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第62話 暗躍

「金色の兄貴、ヒュドラの反応が消えたっす」

「…ナイト・コア…どこまで邪魔をすれば…」

「いや、それが多分ですけどナイト・コアじゃないっぽいっすよ」

「どういうこと?あのヒュドラを倒せる奴がナイト・コア以外にいるって言うの?」

「これ、見てください。時間毎のヒュドラの損傷具合なんっすけど、最強が戦った割には倒されるのが遅いと思うんですよ」


灰色は損傷具合がデータ化された水晶を赤色に見せた。


「確かに遅いけど…まあ、最後が活躍したのはもう数百年前のことだからね。衰えていてもおかしくないわよ」

「赤色の言う通りだ。ヒュドラはあくまで注意逸らしのモンスターだ。オルディンの方角から本命が来ている。そろそろだ。早ければ1ヶ月後には王都は陥落する。魔法陣が発動すればあの最強でも手も足も出まい!」


金色は声以外聞こえない空間で高らかに笑った。


「ああ、そう言えば、助っ人の件ですけどオッケーだそうです」

「それは心強いわね。帝国随一の科学者だっけ?最新の兵器を導入出来れば勝ったも同然ね!」

「それはそうっすね…どうしたんですか?金色の兄貴」


心強い助っ人の参戦を喜ぶ2人とは対照的に金色は顔をしかめていた。


「天才的な科学者かなんだか知らないが私は味方だとは思わない」

「なんでっすか?」

「身元が一切不明だからだ」

「それを言ったら私達だってそうじゃない。お互いのことはなにも知らない赤の他人。それが1人増えるってだけでしょう?」


赤色が説明をするが金色は納得していないようだ。

彼が心配してるのは身元だけではない。

帝国に新武器をもたらした科学者でありその武器の扱いに長けた傭兵だといいうこと。その他にも謎な部分が多い。


そして、1番の疑問はどうやって彼らがしていることを知ったのか。ということだった。

魔術的な防音と排除を行なっているこの部屋。

この部屋の中では魔法はおろか、剣すら抜くことが出来ない。

そんな部屋からどうやって情報を持ち出すことが出来たのか…それが疑問だった。


「助っ人の件は完全に任せる。上手くやれ」

「了解っす」


暗い部屋から1人分の気配が消えた。



「痛って!痛ててて!」

「リューさん。大人しくしてください」

「だって痛いんだもん!」

「ご主人様が怪我のこと考えずに暴れるからです」


ヒュドラを倒した俺たちは一旦、屋敷に戻ってきていた。

1番近くの街のギルドに報告する必要があったし、俺の傷の手当てをするためだ。


ヒュドラの一撃を受けたり水に落っこちたりと散々に暴れた結果、塞がりかけていた傷が開いてしまったのだ。

お陰で2人に押さえつけられて手当されている。

まあ、メイくらいの体重なら余裕で持ち上げられるけど。…両手なら。


「はい。終わりました」

「もっと優しく出来ないのか…」

「これでも優しくしました。リューさんさえ良かったら火の魔法で直接炙って強引に皮膚を繋げることもできるんですよ?」


俺が日本に居た時に使っていた治療術だ。

酒なんかで傷口を消毒してすぐに焼いた石を傷口に当てると傷が塞がるという荒治療。


「勘弁だ。疲れて動けない」

「まあ、あれだけ魔法なり攻撃なり受けてれば疲れが溜まって当然だよね」

「少し静かになっていいにゃ」


ここ最近疲れることなんてなかったのに…動けないとこんなにもやる気が出ないものなのか。


「アレン、疲れを取るためにはどうすればいい」

「そうだね…一般的には冷やしたり筋肉を伸ばしたりするのがいいけど…この辺はメイちゃんに聞いた方がいいんじゃないかい?」

「え、私ですか?」


話題を振られると思ってなかったメイは一瞬びっくりしたように見えたがコホンと咳払いをしいて話始めた。


「そうですね…アレンさんの言う通り、冷却やストレッチもいいですが多少の運動も効果的と言われていますね」

「よっし!ロウと一緒にちょっと狩りでも…」

「ご主人様?私の話聞いてましたか?軽い運動ですよ?」

「狩りなんて軽い運動だろ。そんなに大物狩るわけじゃないんだ」


もう一回ヒュドラ狩れとか言われたら結構な運動だけど。


「ダメです。ご主人様は楽しくなると辞められないんですから狩りはダメです」

「じゃあ、どうするんだよ」

「仕事以外の軽い運動です。街を歩いたり走ったりする程度の運動でいいんです」

「それならシルフィードの街を観光してくればいいにゃ」

「フユさんは行かないんですか?」

「武器の改良をしようと思ってるにゃ」


フユ自身、今回のヒュドラ戦で火力不足を自覚したんだろう。

今までは俺が真っ先に倒したからモンスターの足止めで事足りていたが今回みたいに分断されると足止め程度では足りなくなる。

だから武器に改良をしようと言い出したんだ。


「じゃあ、僕の盾もお願い出来るかな?」

「勿論にゃ。でもフユ1人だと持ち上げるのが大変だから一緒に居てくれるとありがたいにゃ」


筋力SSがなにか言ってる。

ここで乙女アピールしても誰も騙されないぞ。


「ああ、勿論だよ!」


1人いた。

筋力SSの怪力女と筋力Dの非力男は仲よさそうに工房へと行ってしまった。


「んじゃ、3人で行くか」

「すいません。お母様から呼び出しがかかってるので私は行けません。メイさん、リューさんのことお願いしますね」

「え、えぇ…」


こんなことがあり、今はメイと2人で街を観光している。

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