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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第六章

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彼女の技術に関する本質

「――魔力の循環、ですか?」


 決戦の日、その朝に俺はカトレアの道場を訪れ話を聞いた。元々は決戦術式に関する検証が目的だったのだが、ふいにカトレアはアルザの能力について解説を始めた。


「そうさ。アルザが持つ退魔の力、特性……それは基本、魔力を弾くという性質に根ざしている。これは鍛錬と共に能力の検証をしていた判明したことだ」

「性質がわかったことで、効率の良い戦い方ができるというわけですね」

「そうだね。アルザの場合、その特性から放出しなくても十分な力を出せると踏んだため、退魔の力を体の内で巡らせるようにした」


 ――魔力というのは基本、放出することによって威力を出すものだ。魔法なんかはその最たるものであるし、技については斬撃と一緒に魔力を用いて威力や切れ味を増す……それは魔力を放出し続けることによって持続するわけだが、達人級だと攻撃する時だけ放出するとか、あるいは放出量を減らしながら威力を維持したりとか、そういうことをやって長期戦などにも対応できるようにする。


「アルザは退魔という特殊な能力を持っていたが、剣術教えた人間はあくまで魔物や魔族に対し有効な技術だと解釈し、剣術そのものは他者と変わらないよう教えた」

「というより、そういう風にしか教えることができなかったと言えばいいでしょうか」

「彼女の特性を見極めて、なんてのは無茶な話だからね。ただ退魔の力があったため、それでもアルザは英傑入りしていたほどの力を得るに至った……これまではその退魔の力を利用した力押しが主体だったと言っていい」


 それでも類い希なる剣術の素養があったため、強敵とも渡り合えた。けれど、達人が揃う闘技大会で上位に入るためには退魔の能力そのものを検証し、能力に合った技法を開発しなければならない、とカトレアは考えたわけだ。


「元々の技術があったため、新たな技法についてはすんなりと習得したよ。それを実戦で扱えるかどうかはアルザ次第だね」

「エリオットもまた達人である以上、新たな技法について綻びがあったらそこを狙われてしまう」

「可能な限り鍛錬はしたし、この場で実戦も行った。後は実際の試合でそれを発揮できるかどうか……ま、アルザが大会をこなす態度を見れば心配はいらないだろう」


 そう述べた後、カトレアはニヤリとした。


「ディアス、魔力の循環という方法を聞いて、どう思った?」

「……退魔の力は、魔力を弾く特性がある。普通、魔力同士がぶつかる場合はどちらが多く放出したかによって優劣がつけられることが多いわけですが、アルザの場合は元々魔力そのものを弾くため、量をぶつける必要がない」

「そう、少ない魔力で相手と同じ事ができる」

「加え、魔力を循環させることで長期戦も可能となる……総合的にスタミナが大幅に上昇する、ということですね」

「ああ、そこについてはディアスの言うとおりだ。攻撃を当てに行く場合だけは放出した方がダメージは大きくなるから、攻防で使い分けが必要だが……あたしがこの技法について注目しているのは、魔力――退魔の力を循環させることによる能力向上だ」

「放出していた分の魔力を体に循環させることによって、身体能力が上がると?」

「そうだ」


 コクリと頷いたカトレアは、楽しげに笑い始めた。


「むしろ、その点こそこの技術の本質と言っていいかもしれない……なおかつ、この能力の特性を見極めたエリオットは、騙されるかもしれない」

「騙される?」

「技法を見て長期戦にも対応できるようになった、とエリオットは解釈するはずだ。けれど本質的にはそこじゃなく、身体能力が向上する……つまり、今まで集めていた情報が完全に覆るわけだ」


 ……なるほど、な。エリオットはその場での対応を余儀なくされる。


「もちろんこれが決定打になるほど、甘い相手じゃない。だが新たな能力を見てエリオットは様子見に回ることは間違いない」

「情報が少なければ相手を観察する……本戦での戦いぶりを考えれば、そうするだろうと推測できますね」

「そうだろう? であれば、あとはアルザがどこまでエリオットを追い込めるか、だ」

「もし仕留めきれなかったら……」

「手傷でも負わせることができれば十分な戦果だろう。この辺りのことについてはアルザにも説明したが……」


 と、ここでカトレアは笑い声を苦笑に変える。


「ここで予想外の発言が飛び出した」

「……予想外、ですか?」

「アルザとしては、そうなった上で戦術を考えたようだが……もう一つ、技を考案したからそれを使ってみると発言した」

「もう一つ……」

「それはあたしが教えていない。アルザ自身が能力を考察し、導き出した一つの答えだ。まだまだ練度も足らないため、エリオットに通用するのはよくて一度だ。つまり彼女は、その一度の攻撃で仕留めようと言ったわけだ」

「……できるんですか? それ」

「あたしにもわからない……あとは、アルザが手にした技術が、エリオットを上回るか否か……そこは試合の状況や体調などによって左右されるからね。とはいえ、アルザは無謀な賭けをやろうとしているわけじゃない。ま、楽しみにして観戦しようじゃないか――」



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