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第69話 王都到着

朝、リコが誘拐されてから2日目。


「起きたか寝坊助」

「最強…王都に先に行ったんじゃなかったのか?」

「行ったんで帰ってきた」


最強からの話によると王都は謎の結界により入れないという。

結界を壊せるほどの力を持った最強でも壊せないほどの強度らしい。


「ったく…めんどくさい相手だな。魔法系統の攻撃が一切通らない」

「最強なら魔法なんて使わなくても十分だろ」

「魔力ってのは、所有者の意識とは関係なく漏れるものなんだ。使おうと思ってなくても自然と出る物なんだよ」


案外魔力持ちも大変らしい。

で、ここからが本題だ。


「なんで俺の元に来た」

「そんなの決まってるだろ?」


目を合わせてお互いに笑う。

これが利害の一致というやつか。


「ものは一つ相談だ。オレがお前らを王都前まで運ぶ変わりに結界を壊してはくれんかね?」

「勿論。喜んで」


これで日程に関する心配はなくなった。

朝早く、まだ寝ているメイをロウの背中に乗せてナイト・コアのゲートをくぐった。


朝日が昇って玉座の間にも朝日が差し込む。


「まーだやってるすか…懲りない人達っすねー、結界は絶対に壊れないのに」

「中にこの国で1番偉い人が居るんだから当然といえば当然よ」

「金の兄貴、モンスターの到着はまだっすか?正直、彼らが居ないと魔法陣を起動中に邪魔が入るかもっすよ」

「予定より遅れているな…」

「最強に狩られたなんてことないでしょうね?」

「その心配はない。たしかに数万の気配がこちらに近づいている」


焦りを見せる王都陣営だが彼らに更なる追い打ちが待っていた。


「…?…!大変っす!」

「なんだ騒々しい…」

「王都全体を覆っていた結界が破られたみたいっす」


彼らが張った結界は何重にも重なる結界で外に行けばいくほど硬く、壁としての役割を果たす。

その1番硬いはずの結界が破られたと知らせが灰色のもとに届いた。


「…冗談はやめてよね。結果がそんな簡単に壊れるわけないじゃない」

「そもそもだ。魔法を使わない攻撃で壊せるわけはないんだ。我々の微弱な魔力ですら反応するんだ。破壊は不可能だ」

「今すぐ追加で張って来るっす!お二人は触媒が逃げないように見張っててくださいっす!」


灰色は椅子から飛び上がると結界の張り直しに向かった。


その光景を見て白色は興奮とも取れる笑みを浮かべていた。



「硬い壁だな。フユの武器じゃなかったら壊すの無理だろ」


王都への入り口、門前の橋で行く手を阻む壁をフユのハンマーで壊していった。

二枚ほど壊したところで疲労が襲ってくるが、んなこと言ってる場合じゃない。

リコを助けてさらった奴を叩き斬るという目標が出来た今、休んでる暇なんてない。


「んが!壁が消えた?」


勢いよく振り回したハンマーの重さにつられ前のめりなった。


「壁は全部壊し終わったぞ!」

「…っチ。魔力はやっぱ使えないか…魔剣も抜剣出来ない。本格的にオレ対策されてるな」


そら、この状況を一気にひっくり返す心配があるとしたら最強だけだからな。


門の前で集まっているとふと殺気を感じた。

飛んできた何かを斬り捨てると後からバァン!という破裂音が聞こえてきた。


「…この音…」

「銃の音だな。しかも遠距離からの狙撃と来たか」


ライフル銃による遠距離からの狙撃。こんなこと出来る奴は俺は1人しか知らない。


「最強…俺は王城に行く。メイを頼んだ」

「ご主人様…」

「大丈夫だ。今度会うときはリコも一緒だ」


心配そうな顔をするメイに精一杯笑いかけて王城へと続く道を走った。


「さあて、メイと言ったな。お前には仕事を頼みたい」

「仕事…ですか?」

「この忌々しい結界の大本命を壊す仕事だ。リューと一緒で魔力がないなら行けるはずだ。弾丸の処理はオレがやる。魔石という石があるから見つけ次第砕け。それがリューの手助けになる」


「ロウさん。お願いします」



ダン!ダン!ダン!


王城からの狙撃は止まらず、家や障害物を盾にして進むしかない。


「相変わらず正確な射撃能力だな。羨ましい限りだ」


狙撃手に賞賛の言葉を送りながらも心情が変わることはない。

この刀の間合いに入った瞬間、斬る。


裏路地を通って射線から逃れながらの行動だから王城に全然近づけない。

そして今1番の心配ごとは謎の気配。

王女の向こう側からジワジワと近づくそれは不気味の一言に尽きる。


「時間がない…」


時間短縮のために大通りを走っていると今度は岩が降ってきた。いや、岩のモンスターが降って来た。

あたりの家を壊しながら落とされる岩は着地と同時に起き上がり奇声をあげる。


不気味な気配の正体はこいつらか…王都を覆い尽くすほどのモンスターの大群。

魔法というこの世界における武器を取り上げられ、最強という駒も封じられた俺たちに迫る数万はくだらないモンスターの群れ。

邪魔なモンスターを斬り捨ててはいるが一向に減る気配を見せない。

射撃は止んだものの、今度は物量で押される。


すまんリコ。無茶はしないと言ったが無理そうだ。


俺はモンスターの大群を突っ切った。

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