美少女は最高ということ。
今、夢を見ている。ツンデレ系銀髪美少女ヒロインを不良から笑顔で助ける夢。ちなみにツンデレは俺がそうあって欲しいというただの願望だ。
ベージュ色の太めのカチューシャに、綺麗なロングヘア。そして澄み渡るような綺麗なブルーアイ。はい優勝。銀髪は正義。こんなの不良どころかそこらの野良犬だって声掛けたくなるよ。ってもまぁ、夢なんですけどね。分かってますよ、僕如きが美少女を助けられるわけが無いんですよ、ましてや不良ですよ?瞬殺されますね、はい。
そんなことはさておき、これは明晰夢ってやつなのか?夢の中で意識がしっかりとあるぞ?おいおいでも夢ってやつは、普段の記憶からつくられるものじゃないのか?こんな出来事身に覚えないぞ……いや、身に覚えあっとけよ俺。
そんなこんなで場面は進み、俺が手から火を出しボコボコにする。ってちょっと待て。なんだよ火を出すって!いやまぁいいんだけどね?でも体術の方が現実味あってかっこいいと思わない?そんな夢の中でのツッコミを他所に、美少女は笑顔でこちらに向かってくる。おっと?これを機に気になってくれるパターンか?そして好きになりデートを重ね、エッチもして結婚。良いぞ。最高だ!夢なんだから夢見させてくれよ?
彼女はキスでもするのかと思うくらいに顔を近づけ唇を通り抜け、耳元で言い放った。
「これであなたも、……の一族ですね」
重要なとこが聞こえなかった。
だがこれだけは分かった。何かに恐怖して蒼くこわばった顔をした俺とその横で愛しているのか、憎んでいるのか分からないほどに満面の笑みを浮かべている銀髪の美少女。
夢のはずなのに、夢とは思えない何かを抱き、そして、その二人の意味深な顔を眺めながら、俺は遠く薄れていく意識の中から現実へと覚醒したのであった……