い掛ける。


「作戦開始はもうすぐだが……終了予定時刻は?」

「さすがに一日では終わると思っていません。長ければ三日ほどでしょうか」

「つまりこの三日でヘレンは決着をつけようとしているわけか」

「はい」


 ……それはギリュア大臣を打倒するための作戦についても同じだろう。人員の規模を考えると、転移魔法陣構築を含めて三日程度しか作戦を維持できない、という可能性もありそうだ。

 俺は今一度作戦概要を頭の中で整理。俺達とニックは同じ場所へと転移し、まず現地で騎士と合流して行動を開始する。状況に応じて動くという形であり、俺達とニックが別行動になるのかは、戦場の状況次第だ。


 そうした中で俺は転移魔法陣に使用する触媒とは別の宝石を使い、騎士や兵士に強化魔法を掛ける……テストした際の効果は上々であったし、並の魔族や魔物相手であれば十分過ぎるほどの援護になるだろう。

 アルザとミリアはひとまず俺と共に行動し、状況に合わせて動くという形なのだが……ニックが最前線で暴れるなら出番はないかなあ、などと思いつつ、


「それでは、向かいましょう」


 レグトが言う。そして俺達は転移魔法陣の上に――乗った。


 次の瞬間、手に持っていた宝石が光り輝き、パキパキとひび割れて割れた。それと同時、魔力が俺の体を覆い尽くす。刹那、視界が真っ白に輝いて……やがて、視界が開けた。

 そこは森の中……ではあるのだが、どう見ても先ほどの場所とは違う。周囲を見回すと、ここにも幾人の騎士や兵士が動いており、転移魔法陣を守っている。


「到着だな……ずいぶんとあっけないが」


 アルザやミリアは何か異常がないか体を確かめている……その間にレグトは近くにいた騎士へ声を掛ける。いくらか会話をした後、


「……ディアスさん、既に攻撃は始まっているようです」

「なら、現地へすぐ向かうとするか。敵の拠点の詳細とかは?」

「道すがら説明しましょう」


 ――移動を開始し、その道中でレグトから説明を受ける。敵の拠点は木造で作られた砦。といっても魔族が建設したわけではない。元々、盗賊だか山賊だかそういう存在が人目を忍んで建設したものを、そのまま利用しているらしい。


「一応、木製ではありますが簡素な城壁などが存在し、遮蔽物があるため攻城戦のような形になっているようです」

「質問」


 と、ニックが小さく手を上げる。


「砦ごとぶっ壊すというのは?」


 ずいぶん物騒だが木造であるならそれも選択肢の一つ……けれどレグトは首を左右に振った。


「敵も砦の強度についてはわかっているようで、魔法によって強度を上げているようです。元々が木製であるため、破壊は可能だと思いますが……」

「破壊工作をしている間に魔族の妨害が来るだろうな」


 俺の発言に対し、レグトは小さく首肯する。


「はい。しかしディアスさんの強化とニックさんの能力があれば――」

「なあレグト」


 ふいにニックが意味深な笑みを浮かべながら騎士の名を呼んだ。


「確認なんだが、魔族が拠点としている砦……そこに増援などが来る可能性はあるのか?」

「観測している範囲では、籠城する魔族と魔物以外に気配はないようです。なおかつ、騎士が作戦により攻撃を仕掛けている場所から援軍が来る可能性も、距離的な問題で低いかと」

「そうか……なら、とにかく砦の攻略に注力し、逃がさないようにすればいいってことだよな?」

「はい。現在騎士達が砦を囲むように布陣しています。簡易的な結界を用いて退路を塞いでいますが、さすがに本気で逃亡されたら成功してしまう。よって今は退路を塞ぐ形で攻撃を行っており、その結果城門への攻撃に戦力をあまり割けない状況となっている」

「ディアスの強化魔法で逃亡防止用の結界を強化することはできるのか?」

「……結界を構成する人間も強化されるので可能かと思います。あの、何か思いついたのですか?」


 問い掛けるレグトに対しニックはなぜか俺に視線を向けた……そこでこちらは、


「なるほど、無茶やろうとしているな」

「ディアスはどう思う?」

「……レグト、魔族の能力は?」


 その問い掛けにレグトはざっくりと語る……うん、ならば、


「攻城戦により戦闘が長引けば、怪我人なども多数出るだろう。多少、リスクはあるけど俺とニックが組めば状況を打開できる……もちろん、指揮をするレグトが許可するならの話になるけど――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ