第7話 ゴリラかよ...
「おはようございます」
「寝れたか?」
「はい。それはもう快眠です!」
慣れない旅で疲れてるんだ。
ゆっくり休めばいい。急ぐことは無いからな。
「リューのギルド登録に行くけどリコも行くかにゃ?」
「はい、ご一緒します。」
3人揃ってギルドへ
街への入った時から見えていた大きな建物。
あれがギルドの本部らしい。
「リコは既にギルドに入ってるにゃ?」
「入ってはいますけど記録が昔のものなので更新しないとですね」
「リューは新規登録、リコは更新にゃね。」
「リーンフォードギルドへようこそ。ご新規様ですか?」
「ああ、そうだ。」
「ではこちらにお名前をご記入ください」
「代筆って頼めるか?」
「はい。分かりました。」
文字が読み書き出来ないってのも考えものだな…計算だって出来ないし。
足し算すら分からないんだから救いようがない。
「はい。では能力検査を行いますのでこちらへ。」
連れてこられたのは部屋の中心に水晶のようなものが置かれた部屋。
「こちらにお手を置いてください。しばらくしますとリュー様の能力が出ますので合図までお手はそのままでお願いします」
「ああ」
言われた通り置くと水晶が淡く光り出した。
光り出して直ぐに目の前に日本語で書かれたなにかが飛び出した。
名前:黒井龍輝
職種:剣士
筋力:S
耐久:D
俊敏:A
魔力:F
幸運:E
知力:F
...なんだこれ。
読めないし変な記号まで混じってるし...意味がわからない。
「はい。もう大丈夫ですよ。これがギルドカードというものになります。大切な個人情報なので紛失にはお気をつけください」
「あ、ああ」
「早速、クエストを受けてみますか?」
「仲間がいるから後で頼む」
「分かりました。」
受付嬢からギルドカードを貰ったはいいが、全く読めないためあんまり意味がなかったりする
「リュー、どうだったにゃ?」
「え、筋力と俊敏がいきなりA以上ってすごくないですか?」
「剣士でこれは珍しいにゃ。普通は耐久が高いはずにゃ」
「悪いが2人共、俺読み書きが出来ないんだ。カードになって書いてあるか説明頼む」
「1番上の文字は名前です。
その次が職種...主に武器から決まります
筋力──力の強さ
耐久──体力の多さ
俊敏──動作の速さ
魔力──魔力の量
幸運──運の良さ
知力──頭の良さ
という感じになります」
「分かりやすくて助かる。リコはどうだったんだ?」
「これが私のギルドカードです」
名前:リコ・シルフィード
職種:魔法使い
筋力:E
耐久:E
俊敏:D
魔力:S
幸運:A
知力:A
「後半が高いのか?分からないけど」
「魔力・幸運・知力が同年代と比べてトップクラスです!」
ドヤ顔の所悪いが昼間に使えないという最大の弱点をお忘れではないだろうか。
あれがなければ最強の魔法使いに慣れたんじゃないか?
「フユは登録しないのか?」
「もうしてあるにゃ」
差し出されたカードには俺と同じような文字が書かれていた。
名前:フユ・リーンフォード
職種:メイサー、鍛冶師
筋力:SS
耐久:A
俊敏:B
魔力:E
幸運:D
知力:C
「筋力がSS!成長しましたね!」
「ふふん!リューより強いにゃ!」
「女で筋力SSとかゴリラかよ…」
「リュー?ちょっとこっち来るにゃ」
「止めとく。その爪と殺気をしまってくれたら行くわ」
「その頭潰すにゃ!」
俊敏は俺の方が上、なら勝てる!
ギルドから真っ直ぐ走ったが何者かに肩を掴まれた。
...今の状況で俺を追って尚且つ俺に勝てるほどの俊敏を持っているのは1人しか知らない。
「捕まえたにゃ…にゃ!」
「殺るならこっちだって本気で行くぞ…」
「上等にゃ…」
ギルドから少し離れた広場の中心で鍔に指をかけ抜刀の構えを取る。
相手は獣人、ワーキャット。
獣人全員に当てはまることだがその身体能力は人の上限を軽々と凌駕する程だと聞く。
今も恐らく追いついた時点で俺の頭を潰すことだって出来ただろう。
「リコにはフユから言っておくにゃ」
「ここで死ぬ気はねぇよ…」
俺とフユがほぼ同時に踏み込んだ瞬間、頭上からいきなり雷が落ちた。
「にゃー!」「痺れる!」
ビリビリと帯電した俺とフユは雷を落とした張本人、リコに物凄く怒られた。