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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第一章

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大樹の魔物

 森へ入り交戦開始してから程なくして、俺達はとうとう目標としていた魔物の下に辿り着いた。それは大樹に寄生した魔物。枝が鞭のように動き回り、近づいてきた者を両断しようという気配があった。

 俺は周囲を見回す。魔物の主である大樹周辺には配下と呼ぶべき魔物がいる。騎士達はそれに応じるべく剣を構えているが……彼らの体に付与した強化魔法はまだ効果を持続しているが、武器に付与した効果はほぼ消えている。


 俺は再び退魔の強化魔法を付与する。討伐隊の隊長である騎士はそれに気づき「ありがとうございます」と告げ……それに対し俺は頷き返す。それと共に大きく呼吸をする。

 今の魔法で結構魔力を消費した。残る魔力で俺自身の身を守らなければならないが……次の強化魔法の対象は、前線に立っているアルザへ向けることを決めた。


「アルザ!」


 声に、彼女は振り向くことなく頷いた。俺が何をするのか把握したらしい。そこで今度はミリアへ言葉を向ける。


「ミリア、強化魔法をアルザへ注ぐ。その間俺の守りは手薄になるから、援護を頼む」

「わかったけれど……魔物の魔力の大きさを踏まえたら、アルザさんの独力でなんとかなるのでは?」

「既にアルザの能力は把握したのか。さすがだな……もちろん、今のアルザなら魔物の主を単独で倒すのは容易だ。ただ、その場合リスクがある」

「リスク?」

「アルザはその天才的な能力で英傑にまでのし上がった逸材だが、弱点もある。端的に言えば攻撃に関する技術は随一だが、防御が弱い。それは攻撃と比較すると……というレベルだが、あの魔物相手だと負傷する可能性がある」

「怪我を防ぐために、アルザさんに強化魔法を?」

「正解。なおかつ強化魔法により短期決戦に持ち込めば、それだけ負傷リスクが低くなる」


 俺はアルザへ向け魔法を使用。刹那、彼女の魔力が一際高まり、戦場となった森の中を駆け巡った。

 それに魔物は反応した。騎士達へ襲い掛かろうとしていた個体達が、一斉にアルザへ向け視線を集中させ――その隙を突いて騎士が突撃。魔物を傷つけ、多くを撃破する。


 そしてアルザは、魔物の主へ向け駆けた。当然木の枝が鞭のようにしなって彼女へ襲い掛かるのだが……その全てを彼女はたたき落とす。ただ数が多く全てを迎撃できなかったが……強化魔法の恩恵か、木の枝が彼女の体を掠めても動きに影響はない。

 結果、アルザは真っ直ぐ最短距離で魔物へ迫る――アルザへ魔法を集中させたのはもう一つの理由がある。それは大きな魔力を発する存在がいれば、魔物は必然的にそちらへ意識を注ぐ。結果多くの魔物は隙を晒し、騎士達を援護できた。なおかつ、アルザの進撃も止められない。


 つまり、強化魔法には敵の注意を引く意味合いもあった……そんなアルザは、刀身に魔力を集める。俺によって強化されたその剣は、魔物にとって間違いなく致命的なものとなる。

 魔物の主はさらに大量の枝を彼女へ差し向けた。幹の中心……その手前に集まり、巨大な槍となってアルザへと襲い掛かる。凄まじい速度で、人間がまともに食らえば原形を留めなくなるような一撃……だがアルザは魔力を高めた剣で一閃した。


 結果、どうなったか……破砕音と共に、魔物が放った渾身の一撃を破壊する。枝が四散し、森の地面に落ちる。そしてアルザは、破壊された枝の間をかいくぐるように魔物へ迫り――


「はああっ!」


 全てを理解しているように、彼女は幹へと斬撃を決めた。退魔の力が剣先を通して魔物へ注がれる――同時、大樹からキィィィンとつんざくような音が聞こえてきた。それは魔力を発したためか、あるいは魔物の悲鳴なのか……わからなかったが、少なくとも大樹に致命的な傷を負わせたことは理解できた。

 枝が動きを止め、大樹がバキバキと音を立てて崩れ始める。アルザの剣は確実に魔物の核を破壊したらしく、大樹が朽ちていく……そうした中で魔物はなおも騎士や俺達に襲い掛かろうとしたが、


「殲滅開始!」


 隊長が号令を掛け、魔物を倒し始める。大樹の魔物からある程度指示は受けていたのか魔物はこれまでと比べ動きはバラバラで、倒すことは容易だった。その中で俺へ近づく狼型の魔物とかいたのだが、俺の前にミリアが立って迎撃に成功。事なきを得る。


「圧倒的ね……」


 ミリアはそんな感想を呟いた。アルザはこの間に俺達の近くへ戻ってきて、残る魔物を騎士達と共に倒していく。まだ強化魔法の効果は続いており、周囲の騎士と比べて魔物の撃破速度は段違いだった。


「これで魔物討伐は終了だな」


 俺が声を発する間に、動く魔物は見当たらなくなる。とはいえ、まだ後方では戦いが続いているのか人の声や金属音が聞こえてくる。


「このまま戻りつつ魔物を倒すぞ!」


 騎士の号令が掛かる。それに合わせ、俺やミリア、アルザもまた退却を始めたのだった。


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