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第70話 赤色の戦い

ロウさんの背中に乗って塀の周りを飛び移って紫色に光る石を砕いていく。


「ロウさん。大丈夫ですか?」

バウッ!


「そんな一個砕く毎に聞かなくてもこいつなら大丈夫だ」

「仲間を思うのは大事だってご主人様は言ってました」

「全く…本当に銃弾飛び交う世界から来たのか?そんなんだったら死んでてもおかしくないんだがな…」


嘆息するナイト・コア。

魔力などの補強が出来ないはずなのに息一つ切らさずにロウさんについて来ている。


「これで…3つ目」

「石の数は全部で12個だ。それさえ無くなればオレは動ける」

「ナイト・コアなら…その辺の棒でも拾って攻撃出来るんじゃないですか?」

「んまあ、そうだな。わざわざ剣にこだわる必要はないな」

「ならどうして」


ナイト・コアは溜息をついた。


「今回の騒動の中心はリューだ。本来ならアイツが解決すべきことだしオレが出しゃ張る場面じゃない」

「その割には私を守ってくれてますよね」

「頼まれたからな」


違う。この人はどんなに頼まれてもやりたくないことはやらないタイプだ。そんな人が頼まれたからなんて理由で協力したりしないはずだ。


「…なんだよ…その目」

「疑っています。本当に味方なんですか?」

「…アイツの能力は教えたな?それが面倒くさいだけだ。オレじゃリューを殺せない」


ただそれだけと言ってナイト・コアは街のメインストリートを走るご主人様を見た。

撃たれる弾丸を斬っては身を隠し走っては弾丸を斬っていく。

音より先に来る弾丸をどうやって斬ってるんでしょうか?もしかしてご主人様には弾丸はスローモーションに見えてるんでしょうか?


「やっぱり化け物じゃねぇか。魔力なしで弾丸を斬るなんてこと、オレには出来ないな」

「出来ませんか?」

「まあ、斬るより避けるし魔力なしだと多分掠る」


最強に出来ないことをやってのける。そこに痺れる憧れる。

ご主人様は路地に入っていった。


「そろそろか…」

「なにがですか?」

「来るぞ!」


ナイト・コアの合図と同時にロウさんが暴れ始めた。

いや、降ってくるなにかを避けている。


「おいおい…あれ全部モンスターの群れかよ…」


つられて空を見た私は絶望した。

見たのは空一面を覆い尽くすモンスターの大群だった。


二本の刀が敵の腹を首を足を切り裂いていく。


突き出された盾ごと腕を斬り裂き、怯んだ隙に胴体を真っ二つにする。

振り向きざまに刀を振れば数体の首が吹き飛ぶ。


「道を開けろ!」


走りながら向かって来るモンスターを斬る。


王城の門の前に来る頃には俺も刀を血だらけだった。

これだけ斬って血を沢山吸ったはずなのに斬れ味は落ちるどころか上がっている。

不都合はないからいいけどさ。


射撃が止み安全となった橋の上を走り抜けると前庭に到着する。

改めて見ると広い庭だな。


前庭を進んでいるとヒュン!という空を切る音が聞こえて来た。


「はーい。快進撃もここまでよ」

「誰だお前」

「ああ、彼女を攫った時には私は居なかったから初顔合わせね」

「そうだな。俺はリュー」

「私は赤色。真紅の踊り、一緒に踊りましょ?」


赤色が鞭を振るうと地面から数体のリザードマンが現れた。オルディンの時見た赤色のリザードマン。


「私の傀儡達。他にもいるけどまずは休憩がてら小手調べといきましょう」


赤色がまた鞭を振るう。


「行きなさい!あんた達!」


たかがリザードマン。特に赤色のリザードマンはオルディンで結構な数やり合ってる。

だから戦い方もわかる。


突っ込んできたら最初に火を吹くから懐に潜り込んで腹から斬ればいい。

次々と生み出されるリザードマンは一向に減る気配を見せない。


「あらあら、灰色の結界を破ったっていうからどんなものかと思ってみたらこの程度?」

「うるせぇ!自分で戦ってないくせに文句言うな!」


リザードマンの様子からアウローラと同じ魅了系の鞭だ。

赤色本体に攻撃しようにもリザードマンが盾になって近づけない。


「リュー!お前、なに遊んでんだ!」


リザードマンの大群に苦戦していると頭上から声が飛んできた。

遠すぎて顔までは分からない。だがこれだけは言える。


絶対に馬鹿にした笑みを浮かべているということ。


「そんな雑魚に手間取ってたら一生オレに傷なんてつけられねぇぞ!」

「んなこと言ったって数が多すぎるんだ!」

「一対多数の戦い方を教えただろ!」


あれで教えたことになるのか?

モンスターの巣に放り込まれただけだが?


「やらないとこいつは貰うぞ!」

「ふざけんな!お前なんかに渡すか馬鹿!」

「なら動け」


言われなくても動いてやるよ!


最強に挑発され、やる気が補充された俺は二本目の刀を鞘から抜いた。


「行くぞ赤色。リザードマンじゃ足りないくらいだから予備を用意しといてくれ」

「粋がるじゃない。なら見せてもらうわ。貴方の本性」


『うああああああぁぁぁぁぁ!』

「馬鹿かあいつは」

「え、なに?ご主人様になにしたんですか?」


後ろから聞こえる咆哮。モンスターのようにガラガラ声でもなく、奇声でもない、人の声。


「さっきリューと戦ってた赤色の髪の奴いただろ?そいつの能力だ。『欲望』っていう相手の本性を強制的に引き出す系の」

「それとあの咆哮の関係が...」

「リューはガキのことから戦ってたんだ。人も普通に殺しただろう。そんな奴の本性なんて決まってる」


オレ以上の狂戦士(バーサーカー)になるってことだ。


まずい...体が言うこと聞かない...。

なにをされた?赤い光が光ったと思ったらこの有り様だ。


「ミノタウロス!私を守りなさい!」


赤色が慌てて出したモンスター。

ミノタロスの上位互換で両刃の斧を持つ肉体派のモンスター。

たしか、10人のパーティが5個必要なんだっけ?まあ、いいや。

今は俺1人しか動ける人間がいない。なら俺が倒すしかないだろ。


「ぶった斬ってやるよ...!」

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