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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第六章

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とある提案

 エリオットとしばらく話をして、俺は彼と別れた。そしてカトレアが待つ道場で再びやってきて、アルザ達が修行をする中で報告。


「彼の親族か」

「エリオットの素性とかは洗っていますか?」

「それについては手を付けていないねえ。なら少しそちらへ手を伸ばしてみよう」

「……素性を調べるだけで、危険はないでしょうか?」

「冒険者ギルドで漁って情報がない場合は所属していた戦士団から情報を取ればいいさ。それでもなければ……エリオットの異常性が際立つね」


 つまり、危険な存在だと考える訳か。


「もし情報がまったく出てこないのであれば、エリオットという冒険者の活動そのものが支援者とやらの指示で確定だろうね」

「汚れ仕事をやらせるために冒険者をさせたと?」

「そういうことだ。ただ、彼自身に実力があるのは間違いない……戦い方がリスクを冒さないのも、仕事をミスできないという点に由来しているのかもしれない」


 そうか、支援者の指示で仕事をする場合、無茶をして失敗したらまずい……だからこそ可能な限り情報を収集し、弱点をあぶり出してリスクを避ける戦い方をするということか。

 まさか戦法まで関係しているとは……そんな感想を抱いているとカトレアは、


「戦い方というのは思想や生い立ちも色濃く出るものだ。そうした中でエリオットの場合はよりその性質が強いだろうね」


 そう述べた後、カトレアは一度手をパンと鳴らした。


「さて、仕事の話はこれまでにしよう……今日、ディアスは修行に出番はないと言っていたが、だからこそやっておきたいことがある」

「……何ですか?」

「けれど嫌であれば拒否しても構わないよ」


 何をやらされるんだろう……そう思いつつ言葉を待っていると、


「あたしの目から見てもミリアは確実に強くなっているよ。魔族としての力を使わず、あくまで人間が用いる剣と魔法を組み合わせて先ほど、カインから一本とったところだ」

「マジですか」


 俺は訓練風景を見る。カインはヴィルマーと何やら話し込んでいる。


「ただし、あくまで一本だ。技量面においてはまだまだだが、闘技大会における『聖戦士』クラスの人物と戦えたというのは、大きな自信になっただろう」


 俺は頷く。うん、ここで修行をさせたことは大正解だったようだ。


「そしてアルザも、悩みながら退魔の力……その応用や自身の欠点について向き合い、確実に成長している」

「もしエリオットと本戦で戦うことになった場合……それまでに間に合うでしょうか?」

「あたしは弱点を探る前、付け焼き刃では通用しないと語っていたはずだ。エリオット自身に相応の技量があるため、生半可な対策をしても逆効果になると。しかし、今のアルザならばいけそうだ」


 それだけ鍛錬の成果が出ているというわけか。


「試合に支障が出ないよう鍛錬量については調整する必要はあるが……あの子もまた傑物だ。本戦までには間に合わせるだろう」


 そう述べた後、カトレアはニヤリとなった。


「ディアス、おそらくだが……アルザは今回の修行で『聖王国杯』の優勝候補に躍り出るに違いない」

「……それだけ強力な技法を身につけることになると?」

「あくまで現時点での見立てだが、ね」


 それならそれで問題はない……今後の旅においてもプラスになるだろうし。


「元英傑ということで、相当な実力者であるのはわかっていたが……弱点を明確化した途端、どうすればいいのか自らの手で導き出したよ。正直、あたしは必要なさそうだ」

「アルザについては問題なさそうですね……それで、話を戻しますけど俺が何を?」

「ディアスは今回大会に出場することもないし、情報集めに奔走している。加え、エリオットとの接触もしているわけだが……ディアス自身は強くなりたいとか、そういう願望はないのかい?」


 つまり、あれか。俺のパワーアップを考えているのか。


「うーん……正直、俺の得意分野は強化魔法ですし、自分自身が強くなってもあまり意味はないというか。やれることが増えるだけでもないというか」

「強化魔法自体をさらに強くするという発想はないのかい?」

「やってはいますよ。仲間に対する支援の方法などを含め、今後戦っていく中で必要なものはわかっているので」

「そこにあたしの技術が加われば、さらに強くなれると思うんだが」


 ……興味がないと言ったら嘘になるな。それに、ここでの修行はあくまでミリアに対してだけだと考えていたし、俺が修行するということは想定していなかった。

 ただ現状ではアルザに加えカインやヴィルマーという戦士もここで修行をしている。カトレアとしてはここからさらに一人増えてもさしたる影響はない、ということだろうか。


「……当然費用は発生しますよね」

「大きな仕事をこなしていて、今更あたしがせびる金額を気にすることはないだろう?」

「まあそうですけど……」


 ま、考えていた予定とは異なるが……これはこれで良いかなどと思いつつ、


「わかりました。それではお願いします――」



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