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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第七章

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量より質

 数日掛けて俺達は逃げる魔族を追う騎士達と合流。彼らは駐屯地の砦に集合しており、ヘレンの案内によって砦へ入り話を聞くことに。


「魔族が逃げた場所はわかっています」


 砦内にある会議室に案内され、騎士が地図を広げヘレンへ向け説明を施す。彼が指し示したのは、森の中だ。


「ここには過去、魔物が巣を形成していた洞窟があります。魔法によりそこを確認したところ、魔族が複数いることがわかりました」

「複数……か」


 俺は呟きながら地図を眺める。街道や町が囲うように森が形成されている。おそらくここには元から魔物が多数いて、開拓することができず放置されたのだろう。現在も魔物が巣を作ってもおかしくないくらいには人気がない場所になっている。


「ただ、精査した限り高位魔族はいません。私達が交戦した魔族も、能力的には下級から中級、といったところです」


 ――下級、中級というのはあくまで人間が用いる場合の指標だ。魔力の規模から魔族の能力を探り、ある程度のランク付けをする。魔族が複数体、あるいは高位魔族がいたら国側は騎士団だけでなく戦士団などに依頼を行う。

 無論魔力量だけで判断するのも危険なので、多角的な分析をちゃんと行うわけだが……騎士が語った内容も、複合的な考察を経ての結論だろう。


「けれど徒党を組んでいる状況から、非常に危険だと判断しました」

「確かに、下級とか中級とかいう判定であっても、数がいれば厄介よね」


 ヘレンは騎士の言葉に頷きつつ、質問を行う。


「今回の戦いに参加していた戦士団は?」

「現在は最寄りの町で待機してもらっています。招集を行えば手を貸してくれます」

「戦士団の名前は?」


 ――名称を騎士は述べたが、俺は知らない。この周辺で活躍する戦士団らしい。


「わかった。それで魔族は逃げてから動いていない?」

「はい。他の魔族と手を組み反撃の機会を窺っているものと思われます」


 ならば、どうするのか……俺やミリア、アルザが無言でいる中でヘレンはさらに話を進める。


「今回の騒動についてだけれど、改めて戦いに至った経緯を説明してもらえる?」

「はい。聖王国内で魔族や魔物が活動していることを聞き、この地方でも警戒を強めていました。その折、魔族の姿を観測し調査を行っていたところ遭遇してしまい、なし崩し的に交戦する形となりました」

「魔族の目的とかは?」

「わかりませんが、どうやら隠密に活動していたようなので、ダンジョンのような拠点を築く準備をしていたと推測しています」


 ……魔物のヌシの所へ魔物を派遣するなどしているし、拠点を作ろうとしている、というのはあながち間違ってはいないのだろう。

 俺達は山の騒動を魔物のヌシと協力して解決したわけだが、事態がより進展して聖王国側が認知するようになった段階だと、既に手遅れになっていたのかもしれない……あのまま青い瞳を持つ魔物が大量に増えていれば、とても村人を守り切るというのは難しかっただろうし、場合によっては魔物のヌシについても立場を脅かされていた。


 そうなると、魔族に山を奪われていたことになる……あんな場所にダンジョンなんて形成されていたら、厄介極まりない。

 けれど、俺達は早期に魔物と遭遇して撃破することができた。魔族はさらに自分も逃げる羽目となり、まさに踏んだり蹴ったりというわけだ。


 ただ聖王国側としても魔族が複数体いるということで話は穏やかではない……拠点をあぶり出して事件解決どころか、聖王国にとっても面倒な状況が浮き彫りになってきたな。


「他に魔族がいそうな気配はある?」


 ヘレンはさらに騎士へ問い掛ける。


「逃げた先に魔族がいるのはわかったけど、他の場所は?」

「広範囲に索敵を行いましたが、怪しい場所は見つかりませんでした」

「そう。とりあえず他に拠点があったとしても、援軍が来れそうにはないくらいの距離ってことね」

「攻め込むのか?」


 俺はヘレンに問い掛ける。


「正直、魔物の巣だった洞窟と複数体の魔族……結構な戦力を集結させないと危険だぞ」

「確かに、現状の戦力だとリスクが高い。ただ、動員できる騎士にも限界はある」

「隣接する地方に呼びかけを行っているのですが」


 と、騎士は俺達へ語る。


「どこも騒動に対し警戒をしているため、正直厳しいですね」

「戦力集めをしないといけないけど、あてはないのか」

「まさしく」


 ――さすがに人手不足を一朝一夕で解決するのは無理だろう。ヘレンとしてはどうするつもりなのか。


「ふむ、ここは少しばかり強引な方法が必要かな?」


 ヘレンは言う。強引って何だ?


「ディアス、今回戦いに参加する騎士や戦士全員に強化魔法って付与できる?」

「量より質、ってことか?」

「そう。私の名を使って騎士を呼ぶにしても時間が掛かる。その時間で魔族は態勢を整えるだろうし、可能であれば一気に攻撃したい」

「現状の戦力で、戦うか……いつも使う簡易的なものではなく、しっかりしたものが必要だな」


 俺は内心で大変そうだと覚悟を決めつつ、


「わかった――が、魔族にも対抗できるだけの戦力アップを望むなら、相応の準備が必要だ――」


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