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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第六章

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聖戦士

 カトレアからの要請はあったのだが、結局その場で仕事を依頼されることはなく、俺は昼から情報収集を再開した。結果、まあそれなりに情報が集まり……とりあえずアルザへ報告しようという形となった。

 宿へ戻ると、ミリアとアルザは既に帰ってきていた。アルザについて何をしていたか問い掛けるとまた小さな大会に出て優勝したとのこと。


「それなりに賞金ももらった」

「小さくとも大会なら優勝賞金くらいはあるだろうな」


 よくよく見るとアルザの顔はキラキラしている……たぶん、剣を振っているだけで賞金がもらえるのでここは天国、みたいな感じかな。


「……アルザは闘技そのものに向いているのかもしれないな」

「そうかな?」

「観客ありの戦いにも慣れてきたのか?」

「うん、動きもよくなってる。でも本調子じゃないかな」

「つまり、まだ上があると……対戦カードにもよるけど、アルザなら予選は問題なく突破できるとは思う。本戦は……ヴィルマー以外にも厄介な敵は多いからどう転ぶかわからないな」

「情報は集まった?」

「それなりに。じゃあ食事でもしながら話をするか――」






 色々と調べ、俺はアルザへ報告したのだが……あんまり頭に入らなかったようだ。とりあえず資料は作成すると言ったので、明日からは出場者に関する資料を……まあ、アルザがそれを読むのかどうかはわからないが。

 夕食後、俺は部屋へ戻り休む準備をする。ふと窓の外を見ると、夜にも関わらずまだまだ出歩く人が多い。


「お祭りって感じだな……」


 俺はそんな感想を抱きつつ、現状について整理することに。まず、ラダルクを訪れたのはアルザが国主催の闘技大会に出場するため――改めて確認したのだが、この闘技大会は『聖王国杯』と名付けられていた。国が取り仕切っているため、ネーミング的には至極当然なものだろう。


 そして大会の運営については英傑のクラウスがいる……今日情報を集めていた時、クラウスの名前が上がっていた。どこかで運営側にクラウスがいるという告知がされたのだろう。その事実はどうやら人々を安心させるものになったようであり、クラウスのことを話す人もいた。


 ただ、その事実に対し出場者の中で面白くないと感じている人がいるようであり……たぶん英傑に対するやっかみみたいなものだろう。というのも、この『聖王国杯』については幾度となく言われていたことがある。それはこの大会の上位者と『六大英傑』のどちらが強いのか、ということだ。


 確かこの闘技大会の上位入賞者は『聖戦士』と呼ばれる……聖王国の戦士ということで『聖戦士』なのだが、なんだかもっと高尚な存在のようにも感じられる。

 で、この『聖戦士』と『六大英傑』というのは被ることがほぼない……現在の英傑で大会優勝者はクラウスただ一人。他はそもそも大会に出場することすらない。


 戦士団に所属し日々魔物や魔族と戦っていた俺からすると、そもそも戦い方なんかが根本的に違うため比べようがない、というのが感想なのだが素人目線からはそういうわけじゃない。称号を持っている人間がいる以上、比べたがる。


 その傾向は『聖戦士』自身にも当てはまり、より比べたがる傾向が強い。というのも、魔族を相手にする英傑は人同士の戦いなんてものはほとんど興味がない。一応英傑同士で戦ったらどうなるのかという点は気にしているし、実際シュウラは七人目の英傑と呼ばれた俺と戦った。


 けれどまあ、英傑同士で勝負して上下を決めようなんてことは基本なかった……そもそもそれぞれ立ち位置も違うし、勝負という概念にあまり興味がなかったのもある。


 けれど『聖戦士』はそう思っていない……なおかつ英傑が魔王を倒すという偉業を成し遂げたことで、人の話に上るようになった。これでは面白くないと感じる人間だって出てくるだろう。


「今のところ、俺にやっかみを向けてくる人間はいないけど……」


 ヴィルマーは友好的だったし……いや、アルザがいたからだろうか? ともあれ『聖戦士』と話をする際は気をつけた方がいいかもしれない。

 で、そうした中でエリオットが干渉してきた……彼は彼で戦士団を設立しようとしている……が、何かやっていると知ったカトレアなんかに目を付けられている……国が運営しているし、大会期間中は何かやらかすことはないと思うけど、注意を向けた方がいいのかもしれない。


 ミリアについても鍛錬は順調みたいだし、俺は情報収集をある程度やったから特段動く必要はない……明日以降は町をブラつきつつ、アルザの戦いぶりを観察することにしよう。


「大会が終了した後、どうなっているのか想像もできないな……」


 優勝者は誰なのか……俺は手に入れた情報により内心で考察しつつ、エリオットについて考える。


「もし彼が反魔王同盟なんかに関わっているとしたら、彼の行動やこの大会の結末によって魔族が動いたりする……のか?」


 そんな疑問を抱いたが、もしそうなったら俺は――しばらく考えた後、俺は眠る準備を始めたのだった。


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