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最強のおっさん魔術師、自分探しの旅をする  作者: 陽山純樹
第一章

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彼女の進む道

「……まあ、俺の身の上話はこれくらいにしようか」


 俺は気を取り直してアルザへと言及する。


「この村に来ていたのは何か理由があるのか?」

「ここに来ると落ち着くから」

「……それだけ?」

「うん。嫌なことがあった時にここに来る……でも、少しずつ村の形がなくなっていくのは、悲しいかな」


 人が住んでいない家屋というのは、風化が早いからな。


「もう、村人が戻ってくることはないか?」

「みたいだね」


 俺は村を見回す。彼女の手によって道などは清掃されているけれど、家々は少しずつ崩壊が進んでおり、それは時間が経つにつれ勢いを増してくるだろう。彼女が村に対しやれることはほとんどなく、いずれ来る終わりを待つしか――


「……ただ」


 少しして、彼女は話し出す。


「いつまでもここに立ち止まっててはダメなんじゃないかって思ったりもするけど。村の皆が新たな生活を始めているのに――」

「俺はそれでもいいんじゃないかって思うけど」


 こちらの言及に対し、アルザは目を丸くして驚いた。


「どうして、そう思うの?」

「生まれ故郷というのは特別だ。誰だって離れたくないって思いはあるだろうし……アルザは色々あって、特に強い執着をしているんじゃないか」

「それは……」

「人によっては未練がましいなんて言うかもしれないし、いつまでも戻ってこない場所を守り続けても意味がないって感じるだろうけど……そうした意味を見いだすのは他ならぬアルザの思いだ」

「私の……」

「とはいえ、この村をどうしていくのかについては、考えていく必要はあるだろうな。この場所を保存したいのか、それとも全てをまっさらにしたいのか……どちらにせよ、お金や人が必要だ」


 こちらの言及に対し……アルザは「そうだね」と小さく頷いた。


「現状では維持することもできないだろうし、もしアルザが進む道を迷っているなら……この村をどうにかしたいと思うなら、ここに来るだけじゃなくて色々と考えてみてもいいかもしれない」


 そこまで言うとアルザは無言となった。俺の指摘を頭の中で吟味し始めた様子だ。

 ……こうやって助言ができただけで、ここに来た価値はありそうだな。俺はミリアに目配せをした。それで彼女も頷き、


「ひとまず元気な姿を見れて良かった。俺達はとりあえず――」

「ディアスさんは」


 と、ふいにアルザの口から俺の名が呼ばれた。


「護衛を終えてからどうするの?」

「ん、俺か? 自分探しという名目はあるけど、特に何をやろうというわけじゃないから……まあ、仕事をして路銀を稼ぎつつ大陸各地を回ってみる、かな」

「……そっか」

「何か気になることが?」


 と、アルザはここであはは、と小さく笑った。


「ディアスさんって顔が広いでしょ? もし旅についていったら、大きい仕事とかできてこの村をどうにかできる資金集めとかできないかなー、なんて」


 そういう言葉が来るとは思っていなかったので、今度は俺が目を丸くする番だった。


「アルザさんだって実力があるから、できそうなものだけど」


 と、ミリアから言及が飛んだのだが、他ならぬアルザは苦笑した。


「ほら、私ってこういう見た目でしょ?」

「え、ええ……」

「冒険者ギルドとかで本人だと説明しても、理解してくれなかったりあるいはずっと一人で活動していたせいであんまり顔も広くないし」


 この村の周辺で仕事をするだけなら、彼女としてはそう問題もないだろう。知り合いだって多いだろうし。でも、彼女の村は魔物の襲撃によって大変な目に遭ったわけだが、この地域は元来魔族や魔物に遭遇することが少ない地域だ。確かにこの村をどうにかするための資金稼ぎとかは、難しいかもしれない。


「……どうするの?」


 と、ミリアが尋ねてくるのだが、


「そっちはいいのか?」

「私は拒否権とかないでしょうし、理解してくれる人が増えるなら心強いし」


 それもそうか。アルザについてはミリアに対し一定の理解を示しているようだし、とりあえず騒動になることはないか。

 で、俺はどうなのか自問自答をした。資金集め……村をどうにかするなんて金額を稼ごうというのは、よほどでかい仕事でなければ無理だろう。


 それに、お金以外だって必要なものは多い。アルザがどういう結論を出すのかわからないが、何をするにしても大変だが……俺の助言によって考えが変わったみたいだし――まあ、そこまで責任持つ必要はないと思うけど、


「……わかった。いいぞ」


 俺はあっさりと同意した。それで提案したアルザが面食らう。


「い、いいの?」

「その代わり、村をどうするつもりなのかとか……その辺りの結論についてはちゃんと俺に伝えてくれよ。行く末を見たいって気持ちがあるから提案を受け入れたんだからな」


 俺の言葉に対し、アルザは「もちろん」と応じ……こうして、仲間が一人増えたのだった。


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