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第74話 二刀流奥義ー死の惨劇

「戦闘の神…イリス様…」


ナイト・コアの仲間の1人、イリスが剣に付いた血を拭っていた。

それだけではない。


「ほらあんた達邪魔よ」


空から降る数えるのも大変なくらいの数の矢。

セリーヌの横には弓矢を構えた恋愛神、シェリーがいた。


この2人はリューと比べると戦力としては劣るだろう。

だがリューとナイト・コアを除けばこれほど強力な助っ人はいないだろう。


「ちょっとイリス!いきなり突っ込んでくなんて危ないじゃない!」

「すまない。せっかく出来た弟子を失いたくなかったものでな…」

「ま、その気持ちはわかるけど…この辺のモンスターは片付けたから他を探しましょ。シアとカトレアコンビに負けたくないから」

「ああ。わかった…弟子よ、愛する者を守るのは大変良いことではあるのだが、そうやって身を呈して守って自分が死んでしまったら元も子もないのだぞ。今度から気をつけて戦闘するように」

「はい。わかりました師匠」

「う、うむ」


師匠と呼ばれ少し顔を赤くしたイリスはシェリーを追いかけていった。


「ビックリした…師匠が来てたなんて…戦闘はあまり好まないとか言ってたけど…」

「アレン…そろそろ退いて欲しいにゃ」

「ああ、ごめん。フユさん怪我はない?」


フユは返事の代わりにコクンと頷いた。


「よかった…僕にもうちょっと筋力があればよかったんだけどね。でもよかったフユさんに怪我が無くて」

「…ないにゃ 」

「フユさん?」

「よくないにゃ!なんであんな危ないことをしたにゃ!フユは亜人でアレンより怪我の治りも早いにゃ!それなのになんで!…なんで…」

「ごめんフユさん。僕にはこれくらいのことしか出来ないと思ったからだよ。守ることが僕唯一の仕事だからね!」

「今後一切自分を犠牲にして守るのは禁止にゃ」

「…善処するよ」


フユとアレンがいい感じになっているなか待ちぼうけをくらってる他の冒険者は邪魔しないように極力気配を消しながら微笑ましく見守っていた。


アレンがフユに説教を受けているのとほぼ同じ時間。


眉間を貫かれ後ろに倒れた俺は一瞬なにが起きたのかわからなかった。

おでこになにか当たったかと思ったら一瞬のうちに後頭部へと感触が移った。


血が抜ける感覚…何度目のことだろうか。1番最初がナイト・コアその次はヒュドラ戦…意外と死にかけてるんだな。

いつもならリコがそばにいて回復してくれるけどリコは今この場にいない。

サイクロプスが突っ込んできた拍子に金髪の男が奥へと連れて行ってしまった。

だから俺は焦っていた。

隣では口にタオルを巻かれた女王が「うー!うー!」と唸っている。


「はは…あははははは!やった…やったよ!遂にぼくはライバルに勝つことが出来たんだ!どうだいリュー?あ、もう喋れないよね!悔しい?悔しいよね!こうやって君が地に伏すなんてこと今まで無かったもんね!敗者の気持ちが少しは理解出来ただろう?その感覚が敗者の感覚だよ」


ごちゃごちゃとうるせぇ奴だ。

前はこんなに喋らなかったのにな。


「うるせぇよ。あんなんで俺を殺した気になるな」

「え…なんで…なんで生きてるんだよ…」


最強が言った『不屈の英雄』。

言われた直後は意味わかんなかったけど今ならわかる。

不屈…屈することがない。なにに?なにに屈することがないんだ?

そんなの簡単だ。


『死』だ


死に屈しない。すなわち死なない。

ナイト・コアに斬られ死を実感して得られた能力。

あの時死者の世界に行ったにも関わらず簡単に帰って来られたのは俺は死んでなくてただ眠っていただけだから。

そう考えるとヒュドラ戦の時に奇跡の神のすこしの回復で動けたことも水中で呼吸が出来たことも説明がつく。


「なんで…頭を撃ち抜いたはずなのに…」

「なに驚いてんだよ…お前だって最初首斬った時に首ない状態で動いてただろ?」


なにを驚くというのか。

自分だって同じことできるくせに。


「これでお互い死なない身体ということが証明されたわけだけど…まだやるか?」

「…!当然だとも。ぼくは君を足止めするという任務がある。金色が魔法陣を起動するまでぼくと遊んで貰うよ」

「飽きたからとっとと決着つけて金髪野郎のとこに行く」


『全武装解除』


また魔法陣が出てきた。

だが今回は数が圧倒的に多い。


「死なない奴に何発撃ち込んでも無駄だって!」

「なら勝負と行こう。君の不死身が勝つかぼくの魔力弾が勝つか」

「面白そうだな。やるやる!」


『一刀流奥義ー居合ー真空』


一斉射撃により部屋全体に弾丸が乱れ飛ぶ。

その中で立っていられるのは戦友と俺だけ。女王は魔法で壁を出し自分を守っている。

そんなことするなら移動すればいいんじゃないかと思うのは俺だけだろうか。


「逃げんな!」


広い部屋の中をあっちゃこっちゃ逃げる戦友。

手首を斬っても即座に再生し何事もなかったかのように動かす。

身体の部位は全て再生するように出来ているらしい。


なにかないのか?あの最強ですら過去に死んでるんだ。最強よりも弱いこいつが死なないわけはない。

なにかあるはずだ。

間合いには常に入っている。まあ、倒し方がわからないなら全て試すのみ!


『黒井流抜刀術ー真一文』

『一刀流多段技ー五月雨』

『一刀流多段技ー天叢雲』

『二刀流奥義ー龍爪激烈』


これら全ての技を叩き込んだ。

だが


「あはは!そんなんじゃぼくは殺せない!さあさあ!そろそろ魔法陣の展開が完了する頃だよ。もたもたしてると彼女が抜け殻のようになってしまうよ」

「わかってるだからお前と戦ってるんだろうが」

「随分と余裕だね」

「実際焦ってる」


だからこの一撃で決める。


『二刀流奥義ー死の惨劇』

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