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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第六章

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密談

 翌日から俺はアルザに協力して鍛錬に励みつつ、大会は進んでいく。ヴィルマーやカインなんかも勝利し、一回戦は終了した。

 番狂わせ的な戦いはエリオットが果たした以外にはなく、他は能力的に拮抗しているような勝負が多かったようだ。結果酒場で情報収集をした際、話題になっていたのはエリオットの戦いぶりだった。


 ただ、どうやら勧誘の方は遅々として進んでいないらしい……たぶんだけどカトレアが何かしら手を打った効果だろうな。俺は深入りすると面倒だと思い、エリオットに近寄ることはなかったが……彼が勝ち上がることで興味を持つ人間は増えるだろう。そして、アルザとぶつかるまで勝利するだろうとカトレアは予測した。


「アルザと戦うのは準々決勝だ。それまでは一回戦で戦った以上の戦士とは当たらないから、それほど大きな話題にはならないだろう」


 鍛錬の途中でカトレアは俺へそう発言した。


「戦士団に入るという人間もいるみたいだが、正式に結成されるのは大会終了後だろう。それまでに対処できればいけそうだ」

「そうですか……アルザの方はどう思いますか?」

「油断しなければ問題ない。よって、準々決勝はアルザとエリオットが戦うことで確定だろうね」

「……そこで止めれば、エリオットの目論見は潰えるって考えていいんですか?」

「少なくとも、戦士団結成はするだろうが……最初から有名な団として活動できるって形ではなくなるだろう」


 ……なんとなくだけど、カトレアは結成後も色々動くべく考えているのではないだろうか? 俺としてはエリオットに同情してしまうレベルなんだけど……、


「ギリュア大臣の後ろ盾があるからこそ、ここで止めないとまずい、ってことでしょうか?」

「少なくともあたしはそう思ってる……これは勘だが、放置したらまずいんじゃないかと」


 ……俺達が関わってきた事件などを思い返せば、カトレアの指摘は正解である。


 少なくともいくらか騒動を引き起こしているのは間違いない。よって、ギリュアの目論見通りにさせないために……妨害すべきなのは俺も同意する。今回についてはとにかく勝てばいいし、アルザとエリオットが戦ったとしてもあくまで組み合わせの結果であるため、俺達が何かしら手を打ってエリオットの目的を防いだ……なんて思われることもないだろう。


 まあなぜ大会に参加したんだ、とか疑われてしまえばそれまでだけど……色々考えつつ俺はこの日午前中アルザの鍛錬に付き合った後、冒険者ギルドを訪れた。念のため、アルザの対戦相手について情報を仕入れておくべきか、などと考えたわけだが、


「ディアスさん、これを」


 受付の女性に俺はメモを渡された。


「……何ですか? これ」

「大会本戦当日に冒険者の方がここを訪れ、ディアスさんに渡してくれと」


 エリオットじゃないよな? と思いつつメモを確認すると、


「……わかりました。どうもありがとう」


 礼を述べ、俺は冒険者ギルドを出る。そして大通りを進み……とある宿屋へ辿り着く。

 中へ入り、俺は受付へ話し掛ける。こういった名前の人物が泊まっていないか、と尋ねると相手はあっさりと部屋番号を答えた。


 俺はすぐさま宿屋内を移動し、当該の部屋へと辿り着く。そこでノックをして、


「俺だ」

「――どうぞ」


 声と共に中へと入る。そこにいたのは、


「……わざわざ冒険者ギルドにメモを渡して連絡を取ろうとしているってことは、ここにいることは誰も知らないんだな?」


 ――英傑の一人であり、王族であるヘレンがいた。


「うん、ここには私一人でやってきた」

「クラウスにも挨拶しないのか?」

「いきなり登場したら何事かと言われるのがオチでしょ」


 それもそうだ……で、ここに来た理由は、


「俺が連絡した内容はちゃんと受け取ってもらえたみたいだな」

「正解。そのことで相談しようと思って」

「エリオットを介してギリュア大臣に接触するか?」

「正直、微妙なところ。現状ではエリオットが勝手にやったことだと言い切られて終わりである可能性もある」


 ああ、確かに。家の指示だったとしても、そんなのはいくらでも誤魔化せるからな。


「だから、ここはやり方を変えようかと」

「具体的には?」

「エリオットから関わっている組織の情報を収集し、調査する。それでギリュア大臣に関する情報が得られれば……」

「あくまで組織に関与しているのはエリオットだし、望み薄じゃないかと思うんだが」

「可能性は低いと思うけど、もしかしたらギリュアと直接やりとりしている人がいるかもしれない」


 その可能性を考慮し、というわけか……ヘレンの様子から見ても、今回の情報はかなり有用なのかもしれない。


「確認だが、アルザが彼と戦うことになる。勝って大丈夫だな?」

「そこは問題ない。むしろ、圧倒して」


 それはできるかなあ……内心で思いつつ、俺はヘレンと話を進めた。


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