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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第八章

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状況説明

 旅を続け、俺達は予定通りの行程を経て目的地へと辿り着く。そこは騎士団の大規模な駐屯地である、城壁を備えた砦。作戦が始まるためなのか、それとも周囲で魔物や魔族が動いているためなのか、外からでも中でざわついているのが聞こえる。


 門番に声を掛けると俺達はあっさりと中へ通された。そうして案内されたのは、大きな客室。するとそこには、


「よっ」


 ――英傑の一人、ニックがいた。


「ああ、やっぱりいたか」

「なんだ、驚くかな期待していたのに」

「今回の作戦は大規模なもので、英傑だって参加するだろうというのは予想できる……で、ここに動員できる人材はニックくらいだろうと考えていたわけだ」

「そういうことか」

「……他の仲間は?」


 客室にはニックだけ。彼と共にいる仲間の姿はない。


「今回仲間は別行動だ。ヘレンがやって欲しいことがあると言ってさ」

「ここにはヘレンもいるのか?」

「ああ、砦内を忙しなく動き回っているよ」

「……ニックの仲間達には、大臣のこととかは話していないよな?」

「まあな。ただそのことが原因で一緒に戦わないということじゃない……ヘレンとしては本心からやって欲しいことがあるみたいだ」


 ――ニックの仲間も魔王との戦いにはせ参じた面々。ヘレンは彼らの能力もつぶさに理解しているはずであり、だからこそやって欲しいことがある、ということか。


「ところでディアス」

「ん、どうした?」

「そっちは色々活躍しているみたいじゃないか」

「ヘレンから聞いたのか?」

「おう。それとアルザ。闘技大会準優勝おめでとう」

「どうも」

「なんだか淡泊な反応だな。優勝したかったのに、とか悔しがってもおかしくないだろ」

「結果には満足しているし」


 あの大会の結果、アルザとしては理想的な展開になったからな……と、ここで部屋の扉が開いた。目を向けると現れたたのはヘレン。


「来たね、ディアス」

「正直、最近顔を合わせすぎて一緒に行動している仲間だとさえ思えてくるぞ」

「まったくだね……さて、いよいよ本格的に作戦を開始する。この戦いで反魔王同盟と呼ばれる組織に所属する魔族を倒し、そこに繋がっているギリュア大臣を倒す。そのために、気合いを入れて欲しい」


 俺達は一斉に頷いた。厳しい戦いになるが、覚悟はできている……それが伝わったのかヘレンは満足そうに笑った。


「戦意は良し、だね。まずこの場所以外にいる『六大英傑』の動向を語っておくよ。まずはクラウス」


 彼女は俺達へ向け、語り出した。


「まだクラウスにはギリュア大臣のことは伝えていない……けれど、反魔王同盟の魔族を一網打尽にする、という作戦については伝えてある。クラウスには王都にいてもらって、王都襲撃のような攻撃がないよう警戒してもらうことにした」

「妥当な人選だな」


 俺は納得。彼が適任者であるのもそうだが、ギリュア大臣の事情を知らないので彼の行動によってヘレンの動向が怪しまれることはない。

 反魔王同盟への攻撃については真実だし、報復を警戒する意味でも王都防衛に回るのは当然だし適切だ。


「次にエーナについて。今回の作戦には騎士団以外にも戦士団とか、ギルドの冒険者とかも加わっている。そのため、彼女には冒険者ギルド側の人間として協力してもらうことになる」

「つまり裏方だな」


 俺の言及にヘレンは首肯。


「そうだね。事務方の仕事で手一杯になるだろうから、戦場に立つことはないんじゃないかな?」

「クラウスも王都の防衛に集中するだろうから、戦場に立つことはなさそうだな。仮に戦う場合は有事の際……つまり、王都が攻撃された時だけ」

「そうなるね。ま、王都は多数の戦士団もいて、前のようにはならないようにしている。さすがに二度目はないよ」


 最大限警戒しているクラウスが目を光らせているのなら、大丈夫かな……俺はそう思いつつ、


「クラウスとエーナの二人は組織において重要な立ち位置だから当然だな……で、だ。問題は騎士や参戦する戦士達の中にギリュア大臣と繋がりのある人間がいるのかどうか」

「そこはいるという前提で行動する」


 キッパリとヘレンは発言。となると、


「あくまで反魔王同盟の魔族と戦うための戦力、ということか」

「そう。ギリュア大臣を追い詰める作戦の戦力は、主に私と配下が担当する」

「人員、足りるのか?」

「まあ大丈夫かなという感じ。リューオン研究所を始め、踏み込むタイミングもちゃんと考えてある」

「……確認だが、俺達はそっちに参戦する可能性、あるのか?」

「ないよ。ディアスも関わり合いになりたくなさそうだし」


 それはなあ……どこか苦い表情をしていると感じたのだろう。ヘレンは苦笑した。


「大臣の件は私情も多少ながら入っているし、それにディアス達を関わらせるのはかわいそうだと思っただけ」

「……とはいえ、出番がありそうなら言ってくれよ」

「ありがと」


 お人好しな俺の発言に対し、ヘレンは満面の笑みを作りながら礼を述べた。


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