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第6話 リーンフォード領

リコの領地を出て2日が経過した。


「着きました...ここが友人のいるリーンフォード領です...」

「相当疲れてるんだな。」

「それはもう今すぐにでも寝たいくらいですよ」

「夜に魔力が活発になると大変だな」


魔力には昼と夜で活動の仕方が違うらしく昼は激しく夜は大人しいらしい。

リコの場合、夜に活発になるため熟睡が出来ないのである。


「俺に魔力がないからその苦労は分からないな」

「ズルいです。不公平です。全ての人にあるはずの魔力がないなんて...」

「その分、魔法の便利さは分からないがな」


絶対、魔法詠唱してる間に距離詰めて斬った方が確実な気がするんだが...まあ集団戦の時には使えるかもしれないが。


「その友人はここの領主の娘なのか?」

「そうですよ。ワーキャットの獣人の女の子で可愛いですよ?」

「獣人...」


ここに来る間でも何人かすれ違っているが...違和感がやっぱりあるな。

人は耳が顔の横にあるのに対して獣人は頭の上だからな。


「獣人の差別はここでもあるのか?」

「完全には取り切れてないみたいです」


人種差別というくだらない考え。

自分と違うものを劣等種と決めつけ蔑む。

頭の悪い証拠だ。


「差別がある中、よく領主になれたな」

「私の父が深く関係してると思います」

「ほう。あの人ならやりそうだな」


状況の整理とか下手そうだし。

ゴリ押しで決めそう。


「着きました!ここが私の友人のお店です!」

「...なんて書いてあるのか読めない」


喋っているのは日本語だが文字はこっちの文字で表記されているため読むのは不可能。

日本語だって読み書き出来ないのに異世界語を覚えろとか不可能に近い。


「『鍛冶屋』とあるだけですよ」


リコが扉を開けるとカランカランというベルがなり暗い店内に光が差した。


「留守なのでしょうか?」

「部屋が暖かい。いると思うぞ。出て行ったとしてもまだそんなに時間は経ってないはずだ」

「フユ?居ますか?私です!リコです!」

「待ってにゃー。今そっちに行くにゃ!」


その声と共に出てきたのは俺の胸くらいまでしか身長がない獣人の女の子だった。


「紹介します!私の親友のフユ・リーンフォードさんです!」

「珍しいにゃ。リコが個人的に来るなんて」

「お父様には言ってないんですけどね」

「え、大丈夫なのかにゃ?」

「はい。リューさんの強さはジャンが認めた程ですから」

「護衛は心配要らなさそうにゃ。」

「先程も言いましたが、こちらリューさんです。今は旅をしています」

「フユ・リーンフォードにゃ。フユでいいにゃ」

「黒井龍輝だ。リューと呼んでくれ」


「色々と珍しいにゃ。まず黒髪黒目は貴重にゃ」

「極東の方の生まれらしいんです」

「なるほど。それなら納得にゃ」


「フユはここの領主の娘なんだろ?こんな所で店なんて開いてていいのか?」

「フユの家はどちらかと言うと放任主義なほうにゃ。勿論危険がないように色々手助けしてもらってるにゃ」

「リコの家とは真逆だな」

「フユの家が自由なだけで他はほとんどの家はリコみたいなもんにゃ」


厳しくて安全な家庭か、自由だけど危険な家庭。

俺なら断然後者だな。


「フユ〜お部屋を借りてもいいですか?」

「寝てないにゃ?」

「はい。体質のせいで寝れなくて...」

「特異体質者は大変にゃね。2階に空いてる部屋があるはずにゃそこを使うといいにゃ」

「ありがとうございます…」


相当限界が来てたらしい再会して早々に部屋へと向かった。

たった1日寝てないだけで限界が来るなんてまだまだだな。

交戦中なんて1週間寝ないことなんて珍しくないからな。

徹夜には慣れっこだ。


「リューはどうしてリコと一緒に旅してるにゃ?」

「...外の世界を見せてやりたかったから」

「親友として礼を言うにゃ。ありがとう」

「大したことじゃないだろ」

「大したことことにゃ。領主の娘を親の許可無しに連れ出して旅をするなんてそれだけでも危険な旅なのにリコは特異体質で昼は魔法が使えないにゃ。それだけで充分足枷にはなってるはずにゃ」

「それでも本人の気持ちを優先しただけだ。野宿だったり獣の死体を見るのが嫌ならとっくに帰ってる」


リコが本気で外の世界を見たいと思っているからここまで来れたんだ。

年中日本を旅していた俺からすればまだまだ序盤も序盤なんだが今までずっと外を見たことがないリコからすれば慣れないことの連続でだいぶキツかったはずだ。

それを耐え切ったんだから凄い。


「フユはここで鍛冶屋をしてるんだよな?」

「そうにゃ。武器・防具・道具なんでも作れるにゃ」

「万能そうに見えるけど客は入っているのか?」

「失礼にゃ!ちゃんと注文は入ってるにゃ!」

「悪かったって...壁にあるのはフユが作ったやつか?」

「そうにゃ。これでも領地1の腕と言われてるにゃ」


そいつは凄い。

ここに来るまでにリコに教えて貰ったがシルフィードやリーンフォードはそれなりに領地を持っているらしい。


具体的な大きさは分からないが、多分東京の2倍ほどあると言う。

東京の面積が分からないからハッキリとは言えないが...


「所で、リューはギルドにはちゃんと加入してるにゃ?」

「ギルド?」

「知らないってことは入ってないにゃ」

「知らなかった。入るとなんかあるのか?」

「倒した動物やモンスターの素材が売れるにゃ。あとは宿や武器なんかも安く買えるにゃ」

「あまり入る意味はないと思うんだが?素材の換金ならギルドに入ってなくても出来るし...」

「ギルドは言わば仕事の斡旋所にゃ、入っておくことをおすすめするにゃ」


リコが起きたら行ってみるか。

仕事の斡旋...暇しない...強者へ挑戦出来る...やっぱり異世界最高だな。

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