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第71話 個々の役割

ミノタウロスの攻撃は重く速い。

あの巨体からどうやってそんな速さを出してんだって聞きたくなる。

横に振られる斧を上を滑って回避続けざまに振り下ろされる斧を横への回転で回避した。

振り下ろされた斧によって石畳が砕かれ、俺の視界を奪っていく。


「クッソ!」


下がって距離を取ろうとするがそもそも体がでかいから間合いから逃げることが出来ない。

今いるこの前庭全てがこいつの間合いと言っても過言ではない。


だが、こちらにも武器となる効果もある。

赤色の光を受けてから体が軽い。疲れが溜まったはずの腕も動く。

これならミノタウロス単騎討伐も可能だ。


「お前の攻撃パターンは全て分かった。操られて動きが単調になったな」


体長20メートルはくだらない巨体を誇るミノタウロスにも弱点はあった。

巨体、その巨体こそが弱点だった。

前庭全てが間合いだと言った。それは間違いじゃない。

体の下に入られればその巨体も仇となる。


俺は下に入ってすぐにアキレス腱とその周辺の筋肉を斬った。


「これでもう動けないはずだ。今度こそ終わりだ」


『黒井流奥義ー龍ノ牙』


体の前で交差した刀をミノタウロスの首めがけて切り裂く。

二本の刀は極太の首の骨をも両断した。


「な、なんで...ミノタウロスを単騎で倒すなんて...ありえない」

「最強の剣術と比べたらまだ有り得るって。あれはもう異次元の攻撃だからなって聞こえてないか」


魔力の使いすぎか緊張したのか赤色は気絶してしまった。

鞭だけ没収した。また暴れられると厄介だから。


前庭で準備運動を終えた俺は王城の中へと足を踏み入れた。


「金色、赤色がやられたよ」

「...そうか彼女はよく働いてくれた」


赤色...たしか赤い髪の魅了の能力持ちだったはず。

それがやられた?誰に?


そんなの聞くまでもない。玉座の間にも聞こえた咆哮。

あの声はリューさんのものだ。


「仲間が1人死んだっていうのに随分と余裕ね」


隣で鎖につながれているメアが挑発を始めた。私が言うと思ったのに...。


「最強がいる時点で生きて帰ってこられるとは思っていない。分かっていたことだ」

「分かっていたのに行かせたんですか?」

「私以外のだれが死のうと触媒さえあれば問題はない」


分かっていたことですが結構な外道です。

リューさんが見たら「お前最低だな」と蔑みの目をセットで直接相手にぶつけるでしょう。


「けど、この短時間でやられるのは想定外だね。ここまで来るのは時間の問題だと思うよ」

「この王城にも既にモンスターを配置している。簡単にはこれまい」

「あの男はその予想を裏切って来るからね」


金色が言っていたことは本当のようで床が揺れるほどの地震が起きていた。

座っていればわかるほどの振動。


リューさん...どうか無事でいてください...。


「あと魔石っていくつあるんですか?」

「あと50個ほどだろ」

「多いですね...」

「王都を包み込めるほどの結界だからな。それくらい多くて当然だろ。それよりも問題は...このやかましい雑魚どもだろ」


空を覆うモンスターの大群は王都の上空を飛び回り無差別に攻撃を繰り返している。

その攻撃は私達を襲う。


「まったく…学習しない馬鹿どもだ」


ナイト・コアが剣を振るう。

それだけで敵の攻撃が消えその先のモンスターを両断する。

結界の影響で威力が大幅に落ちていると自分で言っていたけど大幅に落ちてこれなら本来の威力はどんなものなんだろう。


「気になるか?」

「別にそういうわけじゃないです」

「魔力さえ使えればここらにいるモンスターを皆殺しにするくらいは出来るな。結界の外にはミミやシェリーもいる。結界さえ破られればオレたちの勝ちだ」


神様と云われる彼らは単騎で国一つを滅ぼせる程の力がある。

ナイト・コアに至っては昔に王国の政治を支配していたなんて逸話まである。


「ちょっと落ちるから捕まってろ!」

「え、きゃあああ!」


ナイト・コアの宣言通り、塀の一部が消えロウさんごと下に落ちた。


「なんですか!いきなり!」

「その文句はさっきまでオレ達がいた場所を見るんだな」


そう言われさっきまでいた場所を見てみるとドロドロに溶けていた。

もし身体に当たっていたら今頃生きてはいない。


「お前か…オレ達を襲ったのは…」


王都の中心に現れた一つ目の巨人。さっきご主人様が戦っていた牛型のモンスターより大きい。

発せられる殺意はとてつもないほどの威圧感で気を抜けば意識が飛んでしまいそうなほどだった。

私が意識を保ってるのもやっとなのに隣の最強は飄々としている。


「サイクロプス…昔に全滅させたと思ってたが…生き残りがいたか」

「この大きさのモンスターを全滅…ですか…」

「ああ、ちょっとデカくて目障りだったからな。ここはオレがタゲ取るから残りの魔石は頼んだ。壊し終わったらそこの狼にでも吠えさせろ」

「わ、わかりました!死なないでくださいね」

「誰にもの言ってんだ。オレは最強、ナイト・コアだぞ!」


サイクロプスより濃い殺気を放つナイト・コア。

充てられないうちにロウさんに乗って残りの魔石を壊しに行く。

後ろでは既に交戦していて塀が砕ける音が聞こえてくる。


狭い塀の上をロウさんの背中で伏せながら進んでいく。

向かって来るモンスターは私が撃ち落としたり、ロウさんが食べたりと駆除していった。

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