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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第七章

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魔物の異変

 森の奥へさらに進む間に、俺達は再度魔物と遭遇し交戦した。その全てが青い瞳を持つ魔物であり、こうなると金の瞳を持つ魔物がどういった存在なのかが気になってくる。

 さらに森の奥へ進んでいると自然と話はそうしたものになっていく……疑問を呈したのは、アルザだった。


「ねえディアス。元々、金の瞳を持った魔物はいて動きは消極的……人間を見ても避けるってことは、こんな形で調査をしていたらそもそも出てこないんじゃ?」

「確かにそうだな……ただそれは、間接的に金色の瞳を持つ魔物が人を襲わないということを証明している」

「つまり、人を認識して戦いを避けている?」

「ああ。人間を襲えば厄介だ、という認識なら説明はつくんだが……金色の魔物は画一的にそういう動きをするのだとしたら、どうしてそういう行動をするのか調査しないと結論は出せない」


 金の瞳持ちは元々この森や山に生息していたとするなら……魔物のヌシに関連があり、青の瞳持ちは違う勢力とか、魔族とかの手先――そう考えれば一応理屈的には説明できるのだが、


「どちらにせよ、まだ結論は出せないな」

「そっか」

「アルザは何か気になることが?」

「……なんというか、青い瞳の魔物は魔力が似通っているというか」

「魔力の質が、だな。ということは自然発生したのではなく、何者かによって生み出された可能性もあるな」


 そんな話をしている内に、またも青い瞳の魔物と遭遇し、俺達は対処した。数がいても俺達は難なく対処できている……が、ここまでで倒した魔物は五十を超えている。しかも人間に敵意を持っているとなったら、今まで人的被害がなかったことが逆に信じられないくらいだった。

 やがて俺達は森を抜けた。その先にあったのは山の麓……傾斜があり、登るのは結構キツそうな山の入口。


「山にも入るのか?」


 俺は隊長の騎士へ問い掛けると、


「いえ、さすがに山岳装備ではありませんし……魔物について、森の中から発生しているのか、山の中が原因なのかも調べなければ」

「かなり大変そうだな……」


 そう呟いた矢先のことだった。


 ――オオオオオォォ――


「ん?」


 魔物の雄叫び、もしくは遠吠えだろうか。騎士や仲間も気付いたようでしきりに周辺を見回し始めた。


「オージュ、方角とかわかるか?」

「おそらく南……あ、今の俺達から見て左方向だな」


 魔物が倒されている状況から、何か魔物の動きに変化があったのだろうか? 疑問に思いつつ隊長はそちらへ向かうよう指示。俺達もまたそれに追随する。

 音の距離からしてそれなりに歩かなければいけないので、その場所に到達しても魔物の姿が消えている可能性はあるのだが……俺達は山に沿うような形で歩んでいく。


 そこで、再び声が聞こえてきた。魔物を呼んでいるのか、それとも――

 隊長がさらに前進するよう指示を出し、俺達は声のした方へ向かう……と、その道中で索敵魔法を行使。状況を確認したのだが、


「ん……?」


 そこで異変を察知した。声を発した俺に対し、オージュが眉をひそめつつ問い掛けてくる。


「どうした? 何かあるのか?」

「いや、魔物が複数いるんだが……」


 語る間にさらなる異変。魔物が集結しているのは間違いないみたいなのだが、


「……直接、目で確認した方がいいな。隊長さん、方角はわかった。少しズレているから森に入ってくれ」

「わかりました」


 俺が指し示す方向へと進路を変えつつ進んでいく。村からずいぶんと離れてしまった上に時刻は既に昼を回っている。調査についてはこの辺りで打ち止めにして帰った方がいいくらいなのだが、どうやら最後の最後で思わぬ情報を手にすることになりそうだ。

 俺達は再び森に入った。そこで魔物のうなり声などが聞こえ始めたばかりではなく、何やら重い音が聞こえてくる。


「……戦っているのか?」


 オージュが小さく呟いた。その間にも前進し続け、俺達はとうとう音が発生したと思しき場所に接近したのだが、


「と、止まれ!」


 隊長が指示を出し騎士達が動きを止めた。森の先に開けた空間があるのだが、そこに魔物がいる。

 俺達は武器を構えつつも魔物がいる咆哮を注視し始めたのだが……目の前で、予想していなかった展開があった。


 そして状況に対し騎士達は困惑し、代表してミリアが呟いた。


「どういうこと?」


 魔族であるミリアにとっても予想外らしい……やや距離を置いて魔物が多数いた。加えてその場には青い瞳の魔物と金の瞳の魔物がいた。

 双方数としてはそれぞれ十数頭といったところで、種類は狼を主として四足歩行の種類ばかり。そうした獣の姿をした魔物達なのだが……青と金、瞳の色が違う魔物同士が、争っていた。


 単に仲が悪いとか、そういう感じでもない……むしろ互いが互いを決しなければならない、という気配に満ちており、双方が苛烈に攻撃し合っていた。

 それを見た俺達は困惑しつつも警戒を強め……戦闘が終わるまで、観察し続けることとなった。


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