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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第八章

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中央図書館

 レインダールを訪れた初日は、調査を開始する事前準備ということで宿探しを行い、長期戦になりそうだったので色々と生活物資なんかを購入することに費やした。


 部屋は今回、それぞれが個室となった。ここまでの報酬が十分過ぎるくらいなので、長期間滞在しても問題はない――ちなみにこの町にも冒険者ギルドはあるのだが、研究機関お抱えの魔法使いなんかがいるので、そうした施設関連からの依頼というのはほとんどない。ギルドへ入り依頼されている仕事を見ると、近隣の村や町からのものがほとんどだった。


 非常に規模が大きい町だし、周辺にある村などからも頼られているようだ……内容的に魔物討伐なんかもないし、おそらくこの町で仕事を引き受けることは、なさそうだ。


 そして、宿で一泊し……翌日、俺とミリアは行動を開始することにした。


「じゃあアルザ、自由行動で」

「うん」


 彼女は俺達から離れる。時間は朝だが、あの調子だと現時点で開いている店に突撃して大食いチャレンジでもするのだろうか。


「ま、町中だし騒動もないだろ……ミリア、行こう」

「ええ」


 そして俺達は図書館へと向かう。大通りには相変わらず観光客を始めとした人が多数いる。ただ学生の姿はあまりない。平日で、授業があるため……なのだが、どういう訳か通りを歩いている学生もいる。


「夕方とかになると学生なんかが図書館へ押しかけるかもしれないな」

「人が多くなって調査が滞るかしら?」

「館内ではさすがに静かにすると思うけどな……ま、人が多くなってやりづらくなったら退散すればいいさ。別に今日明日で決着をつけなければだめ、というわけでもない」


 ヘレンから作戦開始の指示が来るまで、ゆっくりやるとしよう……俺達は図書館へ辿り着く。名称としてはレインダール中央図書館。大通りを抜けた先にあるわけだが、周辺の人々は吸い込まれるように図書館の入口へ向かっていく。

 間近で見れば、城のような迫力。城壁の類いはないのだが、図書館の周辺には警備兵らしき人間が結構いる。たくさんの資料が眠っている場所であるため、相応の警戒をしているということだろう。


 そして兵士にはこの町ならではの特徴がある……それは彼らが武器として持っている槍。明らかに魔力が封じ込まれている……魔力によって敵を攻撃する、強力な武器のようだ。


「兵士の能力も高いのかしら」


 突然ミリアが発言。俺と同じ場所を見ていたらしい。


「魔力が込められた槍よね、あれ」

「兵士自身も、魔法関連の教育を受けた人間なんだろうな。確かに兵士の質は高いかもしれない……ま、この町を狙うような輩はそれなりに武装もしているだろうし、相応の武器が必要、という話なんだろうな」


 会話をしつつ俺達は図書室へ――ちなみに、今日の出で立ちは格好自体は普通だが武器は持っていない。さすがに図書館へ赴くのに武器なんか所持していたら門前払いされるためだ。

 入口の大きな扉を抜けると、広々としたエントランスが出迎えてくれた。目が回ってしまうくらいには入口から通路が多数延びていて、見て回るだけで一日が終わりそうなくらい、広い。


「すごいわね、これ」


 ミリアは驚嘆しつつ声を上げる。俺はこの場所を訪れるのは二度目なのだが、それでも圧倒されている。彼女の驚愕は無理もないだろう。

 しかし呆然としているわけにもいかないので受付へ向かう。そこで入館するために手続きをする必要がある。


「ディアス、手続きって具体的には?」

「身分を証明する物を提示することだ。この町に住んでいれば住民票が発行されるから、それを示せば終わりだけど、外の人間はちゃんとした身分だと証明する必要がある。まあ冒険者ギルドを始めギルド関係に所属している証明書か、あるいは暮らしている町の住民票とかがあればいい」

「それを必要とするのは何か理由が?」

「単純に身元の確認をしたいんだろ。入館する人数が多いし、本を盗み出すような輩だっているからな。そういう人間を弾いたり、騒動が起きた際に容疑者特定に使うってことさ」


 俺は受付でギルド証を提示する。それであっさりと入館を認められ、ミリアも付随してオッケーが出た。

 よって俺達は早速館内を探索する……前に、目的である魔王に関する文献の場所を調べる。


「館内の案内地図だけでも相当ね……」


 無料配布されている館内地図を見てミリアは言う。確かに、館内エリアが詳細に書かれた地図は少しばかり厚みがあった。


「魔王、魔族に関する資料の場所は……あった。魔界と常に対峙し続けた聖王国だからか、結構エリアが大きいな」

「この中から探すのはなかなか大変そうね……」

「エリア内に資料内容に関する詳細な案内板があるみたいだし、それを参考にして探していこう……ただ、長期戦は覚悟しないといけないだろうな」

「体が鈍りそうね」

「まったくだ。折を見て運動はした方がよさそうだ」


 俺とミリアは進み始める。目的のエリアに到達するまでに様々なエリアを横切ることになったのだが……動物関連のエリア、あるいは建築関係のエリア、はたまた植物関連のエリア……どの場所にも朝だというのに人が多数いて、本や論文を読んでいた。


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