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作戦へ向けて

「俺はもう戦士団『暁の扉』の団員ではなくなっているけど、個人的に英傑達と繋がりがある。もちろん、騎士であるクラウスなんかとも」


 その名が出てオクトやパメラは「おお」と感嘆の声を漏らした。


「組織打倒の際、その働きぶりを伝えれば、興味を示してもらえるはずだ。元々、パメラはそれなりに名も通っているからな……とはいえ、俺ができるのはそこまでだ。戦士団『蒼の王』についても同じ。名誉回復及びパメラが名声を得るきっかけを提供はできるけど、そこから先どうするかはそちら次第になるな」

「でもまあ、頑張れば英傑と顔を合わせることができると」


 パメラの言葉に俺は小さく頷きつつ、


「そうだ。戦士団に手を貸してくれと言われただけならパメラは納得しないだろうけど、この戦士団によって成り上がれるきっかけが生まれれば――」

「ならやる」

「決断早いな……まあいいけど」


 苦笑する俺に対し、次に発言したのはオクト。


「ディアス、彼女を戦士団の中心人物に据えるということかい?」

「組織撲滅の戦いではそうなるだろうけど、今後は団員次第だな。パメラは腕っ節は強いけど、組織運営とかさっぱりな人間だから、今のところは団長じゃなくて切り込み隊長とかの方が似合っている」

「そうだね。運営とかできないね!」


 と、胸を張りつつ言うパメラに俺はため息一つ。


「言っておくけど、成り上がるためには色々とやることも増えるからな? ま、組織運営の手法とかはオクトに教えてもらえばいいさ」

「私かい?」

「今後『蒼の王』については、団長をオクトがやればいい。別に腕っ節が強くなくても運営能力が高くて団長になっている人はいくらでもいる。で、団のエースをパメラが務めればいいだろ。団長の補佐とかは……オクトが自分で決めて体制を構築すればいいんじゃないか?」

「責任重大だね……」

「再建させるのに一番良い方法だと思ったまでだ。もちろん無理強いはしないけど、それなりに愛着とか思い入れはあるんだろ?」

「そうだね……なら、やれるだけやってみようか。それでディアス、先ほど訓練と言っていたけど……」

「オクトとパメラは、残った団員の能力についてしっかり見極めないといけない。それと、大がかりな戦いだし、それなりにチームワークも必要だ。マレイド達を見ていれば、戦士団としての実力についてもある程度推測できるし……作戦までそう期間はないだろうけど、やれることはやって戦力アップをした方がいい」


 と、俺はパメラへ視線を送る。


「パメラ、剣術道場に連絡を。残った戦士はそれなりの人数だけど、事情を説明すればあの人なら受け入れてくれるだろ。そしてオクトが戦士達に説明して、同意を得られれば早速鍛えようじゃないか――」






 オクトは残る団員達に今後の方針を説明。パメラが加入することに対し驚いた表情を示す団員が大半だったが、不快感はなかったらしい。まあガルティア出身である俺が案を提示して、同郷の剣士であるパメラだから、反発もないということだろう。

 それにオクト自身も慕われているようで、もめ事は一切起こることなく、組織討滅へ向け行動を開始した。その間に俺は騎士達へ事情を説明。最初驚いた様子だったが、俺が率先して動いた事実とパメラの存在もあってか、最終的には同意した。


「残る懸念は戦士団と足並みを揃えることができるか、だな」


 騎士の詰め所で一通り説明した後、俺は述べる。


「個々に動くにしても、互いが邪魔をするような状況は避けたい」

「私達はオクトさんと親交がありますから、彼と密に連携を取ることにしましょう」


 と、戦士は告げる。ふむ、オクトの顔の広さが役に立ったようだ。


「オクトさんは能力的に指揮する立場ですよね? 前線に出ず後陣に控えているなら、情報の伝達はそれほど難しくありません」

「そうだな……なら俺はオクトにそう伝えておく。で、作戦はいつだ?」

「十日後です」


 短いが……ま、多少なりとも日数はある。付け焼き刃にはなるけど、戦士団に残った面々のレベルアップはできるだろう。


「……もし戦士団が大きく変わるのであれば」


 と、騎士は俺へ告げる。


「今後、こちらとしても共に戦っていきたいですね。大きく人数を減らしましたが、それでもガルティアにおける最大規模の戦士団ですから」

「騎士のバックアップとかがあればオクトも安心して運営できるだろうし、それでいいと思うぞ」


 うん、打ち合わせ的に問題はなさそうだ。後は今回の作戦を成功させるだけ。


「ただ一つ、懸念が」


 と、騎士は最後に俺へ語る。


「今回攻撃する組織ですが……魔族が入り込んでいたようです。現在も留まっているかはわかりませんが、もしかすると交戦するかもしれません」

「そこは、俺の出番だな」


 はっきり言うと、騎士は一度目を見開き、


「わかりました。よろしくお願いします」


 頭を下げた騎士に対し、俺は小さく頷いたのだった。


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