表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
297/487

別れと今後

 決闘と話し合いが終わった後、いち早く退散すると表明したのはシュウラ。


「ひとまず戦士団に戻ります。何かあれば連絡してください」

「……大臣に手出しはするなよ」


 と、俺が言うとシュウラは素直に頷いた。


「ええ、それはもちろん。相手が相手である以上は、首は突っ込みません」

「本当か?」

「そこは信用してください。さすがに勝てない相手に喧嘩は売りませんよ」


 ……まあ、ここまで言うのだから問題ないか。情報や知識を求めるシュウラであっても、相手がヤバいのであれば引き下がるか。

 俺の方はシュウラが大丈夫なのかとちょっと心配ではあるのだが、ヘレンからの言及はない。彼女としてはシュウラの言動を信用している、ということなのだろう。


「それでは」


 そんな言葉を残してシュウラは歩き出した。同時に結界も解かれ、彼の姿が見えなくなる。


「よし、じゃあ俺も行くか」


 続いてニックが言う。彼もまたシュウラに続き歩き出そうとした時、


「ヘレン、正直俺は難しいことはわからない。理解できるのは魔王との戦いくらいヤバいことになるかもしれない、ってことだけだ」

「その認識で問題ないかな」

「俺は腕っ節くらいしか役立てることはないかもしれないが……魔王と手を組んで戦ったことは誇りに思っているし、手を貸したいと思ってる。何かあれば遠慮なく言ってくれ。ま、戦い以外で役立つことはないかもしれないが」


 そう言ってニックもまた去って行く……続いて動き出したのはエーナだ。


「それじゃあノナ、町へ戻って仕事をしようか」

「はい」

「エーナ、滞在期間はどの程度だ?」


 なんとなく問い掛けると彼女は肩をすくめ、


「調査期間としては残り数日。ここからはギルドにずっとこもって仕事しないといけないから、たぶん顔を合わせるのは今日が最後かな」

「そっか」

「ディアスも、自分探し頑張りなよ」


 笑みを見せた後、エーナもまたノナと伴ってこの場を離れた。残った面々は少しの間沈黙していたのだが、


「私も帰るわ」


 セリーナが清々しい声音で発言した。


「やることはやったし、それにやる気を出す情報ももらったからね」


 そんな彼女の言葉に対し俺は、


「大臣を倒せば、一気に宮廷入りが叶うってことか」

「反魔王同盟のことを含め、騒動が解決すればさらに栄誉も増えそうだし……けれど、リスクもある。ギリュア大臣が勝つようなことがあれば、私が宮廷に入る余地はなくなるでしょうね」


 そうは言うが、セリーナは不敵な笑みを浮かべる。


「そうはさせないけれど」

「……戦士団の方は大丈夫そうか?」

「あなたに言われてなくてもなんとかするわ。ディアス、次に顔を合わせるのは大臣との決戦時、かもね」

「ああ、そうかもしれないな」


 セリーナもまた、去って行く。その後ろ姿はどこか凜々しく……彼女は負けたけれど、因縁は終わったということだろう。


「……私としては」


 と、ここでヘレンが口を開いた。


「追放された立場だし、何か言っても良いと思ったのだけど」

「俺の方が気にしていないんだから、別にいいだろ……さて、話は大きく進んだな。ギリュア大臣……捕まえたら騒動が解決するのかはわからないが、活動している魔族に影響はありそうな感じだ」

「そうだね。少しずつ調べていくよ。当面は情報収集が必要だし、各地を回ってみることにする」


 ヘレンはそう語った後、俺へ首を向けた。


「ディアス達はどうする?」

「自分探しを続けるけど、この調子だと別の町へ赴いたらまたそこで騒動に関わりそうだよな」

「そういう星の下に生まれているのかもね」

「戦士団に所属していた時よりも活動的なんだよな……」


 ミリアやアルザはそれで構わないという感じだけど……とはいえ、


「ひとまず休みたいところだな。今回は結構長期戦だったし」

「ツーランド周辺でオススメの町とか名所とか紹介する?」

「そこは自分で調べるからいいよ」

「……あ、そうだ」


 ふいにヘレンは何かを思い出したかのように、


「仕事の合間に聞いたけど、アルザは村の復興資金を貯めているんだよね?」

「そうだな……金だけあって解決するかもわからないけど」

「そのお金を稼げそうなイベントがあるけど」

「……イベント?」


 問い返すとヘレンの口が動き――それを聞いて、


「ああ、なるほどなあ。一攫千金ではあるな。アルザ、どうする?」

「良さそうだね……イベントに参加してもいいけど」

「ただ、それ自体大きなイベントだし裏で何やら動くとか、そういう可能性ありそうだよな」

「その時はその時ってことで」


 アルザが言う……参加する気満々である。


「アルザがそう言っているし行くか……ちなみにミリアも参加するか?」

「魔族である私が参加してもいいの?」

「バレないよう対処はしているし、大丈夫……それでも不安なら、方針を変えようか。剣については学んだから、今度は魔法。そこに魔法に関する師匠のあてがある」

「なら、そこを訪ねようかしら」

「決まりだな」

「紹介状を渡しておくよ」


 そこでヘレンは俺達へ言った。


「国が主催で、アルザが参加してくれるなら絶対盛り上がるだろうから……今後も手を貸してくれる報酬の一部ということで――」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ