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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第七章

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魔物の殲滅

 際限なく出現し続ける魔物ではあったが、強化魔法によって騎士達も怪我なく対処でき、魔物の数は確実に減っていった。森から現れる数も徐々に減り始め、リーダー格の魔物の遠吠えによる増援自体も限界が近づき始めた。

 そして前方から攻め寄せる魔物の数が減った時、俺はここだと判断した。ミリアやアルザは問題なく、オージュも魔力に余裕がある。


「よし……決着をつける!」


 俺が声を発するとアルザが率先して足を前に出した。それと同時に襲い掛かってくる魔物だったが、その全てを瞬殺してリーダー格の魔物の真正面に空白が生まれた。

 アルザは走り出し、一歩後方をミリアが突き進む。魔物達はなおも俺達へ狙いを定めた様子だったが、騎士達がアルザと合わせるように前へ進み攻撃し始めたことで、俺達を狙う魔物は極端に少なかった。


 そして、いよいよリーダーの魔物と対峙する……が、間近でわかることとしては、決して凶悪ではない。魔物のヌシの方が圧倒的に存在感もあったし、何より魔族と比べてもプレッシャーはない。

 とはいえさすがに騎士達が戦うのは荷が重そうではある……近づくとさすがにリーダーの魔物も反応した。俺達を威嚇するように唸り、視線を向けてくる。


 逃げる様子はない――アルザの退魔ならば一撃で倒せそうではあるのだが、迂闊に退魔を使えばあっという間に滅び去る可能性がある。ならばどうするのか――


「ミリア!」


 と、ここでアルザが叫んだ。


「私は周囲の魔物を倒す!」


 つまり、ミリアがリーダー格を攻撃しろと。退魔の能力を踏まえれば、自分が露払い役になるというのは正解か。

 対するミリアは小さく頷くのが見えた……俺とオージュが魔法を使用し、横から迫る魔物達をまとめて消し飛ばした。それによってミリアとリーダー格の魔物との間にある障害は完全に消え失せた。


 今だ、と心の中で呟くと同時にミリアは魔物へ踏み込んだ。魔物は避ける素振りを見せず反撃で倒そうとする。

 とはいえ、この攻防については勝負は火を見るより明らかだった――ミリアの剣が魔物の頭部へ入った。途端、相手は吠え体勢を大きく崩した。


 彼女の斬撃は確実に効いた……が、頭部の奥まで入ったわけではなかったため、滅するには至らない。これは彼女の方が加減をしたという要因も大きいだろう。

 結果、魔物は攻撃するより痛みを誤魔化す方を優先した。魔物は再度吠え、俺達から大きく距離を置く。


「逃げる気か!?」


 隊長の騎士が叫ぶ。すると、リーダー格の魔物はさらに退いた。


 ――こっちにとっては理想的な展開。そして魔物は森の奥へ消えたのだが、周囲にまだ手勢は残っている。


「――俺達が追討する!」


 そこですかさず俺は隊長へ叫んだ。


「騎士達はこの場にいる魔物の殲滅、できるか!?」

「わかりました! 倒してください!」


 隊長が許可を出した。俺は頷き返し、


「オージュ! アルザ! 二人は騎士の援護を! ミリア、ついてきてくれ!」


 すかさず指示を出し俺とミリアは魔物を追う。後方で仲間や騎士が交戦する声を聞きながら、魔力を頼りに魔物を追う。

 そして、魔物の背中が見えたと同時に森を抜けた。現れたのは山の麓。そして坂を駆け上がろうとする魔物の姿が見え、俺は雷撃魔法を行使し、その体に当てた。


 直後、魔物の動きが目に見えて鈍くなる。威力はあまり持たせず、動きを止めることを優先した結果がこれだ。

 とはいえ、足を止めるだけでは解決しない。可能であれば捕獲できれば好都合なのだが……と、その時だった。なおも逃げようとする魔物を阻むようにして一体の魔物が姿を現す。


 それこそ魔物のヌシ……突然の登場に逃げようとする魔物も動きを止め――それが大きな隙となり、魔物のヌシの攻撃が入った。

 口を開けると同時に、魔物へ魔力を浴びせた……たぶんなんだが、人間には聞き取れない領域の音か何かをぶつけた。そして魔物は攻撃を受けたことによって体が崩れ、その体を魔物のヌシが魔力として吸い取った。


『――ご協力ありがとうございます』


 すると魔物のヌシが俺達へ向け礼を述べた。


『すぐに情報交換といきたいところですが、後続から騎士もやってくるでしょう。ひとまず今は退散し、昨日の夜と同様にあなたがたが寝泊まりしている家の近くへ訪れます』

「わかった」


 同意と共に魔物のヌシは姿を消す。さらに言えば、金の瞳を持つ魔物については、気配すらない状況。

 とはいえ、青い瞳の魔物はまだ残っているか……ここで森から騎士が出てきた。ヌシとの会話は聞いていない様子で、


「魔物はどうしましたか?」

「今し方倒した。山に登ろうとしていたけど、どうにか魔法が届いた」


 見れば、魔物のヌシが敵を仕留めた場所の地形が、少しばかり荒れていた。騎士はどうやらそれを俺が魔法を撃ったことによるものだと解釈したらしく、


「そうですか、対処できて何よりです」

「あれが魔物のリーダーだとしたら、状況が少しはマシになると思うが……」

「そうですね……先ほどの場所にいたに魔物はまだ残した状態で私達は駆けつけましたひとまず戻り、魔物を倒し調査を続けましょう」


 騎士の言葉に俺は頷き、元来た道を引き返し始めた。


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