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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第六章

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隠れ蓑

 戦士ロザロと別れた後、俺は自分がどうすべきか考える。エリオットの怪しい話は出てきた……が、正直関わり合いになるのが面倒である。

 なので基本的には仲間にもエリオットに話し掛けられても適当に流してくれと言っておけばいいのだが……、


「まさか反魔王同盟とか、ギリュア大臣絡みではないよな……?」


 可能性は低いだろうし、変に干渉してマークされるのも面倒である……よって仲間に警告して終わりにしようという結論に至った。

 なので俺は情報集めを再開した……のだが、ここで思わぬ展開になった。


「お、情報収集か」


 冒険者ギルドにいると、今度はヴィルマーが話し掛けてきた。


「そっちはどうしたんだ?」

「同業者で参加する人間を調べていただけさ……と、そういえば食事の席で話をしていたエリオットという人間についてだが」

「ああ」

「ずいぶんとネガティブな情報があったな。ヤバい組織と関連している可能性があるとか」

「……それ、誰が言っていたんだ?」

「ん? 彼が所属していた戦士団の団員からだ」


 ……実は『白銀の座』内ではエリオットの行動は有名だったのだろうか? 疑問に思っているとヴィルマーはさらに問い掛けてくる。


「エリオットはバレていないと思っているのか?」

「どうだろうな。そもそも彼の性格上面と向かって言ったら何をされるかわからないし、指摘されなかったってことなんだろうな」


 彼自身、気付いていて放置している可能性も……いや、さすがにないだろうか。


「俺の方もさっきエリオットに関する噂話を聞いたよ」

「国が主催の大会に出場するんだ。彼は言動から色々目立つ存在だし、噂の一つや二つは出てくるだろうな……それを聞いて彼がどう反応するのか」

「表面上は取り繕うと思うけどな」


 俺はそう言いつつ、改めてどうすべきなのか考える。


「うーん……今後もエリオットは干渉してくる可能性があるんだよな」

「ディアスの仲間のこととかも知っているのか?」

「さっき顔を合わせた時、アルザのことは言及していたな」

「厄介な人物に絡まれているわけだ」


 ご愁傷様、といった雰囲気でヴィルマーは言う。


「たださすがに厳戒体制下での大会だ。彼が怪しげな組織と関わっていようとも、何もしないだろ」

「そうだな……大会が終わった後、怖いけど」


 俺達は速やかに町を出ればいいだろうか……そんなことを思いつつ俺は一度宿へ戻ろうと思い、冒険者ギルドを出た。

 宿へ戻るとミリアが帰ってきていた。で、彼女は、


「カトレアさんが話があると」

「俺に?」


 聞き返しに対しミリアはコクリと頷いた。何があるのかと首を傾げつつ……昼食後、カトレアの下を訪れると、


「食事の席で話したエリオットという人物についてだが」


 ……おいおい、この人も調べたのか。


「ずいぶんとやんちゃしているようだね」

「俺も彼の噂話を聞いた程度ですけど……何か核心的な情報が?」

「まあ少し彼の素性を洗った程度だけど、変に突くとヤバそうな雰囲気があるね」

「まさか、魔族……?」


 俺の問い掛けに対しカトレアは首を左右に振った。


「いや、そうじゃない。犯罪組織絡みだ」

「……だとしても、大会が開催されている間は何もしないでしょう」

「そうだねえ。とはいえ、だ。戦士団を創設しようとしている点は見過ごせない。戦士団を脱けた経緯についてもある程度調べたが……放置すれば面倒事になるかもしれない」


 カトレアがそうやって言うほどのことが――内心で驚愕する間にカトレアは続ける。


「たぶんだが、エリオットは戦士団を結成し、それを隠れ蓑にして色々動こうとしているのかもしれない」

「戦士団を……隠れ蓑に?」

「彼は自分のやっていることを尋ねられて戦士団を脱退した。今度は自分が何をしても問題ないよう団長として活動をする……なおかつ、名声を得るために利用しようとしているわけだ」

「名声を得るためなのはわかりますけど……」

「戦士団を作ろうとしているのは、そういう組織として活動していることで変な行動をしていても怪しまれないと踏んでいるためだろう。裏組織と接触していても、調査任務だとして誤魔化すことも容易い。それに国に認められた戦士団であれば、国が後ろ盾になっているわけで信用も得られる」

「色々と便利な面があると」

「そういうことだね……で、だ。既に実力を聞きつけて門下生の一人が勧誘を受けたらしい」

「エリオット、行動が早いな……」

「団に入るかは個人の自由ではあるが、知り得た話だけを聞くと弟子には関わって欲しくないねえ……ただ、確証があるわけじゃあない。よって、もう少し詳しく調べようと考えている」


 ……エリオット、どういう目的かはわからないけど、彼の行く末にちょっと同情した。目の前にいるこの人は諜報についても百戦錬磨だ。


「ディアスも手を貸してくれるかい?」

「……俺自身どうしようか考えていた身ですし、今後も俺に関わってくると思うので、構いませんよ」

「決まりだ。といっても、調査はこちらでやる。ディアスの力が欲しければ、その都度連絡をさせてもらうよ――」


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