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(あなたにはこの三種の神器より一つを選ぶ事ができます)


1.神剣バルハラ

-それは現世には存在し得ない神の剣。

あなたに襲い掛かるあらゆる難敵を切り裂く刃となるでしょう-


2.宝杖マクシミリアン

-かつて古の大賢者が生涯求めても終ぞ手に入れる事ができなかった幻の杖。

この世の奇跡と呼ばれる秘術はあなたの思いのまま-


3.神様のお家-1Rルームのお部屋。

インテリアの準備、リフォーム等はご自身でどうぞ-



「…なんか一つだけ変わった神器があるけど」

僕はその白い空間の中でつぶやいた。

返答は何もない。

どこまで広がっているのだろう、四方を見渡しても果てが見えず、どこまでも白い空間だけが続いている。

僕がここにくるに至った経緯は割愛させていただく。

平々凡々の高校生がとある不幸な事故に遭遇し、結果、あの世に運ばれてきてしまったというだけだ…涙すら流れないし、僕のために泣いてくれる家族や友人すらいない。

むしろ異世界転生なんてするやつは往々にして不幸の極みにいる人間ばかりだ。

そういう意味では僕は何もない分、よほどましだっただろう。

この世界が何なのかもわからないし、調べる気もない。

ただ先程、突如脳内に響いた無機質な声が三種の神器から一つ選べばと仰るので乗ってみることにした、

それだけである。


(神剣バルハラ、これは確実に当たりだろう。現世に存在しないってだけでレアリティはSSランクは固い…!

でも僕は剣って振ったことないけど使えるかな?使用制限ないといいけど)


(2番の宝杖マクシミリアン!これなんて大賢者すら手に入らないってまさに秘宝中の秘宝!もしかしたらお金持ちになる秘術が簡単にできるんじゃ…でも僕、勉強苦手なんだよなあ。願えば簡単に自動発動するかな?)


(そして最後、なんだこれ…神様の家なのにワンルームって。。説明が神器の中で一番やる気がないよね、でも三種の神器っていうくらいだから何かすごい秘密があるのかな?

…でもなあ、ワンルームって。バス、トイレはさすがにあるよね?…いやわからないぞ。。うーん…)


僕は意を決して質問してみることにした。

「あの3番の神様のワンルーム…」

ってなんですかと言い切る前に脳内にまた無機質な声が響いた。

「3.神様のお家が選択されました。これより異世界転生を開始致します。なお神器変更の受付は行なっておりません、ご了承ください。詳細なマニュアルは異世界転生後、資料を送付致しますのでご確認ください」


「…え?」

(なんてサービス精神のない転生だ…質問も受け付けず3番と言いかけただけで決定されるなんて自動対応がすぎるぞ。

…でもまあなんていうか)



゛オマエにはお似合いだ゛

そんな風に死後の世界の神様にも言われている気がした。

現実は理不尽だ。

いつだって最初から存在している既成事実に

僕らはルールを押しつけられ、

その用意されたレールに従って進んでいる。

例外はない。

もしあるとしたら幸せか不幸か、はたまた無関心か、

そういう受け取り方の違いだけだ。


「…またたいして面白くない人生が始まるのかな」

薄れゆく意識の中で僕は独り言をつぶやく。

すると耳元で声が聞こえた。


「この世界は受け取り方が全てならば楽しむのも悲しむのも

あなたみたいに゛無関心を気取る゛のも、全てあなた次第」


「どうせなら私は楽しんじゃうけどね」

妖精のようにかわいい声だ。

ああ、そうかい。だったら


「せいぜい楽しむよ」

僕は少しワクワクしていた。

こんな声の主が僕が転生した時、そばにいてくれたらあるいは…。

そこで僕の意識は止まり、白い世界の色はすべて黒く塗りつぶされ、すべては闇に消えた。

本編はこの後はじまります。

よければお付き合いいただけると幸いです。

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