第8話 かみなりこわい
雷の直撃を受けた俺とフユはマヒのデバフを貰い動けぬまま正座させられていた。
「二人とも反省してますか?」
「リューがからかうのが悪いと思うにゃ」
「いくら人間より身体能力が高くても筋力SSはないだろ」
「メイサーで鍛冶師ならそれくらい普通にゃ!」
「獣人の亜人は全員ゴリラなのか」
「馬鹿にしてるにゃ!?」
「2人とも少し静かに。まだ昼で本火力は出ませんが2人を消し炭にすることくらいなら出来ます」
「「はい...すいません」」
ギルド前の大広場で正座させられ説教されるというのは生まれて初めてのことだった。
まあ、人生で何度も死を実感したくはないがな。
「リューさんは女の子に向かってゴリラとか言わない、フユはそういうのは無視する。いいですね?」
「「えー」」
「なにか?」
「「い、イェス、マム」」
☆
リーンフォード領に着いて数日は観光をした。
リコも来たことはあるものの行く場所は決まっていたため、裏路地とか大通りから外れた場所は初めてだそうだ。
そして4日目。
「早速仕事を受けようと思うが何がいい」
「あまり強くないと嬉しいです。日が沈めば本気が出せるんですけど…」
「フユも行くか?てか来てくれ。モンスター相手だと手が空かない時が出てくるかもだし」
「そういうことならお易い御用にゃ!」
フユ追加のメンバーだと立ち回りを考えなきゃいけないな...フユの攻撃が当たったら即死だろうし。
リコとフユは掲示板に貼ってある仕事の中から適当なものを持ってきて貰った。
「リューさん。これでいいですか?」
「見せられても読めないから分からん」
「さすが知能F。その歳で読み書き出来ないのは恥ずかしいにゃ〜」
こちとら7歳の時に両親を亡くして以来勉学よりも生きる術を身につける必要があったんじゃい。
教科書とかいう紙の束と睨めっこするならその辺の動物と睨めっこして食料を手に入れた方が断然有意義だろう。
「だからリコが必要なんだろうが。俺は読み書き出来ないんだから」
「女の子に向かってそんな無粋な言い方はないにゃ...どうせなら『お前が必要だ』くらいは言わないとダメにゃ」
「最悪適当に取ってこなすだけだから、必要性はそんなにない」
「酷いです!」
リコにポカポカ殴られながら向かったのはギルドから北へ行った草原。
パッと見渡した感じ数種類の動物が生息している。
「で、聞き忘れてたけど目的はなんだ?」
「エクウスという馬のような動物です」
「モンスターじゃないのな」
「いえ、歴としたモンスターですよ?ただ攻撃してこないというだけです」
「それはももう動物だろ...」
動いてればなんでもモンスターかよ...
「んじゃあの水辺にいる奴を狩ればいいわけだな?」
「そうですね。あ、でも倒すのは3頭だけなので気をつけてくださいね?」
「....善処する」
勢い余って斬っちゃうことは何度かあった。
その度にリコにどやされるからたまったもんじゃない。
☆
「リューさん...大丈夫でしょうか…」
「そんなに心配なら見てくればいいにゃ」
「でもリューさんはここにいろって…」
「大事にされてるにゃね」
「そうでしょうか?」
そんなことはないと思いますけど...あ、でもリーンフォードに着く前は酷かったんですよ!
「いきなり鹿さんを殺せとか言うんですよ!?酷くないですか?」
「いきなり人を殺せと言われるよりマシだと思うにゃ。リューは旅の怖さを知っていると思うにゃ。その過程で仕方なく、人を殺したことだってあると思うしそれが普通な世界で生きてきた人間にゃ。それくらい出来なきゃ旅は出来ないってことにゃ」
「それはそうですけど…でも!水遊びする時も後ろを向くだけでその場に居たんですよ!乙女の裸を見て変なことしてたに違いないです!」
「...家の風呂場じゃないんだから危険なのは当たり前、危険から守るためだと思うにゃ…」
...そう言われてしまうと何も言い返せないのですが...
「リューさん、私の事どう思ってるんでしょうか?」
「どうって?」
「邪魔...なんて思ってないですよね?」
「...さぁ?それはリューに聞かないと分からないにゃ」
「うぅ...気になります」
☆
「狩って来たぞー」
「あ、おかえりなさ...リューさん!血は流してきてください!」
「いや、倒したら即解体しなきゃ鮮度が落ちるだろ?」
「せめて顔に付いた血は流してきてください!」
文句の多いお嬢様だ。
日本の東京じゃあ血なんてものはその辺の石ころより多く見るぞ?
「解体はフユがしてくれますので!早く流してきてください!」
「へいへい」
血が無理なのは変わらないな…結構血とか見て慣れたと思ったがそんなこと無かったか...
ま、徐々に慣れていけばいいか。