ツキジデスの罠
米中激突を止める方法は
講演会の続編が開催された。
演題は[ツキジデスの罠]。講演内容の要旨は、次のとおり。
2017年11月、グレアム・アリソン著[米中戦争前夜]が刊行された。
著者は説く。
「新興国が経済的・軍事的に台頭するとき、それに脅威を感じる覇権国との戦争を避けることは難しい。今から約2450年前、アテネの同盟国が様々な思惑からスパルタに奔り迷走して紛争を起こしたとき、アテネ将軍ニキアスもスパルタ王プレイストアナクスも、戦争で得るもの少なく失うものが多いことを知っていたので、戦争回避の努力をしたが、両国とも、同盟国救済を叫ぶ国内世論を静めることができず、戦争になった。これを[ツキジデスの罠]という」
16世紀から20世紀前半までの 新興国・覇権国 対立13例を顧みると、戦争を回避できたのは、イギリスが覇権国の座を諦めた1例のみ。
中共は、発足時から指導理念を変遷させてきた[労働者階級闘争→大躍進→文化大革命→改革開放→三個代表〔共産思想放棄⇒中華思想回帰〕→科学的発展→軍民融合]。
中国内では、総ての組織が中共の支配下に組み込まれる。それを拒否した 法輪功 は、厳しく弾圧されてきた。
中共が法輪功を弾圧するようになったきっかけは、法輪功が、心身健康増進方法(知識修得・太極拳練習)の普及だけで会員登録しない活動方式を改めず、学習者の把握を拒否して、中共の人民支配に協力しなかった事にある
[軍民融合]とは、民間の経済活動も、中共の支配下に組み込む意図を示した戦略である。
中国の電子取引は、2019年、総額35兆元になり、同年末、ユーザーが9億人を超えた。小売店でも、デパートやタクシーでも、スマホを使った支払いが普及し、現金を持ち歩く必要がなくなった。春節のお年玉もスマホで子供たちに贈られている。中心的役割を果たしてきた中国電子取引最大手「阿里巴巴集団」が中共政権の人民支配具に組み込まれることを承服しなければ、創業者 馬雲氏は、法輪功創始者 李洪志氏の轍を踏むことになるだろう。
経済的・軍事的に台頭してきた中共が、[中華思想に基づく華夷秩序回復]を思いとどまる要素は無い。
一方、[隷従支配体制を敷く中共]への覇権譲り渡しに承服するアメリカ国民も居ないだろう。
両雄の激突を止める方法については、中共の指導理念を替えさせることくらいしか思いつかない。




