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霊脈の性質

 数日後、ミリアはパメラから指導を受け終えて旅を再開することに。組織との戦いを通して剣術面についてはミリアにとっても自信になったようだ。

 とはいえ、俺やアルザと肩を並べるにはまだまだ……という見解のようで、さらに研鑽を積むと彼女は言った。


「今度は魔法に手を伸ばすべきかしら?」

「両方ともやる、というのはどっちつかずになる可能性もあるけど……魔族であるミリアなら、その大きい魔力容量を活かして上手くできるかもしれないな」


 剣と魔法、両方扱えるのならそれに越したことはない。戦術の幅が広がるし。


「魔法については良い師匠に巡り会えたらってことでいいんじゃないか?」

「ディアスは教えてくれないのかしら?」

「正直、俺のは参考にならないと思うぞ」


 そう言いつつ俺は肩をすくめる。


「強化魔法が主体だからな。それに俺の魔法は戦いの中で学習したものだ。ミリアが欲しいのは、もっと理論的な話じゃないか?」

「それは……そうね……」

「俺のやり方は戦闘面では確かに有効かもしれないけど、ちゃんと理論から学んだ方がいいよ。ミリアは元々知識もあるみたいだし、その方が強くなれると思う」


 そう語った後、俺達は町の入口へ到達。そこで、


「さて、次の目的地だが……」

「ねえねえディアス」


 ふいに名を呼んだのはアルザ。


「ん、どうした?」

「パメラに挨拶しなくてもいいの?」

「昨日顔を合わせてやったよ。向こうも改まって話をするというわけでもなかったし、問題ない」

「そっか……ならもう一つ質問。魔族は追わなくていいの?」


 その質問にミリアも視線を投げかけてくる。そこで俺は見返し、


「……索敵魔法くらいは使おうと思っていたけど、さすがに現場近くに魔族がいるとは考えにくい。なおかつ、一個人で捕まえられる範囲は超えているだろうからな」

「試しに索敵してみた?」

「いや、さすがに近くにはいないだろうし」

「一応、確認してみようよ」


 ……なぜそうまで言うのか。疑問に思った時、アルザが理由を語った。


「単純にあの終わり方に納得してないだけ」

「……まあ、消化不良が残る決着の付き方だとは思っていたけどな。とはいえ、魔族を追うというのはさすがにしないぞ」

「わかってるわかってる」


 ……とりあえず、近くにいないということがなければ「仕方がないね」と言って終わる話だろう。俺はロスラからもらった小さな水晶球を取り出す。


「とりあえず、魔法陣を展開して探してみるか」

「霊脈を利用できるの?」

「一応……とはいっても王都での戦いのように上手くできるかはわからないぞ」


 ――とりあえず、心当たりのある場所へ赴く。ガルティアから少し離れた森近く。街道から逸れているため周囲に人影はまったくない。

 俺は軽く調査をして、霊脈へ繋がっているポイントを見つけた。とはいえそれを介して索敵をするにしても、どの程度の範囲有効なのかはわからない。


「とにかく、やってみるか」


 範囲は可能な限りということで試してみる。準備を一通り終えた後に、杖をアルザへかざして索敵魔法を行使する。


「水晶球に込められた魔力も付与する。その魔力が俺達が交戦した魔族だ」

「わかった」


 頷いたアルザは目を閉じて集中する。そうした光景を黙ったまま見守るミリアと俺。時間にして二分ほどだろうか……やがてアルザが目を開き、


「ガルティア周辺にそれらしい気配はないね」

「だろうな」

「ちなみに索敵するにしても王都でやった時と比べてずいぶんやりにくいよ?」

「霊脈にも様々な性質があるからな……色々と試してみてくれ」

「わかった」


 承諾しアルザは作業を進める……が、幾度か首を傾げたりしているので、結構難儀している。

 おそらく王都で行った時と比べて集中力なども必要になっているはず……ガルティア周辺の霊脈は戦士団に所属時調べたことがあって、その性質とかも確認したことがある。その際に索敵などに不向きであるという結論に至ったし、やりにくいのは間違いない。


 とはいえ……アルザは索敵を続けるらしい。


「気になったら気が済むまでとことんやるタイプだな、アルザは」

「そうだね」

「わかった。体に負担が掛からない程度には、自由にやっていいぞ」

「よっしゃ」


 気合いを入れた声と共にアルザは再び作業を始める……とはいえ、正直魔族がいるとは思えないのだが。


「あ、そういえばアルザ」

「何?」

「今回交戦した場所周辺にはおそらく魔族の魔力が残留していると思うから、当該の場所で観測できたとしてもハズレだぞ」

「うん、わかった」


 返事をした後、アルザは再び目を閉じて意識を集中。その間、俺とミリアは無言のまま彼女の様子を眺めることに。

 そうした時間は……およそ五分程度続いただろうか。やがてアルザは目を開け、俺へ向け発言した。


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