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色々な調査

 ここからの動き方だが、現時点で町を攻撃した主犯者の姿はない。加え、町に掛かっている魔法は存在しているが、それが町を攻撃した存在と同一の仕業なのかも不明だ。

 最悪のケースは魔法を掛けている存在と町へ攻撃した存在は別にいる……仮にその想定で動くにしても、魔法を掛けた敵についてはあぶり出したいところだな。


「この調子だと町の中にいるよなあ……」


 付与した魔法は掛けられた人間が持つ魔力によって維持されている……とはいっても、放置すればいずれ効果は消えてしまう。断続的に魔法の効果を維持するのであれば定期的に魔法を掛け直す方がいいだろう。

 とすれば、町中に潜伏しているか……あるいは近くの町に滞在していて、どこからかやってくるとかも考えられそうだな。


「今回アルザの索敵が上手くいかなかったら、他の町で試すのもよさそうだな」


 近隣にある町で試してみて……って感じにしたら、どこかで引っ掛かるかもしれない。俺達は動く必要があるので大変だけど。


「何にせよ、首謀者を見つけてからだな……」


 ……あるいは、今回の事件については魔族が主犯でない可能性も想定する必要がある。王都襲撃以降、俺達が関わった事件では魔族は絡んでいるが実際に動いていたのは人間というケースもあった。よって魔族はアドバイザーであり、ツーランドを攻撃した魔物を指揮したのは人間であるなら、索敵から逃れられる。


 色々な想定をした上で、動く必要性がある……なおかつ内通者のあぶり出しもしなければ。


「無茶苦茶やらないといけないことが多い……が」


 状況を頭の中で整理した後、俺は道筋が見えた。優先すべきは首謀者を見つけること。その情報さえつかめば、突破口が見えてくる。

 最大の懸念は内通者はどこにいるのかだが……ここについては町長や騎士団の近くに行かなければ大丈夫だろう。監視の目については皆無だし。


「とりあえず、着実に進めていくか……」


 色んな可能性が想定されるわけだが、その全てに対応してもまだ動ける……俺はやがて買い出しを済ませた。そして一度宿に戻って準備をする。


「うん、今日一日あれば作成できるな」


 明日にでも気配探知を試すことはできるだろう……さて、俺はもう一度宿を出る。首謀者を見つけ出すための方策についてはいいとして、次にやるべきことは内通者に関する情報集め。

 とはいえそんなもの、手がかりがあるのだろうかと思うところだが……俺は冒険者ギルドを訪れる。そこで町に関する情報を調べ始めた。


「さすがに騎士団の名簿とかはないし、町長の傍に誰がいるのかなんてわかるわけじゃないが……」


 思考誘導の魔法を掛けているということは、多少なりとも長期的な計画があったと考えていい。そして、町の人間に影響を与えるだけの範囲である以上は、何かしら兆候があっても不思議ではない。

 普通に調べてもそんな痕跡らしき情報なんて辿り着かないが……この町は元来、魔族からの侵攻もなければ魔物が出現したケースもあまりない、平穏な町だ。そうした中で魔物の騒動とか、魔法にまつわる騒動とか……そういうのがあった場合は目立つだろう。


 果たして――色々と調べていく内に、魔王を打倒して以降に魔法関連の小さな事件がいくつも生じていた。ただ、それについては騎士団が騒動を解決して町の被害は大したことがない。

 例えば魔法道具などが破損して事故が発生したりとか、あるいは魔力酔いのような症状を発生した人がいたりとか。


「魔法を掛けた影響で、魔力にまつわる感覚が鋭敏になったとか、たぶんそういう感じだろうな」


 そうした事件が起き始めたタイミングは、魔王を倒した後……ということを考えると、一連の事件と連なっている可能性はありそうだ。


「そして騎士団が騒動を解決した……単純に見れば治安維持のために動いたと考えるのが自然だけど」


 町長側は動いていないのか……ふむ、これをどう捉えるか。

 そこからさらに色々な資料をめくる。町に関する全ての情報が記載されているわけではないが、色々と知ることはできた。


「後は役所と騎士団詰め所の動向だけど……」


 実は今日の朝、使い魔を飛ばした。町中に紛れる形なので魔族が潜伏していたとしてもバレないだろう。

 で、結果なのだが……着目すべき点が一つあった。役所に馬車が幾度となく止まり、物資を届けている。単なる木箱なのだが、使い魔を通して見た感じだと魔力を帯びていた。


 騎士団に不平不満があることで、町長側が何かやろうとしている……みたいな可能性もゼロでは無いのだが――


「……町長が行動を起こすとしたら、魔族の手引きかそれともこの混乱に乗じてか」


 それを見極めるためには、やはり町中にいるかもしれない敵の姿を探すこと……俺はそう決断し、冒険者ギルドを出たのだった。


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