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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第七章

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魔族がいる洞窟

 森の中に存在する洞窟へ急行する途中、俺達は魔物と遭遇する。見た目としては骸骨騎士――明らかに森にそぐわない姿をしており、魔族達が生み出した魔物であることは一目瞭然だった。

 そんな相手を騎士は一撃で葬り去ることに成功する。斬撃は速い上に鋭く、魔物達に攻撃させる暇すら与えさせないほどだった。文字通りの瞬殺で森にいる魔物を全て対処しつつ、あっという間に洞窟前に到達した。


 そこは明らかに魔族特有の気配を漂わせており、並の戦士ならば悲鳴を上げて逃げ帰るくらいの圧はあった。しかし、騎士達は怯むことなく洞窟を見据え警戒している。


「索敵を開始します」


 そうした中で魔法使いがヘレンへ向け宣言する。同時に入口周辺を囲むように騎士達は布陣。洞窟の外で見張る騎士と、中へ侵入する者とで分かれるわけだ。


「ヘレン、俺達は?」

「どう立ち回るかは仲間の能力を見極めて判断して欲しい」


 戦士団も話し合っている。ふむ、であれば、


「ミリア、ヘレンの護衛を」

「わかったわ」

「ん、必要ないけど?」

「念のためだ。魔族が自棄を起こして英傑であるヘレンへ突撃してくる……などという可能性がゼロじゃない。後方で指揮をするのであれば、ちゃんと守りは固めないと」

「……わかった。ならディアスの好意に甘えるとする。アルザとディアスは潜入でいい?」

「ああ、俺はアルザを援護しつつ立ち回ることにするさ」


 彼女を見ると頷き返す姿が――魔族相手に絶対的な力を持つアルザが、この場における戦いの最適解だろう。

 もし、ギルド本部襲撃の際に遭遇した技術……ああいったものと対峙する場合でも、今ならば対処できる。似たような技術を持っていたとして、それがオージュ由来であったならば俺は強化魔法であの魔力に対処する術を構築できる。これは彼と一緒に研究したことによる、成果だ。


 もっとも、修行を経て強くなったアルザに俺の援護は必要ないだろうけど……やがて索敵を行っていた魔法使いが発言した。


「森に魔族はいません。魔物はまだ残っていますが……」

「襲い掛かってきたら入口で待機する者達で対処できるだろうから問題はなし。それじゃあ、潜入を始めて」


 最前線に立つ騎士が、洞窟へと入る。俺やアルザはそれに追随し、戦士団も半数は中へ入ることにしたようだ。

 俺達の後ろをさらに別の騎士や魔法使いが固め――真正面から、濃密な魔力。中の構造については魔物の巣だった頃の情報はあるが、同じとは限らない。最悪、ダンジョン化している可能性も考慮に入れないといけないのだが――


「……どうやら、その線はなさそうだな」


 感じ取れる魔力から俺はそう判断した。魔族が造る必要がないと考えたのか、それともそうした技術がなかったのか。


 考える内に、真正面から魔物の気配。騎士達は臨戦態勢に入り……やがて、骸骨騎士が多数押し寄せてきた。

 すると騎士達は即座に応戦。剣を握る魔物に対し一閃し――機先を制す形で先頭にいた魔物を倒した。


 そこへ俺や魔法使いの魔法が突き刺さる。骸骨騎士は完全に隊列を乱し、動きも鈍くなった。加え、ここに来てダメ押しとばかりにアルザが仕掛ける。退魔の力――闘技大会を経て強くなった彼女の剣は、薙ぎ払った剣が当たった魔物だけでなく、斬撃によって発した剣風でさえ、魔物を蹴散らすほどの威力を出した。


 一気に魔物が消失するのを見て騎士からどよめきが上がる。まあアルザの実力であれば、このくらいはやってもらわないと。

 俺は意識を集中させ、洞窟奥を見据える。まだ魔物は断続的に来るのだが、その勢いはいささか弱くなった。これならさらに前進することは可能だ。


「選択肢は、二つだな」


 俺が呟くと、先頭にいた騎士が振り向く。


「選択肢とは?」

「ある程度数が減るまでこのまま魔物と戦い続けるか、魔物を無視して先へ進むか」

「……少し、様子を見ますか」


 騎士はそう判断した。俺達はそれに従い、各々動き出す。

 とはいえ、戦い続けるといってもそう時間は掛からなかった。およそ五分ほど経過した時、俺達へ接近する魔物は完全に消え失せた。


「思ったよりも数が少ない……というわけではありませんね」


 騎士が言う。まあ、数はそれなりに多かった。時間をかけずに倒せたのは強化魔法によって騎士達が魔物を瞬殺できるようになったためであり、ヘレンが狙っていた量より質、という面による影響が大きい。

 そこに加えてアルザの退魔や戦士団も貢献した……彼らの動きもかなり良く、魔族との戦いにおいて十二分に活躍してくれるはずだ。


 さらに言えば魔物が押し寄せてきたにしろ、奥からパラパラと来るような形で、各個撃破みたいな流れで倒せたのも大きい。もう少し戦い方に工夫があれば、面倒なことになっていたかもしれないが……軍略という点については正直たいしたことない。


「……先へ進みます」


 騎士が言う。そして俺達は洞窟の奥へと踏み出した。



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