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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第七章

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有力な情報

 昨日と同様、外では金の瞳を持つ魔物が待っていて、俺達を視界に捉えた瞬間に背を向け歩き出した。まったく同じ流れで俺とミリアは森へと入り……同じ場所で魔物のヌシと顔を合わせた。


『改めてお礼を。ご協力ありがとうございました』


 そして魔物のヌシは礼を述べるところからスタートした。


『昼間、青い瞳を持つ魔物の長を倒したことで、全て消滅しました』

「ということは、ひとまず平和になったと」

『人間からすれば金の瞳を持つ魔物がまだ残っているじゃないか、と言われるところですが……おとなしくしていれば攻撃されることもないでしょう』


 うん、そういう流れになりそうだな……よって、騒動そのものは終結しそうな雰囲気ではある。


『では、情報についてです』


 そして魔物のヌシはいよいよ核心に迫る。


『結論から申し上げると、かの魔物は魔族の眷属だったようで』

「魔族自身はここに来ていないのか?」

『どうやらそのようです……というのも、他の場所で活動している様子』

「他の場所……?」

『具体的に言えば人間界ですね』


 俺は渋い顔をする。可能性としてはあり得た話なのだが、なんというか嫌な方向に話が進んでしまった。


『しかもここからさほど離れていませんね』

「……ということは、魔物が全滅したことを知れば魔族が来るかもしれないと」

『はい。ただ、どうやら現在その魔族も人間と戦っている様子』

「戦っている?」

『詳細はわかりませんが、町へ赴くことで知ることができるのでは?』


 それもそうか。冒険者ギルドに赴いて調べるべきか。


『ただ、その中で気になることが』

「気になること?」

『その魔族は人間界において言わば地盤固め……勢力を拡大するためにこの山に存在する霊脈を使おうとしたようなのですが、その動機が魔界を掌握するためだそうで』

「掌握……? ということは、魔王に関連する魔族なのか?」

『しかし魔物から引き出した情報によると、魔王という存在に対し否定的な考えを持っているようで』


 その言葉で俺とミリアは互いに顔を見合わせる。


「ミリア、これは」

「反魔王同盟のようね」

『ほう、魔王に反抗する勢力があるのですか』


 魔物のヌシは興味深そうな様子で俺達へ告げる。


『そういう勢力ならば合点がいきます。そしてどうやら、他にも手を組む魔族がいるようで』

「……ちょっと待て、魔物を取り込んだだけでそこまで情報が得られるのか?」

『魔族の眷属である場合、魔族の記憶が多少なりとも入り込んでいますので』


 ……これ、もしかして値千金の情報になるか?


『ただ全てを把握できるわけではありませんよ。今回の場合は魔族がそれなりに力を眷属に与えたために、ある程度情報を抜き取ることができたのです』

「反魔王同盟に関連する魔族の詳細はわかるか?」

『得られた情報による範囲であれば』

「メモするべきだな。ミリア、聞き覚えのある魔族かどうかの確認を頼む」

「ええ、わかったわ」


 ――そこから俺は魔物のヌシから魔族に関する情報をもらう。この山に魔物を派遣した魔族の名から、手を組んでいる他の魔族まで。

 反魔王同盟全ての情報を得たわけではないと思うのだが、ある程度魔族の構成は把握できた。これをヘレンに伝えれば、聖王国側としては非常に助かるはず。


 ただ、ギリュア大臣と関連しているのであれば、城側に情報を伝えた瞬間に魔族側と連絡をとって対策を立てられる可能性もある。この情報はかなり貴重だし、可能であれば有効利用したいところだが、公にするのはリスクがありそう。扱い方に注意しなければ。


「ミリア、名を知っている魔族は?」

「多少なりともいるわ。でも、主流派とはずいぶん違うわね……例えるなら、弾き者にされてしまった魔族というか……ただその中にも有力者はいる」

「結集したらそれなりの勢力ってことでいいのか?」

「ええ、そうね」


 名を知っているミリアだからこそ、色々と思うところがある様子……正直、俺達が得てどうしたものかといった感じだな。

 とはいえ魔族のことを知っている俺達だからこそ、情報の価値も大きい……と、ここで魔物のヌシは、


『もう一つ、魔族は人間とも関わっているようです』

「……俺達が遭遇した事件と関連しているかは不明だけど、反魔王同盟はやはり人間と手を組んでいるんだな」

『さほど驚いてはいませんね。何かしら根拠がある様子』

「そうだな。その人間は誰だ?」


 ――名を聞いたが聞き覚えがない。ギリュア大臣と関連しているのかはわからない……、


「ヘレンに伝えれば知っている可能性はある。一連の内容をひとまず彼女に報告するところから、だな」

「まさか、こんなところに来て有力な情報を得ることになるとは思わなかったわね」

「予想外だったけど、人が少ない場所は魔族が関わっている可能性がある……と、考えれば十分あり得た展開なのかもしれない……この情報を俺達が得た、という点については驚きだけど」


 俺は語りながら魔物のヌシと視線を合わせる。


「確認だが、反魔王同盟の最終目標とかはわかるか?」

『残念ながら、そこまで読み解くことはできませんでした』


 ま、仕方がないか……俺はそう思いつつ、さらに魔物のヌシと会話を進めた。


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