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魔族の捜索

 騎士ルードと別れて数日後、俺達は目的地へと辿り着いた。王都が遠方に見える位置に存在する森……小さな森の一角に、魔力の集積点が存在していた。


「よし、それじゃあ始めるか」


 俺は魔法陣を描くべく作業を開始しようとした時点で、ミリアから質問が飛んできた。


「ねえディアス。こういう魔力の集積している場所というのは人にとって貴重じゃないのかしら?」

「んー、森の中にあるけど、何かに活用されているわけではないから疑問に思ったのか?」

「そうね」

「……実際のところ、王都で利用するには魔力が吹き出ていると言っても規模が小さいからな」


 俺の言葉にミリアは眉をひそめる。そこで俺は、


「えっとだな、王都には魔力を利用した施設とかそういうのもあるにはあるけど、基本的に人口が多すぎるから大地から魔力を吸い出して、とかやっていたらすぐに枯渇するって話だ」

「なるほど。だとすると、王都では日常生活に魔法とかは使っていないと」

「そうだな。一般の人はもちろんのこと、冒険者も……魔法を利用して、生活を便利にしている人はいるけど、個人レベルに留まっているかな。まあ、下水を始めとした水道設備とか、インフラに関わるものについては配管とかを魔法で強化しているとかやっているから、魔法と無縁というわけじゃないけどな」

「――ちなみに」


 と、ニックがミリアへ向け捕捉する。


「魔法を使って暮らしを便利にしている、みたいなパターンだと魔石とかに魔力を溜めて、その魔力を利用しているみたいなパターンが多いな」

「溜め込んだ魔力を使って、ということね……確かに王都の人口規模を考えると、大地から力を利用するとか、さすがに無理か」

「当初はそういう案もあったらしいけどなあ。そうだよな、ディアス」

「ああ、王都を建設する段階で、近くに存在する魔力の集積点……そこから魔力を大地から吸い上げるみたいな手法も案としてはあったけど、大地に存在する魔力が枯渇したら作物すら育たなくなるからな。さすがにまずいだろうとして、却下された。結果的には良かったんだろうな」


 語りながら俺は作業を進めていく……五分ほどして描ききると、複雑な紋様を見てアルザは一言。


「こんなものをあっという間に書けるなんて……」

「いや、それなりに修練を積んだ魔法使いだったらできて当然くらいのレベルだから……」


 俺はそう答えつつ、苦笑する。


「俺のはあくまで実戦で使えればいいというレベルだし、正直なんてことはないよ」

「そうなの? まあとにかく、これで準備はできたんだね」

「ああ。それじゃあ早速始めたいんだが……アルザ、魔法陣の中央に立ってくれ」


 言われ、アルザは無言で魔法陣の中央へ。そして俺は杖を彼女へ向けつつ、


「それじゃあ、魔法陣起動」


 杖を持たない左手を振ると、魔法陣が淡く輝いた。


「ニック達とミリアは少し下がっていてくれ」

「こちらに手伝えることは?」


 ミリアから質問が来た。それに対し俺は、


「んー、そうだな……念のため周囲の索敵を頼んだ。魔力を発しているから魔物が近寄ってくる可能性がある。そしてニック、俺はこの魔法発動中はさすがに無防備になるから、魔物が来た場合迎撃は任せた」

「了解、っと……魔力的な支援は?」

「必要ないよ。というか、魔法に他者の魔力が混ざったら魔法が暴走する」


 言いながら俺は杖をアルザへとかざし、魔力を流した。途端、彼女の目が見開く。


「おお……」

「効果のほどは実感できたか?」

「うん、周囲……だけじゃなくて、ずいぶんと遠くまで魔力を察知することができるね」

「王都周辺からまずは調査してみようか」

「いいけど、ディアスは大丈夫? 長時間使用し続けていると反動が来るんでしょ?」

「ダメージが跳ね返ってくる、と言ってもこのくらいの出力なら数時間後影響があるくらいだから大丈夫だよ。さすがにそれまでには成果は出せるだろ?」

「頑張ってみるよ」


 アルザは目をつむる。そして周囲を――王都周辺を探り始める。


「何かあるか?」

「……んー、ずいぶんと遠くで魔物らしき気配が多数あるけど、近くに人の気配もあるから出現している魔物の軍勢だね」

「戦場からは結構距離があるのに、察知できているか……ああ、それは残っている北東と南西の軍勢で間違いないだろう。他に似たような気配を探してくれ」

「怪しいのは、北側かしら」


 ミリアが言及。俺は「そうだな」と同意しつつ、


「王都周辺に異常がないことを確認したら、次は北側を調べてみよう」

「わかった。少し待って」


 そこからアルザはしばし無言となる。一方でミリアやニック達は指示された通り周囲を見つつ、魔物が来ないかを見張り始める。

 ……時間にして、二分ほどだろうか。沈黙を守っていたアルザはゆっくりと目を開くと、俺へ向け言及した。


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