殺人の経験
おはようこんにちはこんばんはsakanaです。さて2作品目となる今回の話のタイトルは殺人の経験です。何がこのタイトルとリンクするのか考えながら読んでいただけると幸いです。
『おはよう。なぁ聞いてや昨日5回死んだんやけど』
『おぉマジか。俺は2回』
俺らの会話はこうして始まる。朝は昨日のゲームの結果報告だ。いつも同じ奴が真っ先に話しかけてくる。俺らが話しているのは最近話題のKill and Survival 略してキルサバと言われるゲームだ。男子の中では爆発的人気を誇っている。こうして話しているといつも『この武器買ったか?』『あの大会出るのか?』などの口々に言いながら他の男子も集まってくる。だいぶ長い時間話した後、放課後みんなでオンラインで集まって一緒にゲームをすることになった。俺は少し嬉しくてワクワクしながら授業を受けた。
放課後になってパソコンを開くと既にルームが作られていた。俺は急いでそこに入った。ゲームは順調に進んだ。沢山のやつを殺して沢山勝った。こんなに順調で楽しい回は久しぶりだと思って喜んでいた時に空気を壊しに来たのように1人が急にこう呟いた。
『これ実際でもできそうだな』
皆は一斉にそいつに注目を集めた。そして口々にやばいやつだのきもいだの言った。こんな空気になったものだから続ける気持ちも当然起きず直ぐにゲームはお開きになった。
次の日学校に行くと昨日変なことを言った奴は皆に少し距離を取られていた。俺はすぐにみんな忘れるだろうと思いいつもと同じようにゲームの話をした。
次の日学校に行くとクラスの空気はどこかおかしかった。生徒は皆混乱が似合うような顔を作っていて、中には信じられないと言っている奴もいた。そしていつもは真っ先に話しかけてくる奴が今日はいないことに気がついた。何かうるさいと思っていると、いつもは付いていないはずの教室のテレビがついていることに気がついた。テレビを見て俺は青ざめた。いつも真っ先に話しかけてくるあいつが、映っているのだ。まさかと思いたいが、彼が捕まったらしい。殺人罪だ。彼はパトカーに入る前に警察に向けてこう言った。
『人は殺してもすぐに生き返るのじゃないのか?なぜあいつは死んだのだ?俺がいつも殺してる奴はすぐに生き返るぞ』と。