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第61話 ヒュドラ攻略

「いいんだな。本当にいいんだな?」

「ああ、一思いにぶっ飛ばしてくれ」


人1人が乗れる程の丸太に跨る俺とそれを肩に担ぐレオーン。

この丸太を身体能力が高いドンに殴ってもらえればヒュドラが呼んだモンスター達を越えて行けるって算段だ。


「いくぞ!獣神の一撃!」


ドンの拳によって打ち出された丸太は凄まじい速度を持ってヒュドラへと飛んで行った。

勢いが凄すぎて丸太に捕まってる方が大変だった。


丸太がヒュドラの首に衝突し俺は勢いのまま前に飛ばされた。

なんとか受け身を取ってヒュドラの背中に着地した。その瞬間に9つの首が一斉にこちらに向いた。

その目には敵意が宿っていて並大抵のことじゃ恐怖しなくなった俺ですら一瞬怖いと思ってしまった。

だがそんなもんが忘れるほどうざったいナイト・コアのニヤケ顔がここからでもよく見えた。

その瞬間、恐怖は怒りに変わった。


「その顔やめろ!」


俺はドラゴンの背中に二本の刀を両側に刺すとそのまま背中を走り回った。

王都にいいるドラゴンより鱗は柔らかく秋水でも十分に通る柔らかさだった。

これなら倒せる!


しかし、背中を斬られてヒュドラも黙ってはいいない。

火、水、雷、風、土、光、闇、氷、ドラゴン特有の魔法と9つの頭それぞれが違う魔法を撃ってくる。

それをギリギリで躱しながら背中を駆け回る。


魔法を避けてると痺れを切らしたヒュドラは噛みつきを開始した。


「あぶね!落ちる落ちる!」


いくら広い背中といってもでかい頭を避けるにはそれなりの範囲が必要となる。

伸びた首を斬ろうとすると別の首が襲ってきて休む暇もない。

止まったら死の超過酷な試練だ。


前から突っ込んで来た首の下をくぐり抜け横薙ぎに撃たれる魔法を飛んで回避した。

ここまでは良かった。

俺が飛んだ直後、首の一つが俺の腹に直撃した。


空中での衝撃で踏ん張ることも出来ない。

俺はそのまま吹き飛ばされ海に落下した。


泳げない俺は海の中をゆっくりと沈んでいく。

普通に溺れたならアレンあたりが助けてくれるだろうがヒュドラの下に入ってしまったら助けられないだろう。

とか、そんなことを考えていると違和感に気づいた。


「呼吸が…出来る?」


水中であるにもかかわらず呼吸が出来ている。

声も普通に出る。地上となんら変わらない状況なのだ。


「でもリコ達は浮いてたよな…魔法かなにか使わないと浮かないとか?ああ、でもメイも浮かんでたしな…どうなってんだ?もしかしたらメイはリコの魔法付与を受けてたのか?いや、俺がナイト・コアの魔法付与を受けてるのか」


日本では普通に溺れたから多分ナイト・コアかリコが落ちる直前に魔法をかけてくれたんだ。

そう解釈した俺は、海底に足をつけた。

相変わらず呼吸は出来るし動きに阻害はない。あるとすれば落下が遅い程度。


「取り敢えず上がるか」


遠距離の攻撃手段がないからまた近くまでいく必要がある。

岸に上がるために走っているといきなり地面が抜け地面に背中を強打した。


「痛ててて…なにしやがる!」

「お前が溺れてると思ってここまで戻したんだろうが」

「リューさん!大丈夫ですか!」

「大丈夫だ。塩水で傷が痛い程度だ」

「よかった…」

「感動の再会のところ悪いがヒュドラがこっち来てるぞ」


せっかくの癒しタイムだったのに邪魔しやがって…


「皆!ちょっと手伝ってくれ!」


1人でダメなら数人で…中々いい言葉だ。

1人でどうにかしようとする俺には丁度いい。


「モンスターが片付いたところで暇していた」

「筋肉を使うことならお任せあれ!」

「武闘家2人にはヒュドラの首を一つ止めて欲しい。2人で一つでいい」

「任された!」「伝説の生き物と綱引きとは夢のようだ」


「アウローラとルシア、セリーヌはこの2人から注意を逸らしてくれ。逸らすだけで攻撃は考えなくていい」

「分かったわ」「…♪」「了解であります!」


「ヴァランは単独で注意を引いてくれ。アミナは寝てるリベカの世話を頼む」

「好きにさせてもらうぞ」「わ、分かりました。クーちゃんお願いね」


「そして、最強。お前は俺以外の援護を頼む。この場にいてなにもしないはなしだ」

「オレが攻撃した方が早くないか?」

「あのヒュドラは俺を狙ってる。俺が倒すのが妥当な線と考えたんだ」


これで全員に指示は出し終わった。

あとはヒュドラをぶった斬るだけだ。


「っしゃー!行くぞ!」

『おー!』


俺を先頭にヒュドラに突っ込んだ。

ヒュドラの口付近に魔法の塊が集まり始めるが撃たれる前に迎撃してもらう。

最強がこちら側にいるとだけあって海に来ていた冒険者も戦いに参戦しだした。

お陰で9つの首をそれぞれの団体へ向けさせることができた。


特大魔法の連発は魔法使いに負担をかけてしまうが頑張ってもらうしかない。

俺は武闘家2人が掴んだ首を伝って再び背中へと向かう。

背中へと飛び移ると一番右端の首元に刀を刺して切り落とした。

しかし、


「うお!再生した!?なんだそれ反則だろ!」


切り落としたはずの首はすぐさま回復した。

この速度で回復されると全部切り落とす前に再生されてしまう。


クソ…皆に協力して貰っておきながら倒すことが出来ないなんて…


「最強!こいつを倒すためにはどうすればいい!」

「再生しないように燃やせばいいんじゃないか」

「皆!俺が首を落としたらすぐに火魔法を撃ってくれ!」


全員が『おー!」と声や身振りで答えてくれる。

また右端を切り落とすとすぐに火魔法が飛んで来た。

ほかの8つの首が苦しそうに悲鳴をあげ俺を攻撃しようとするが岸にいる冒険者達がそれを許さない。


それから徐々に切り落としていき最後の首が問題だった。

火を使っていた首は燃やしても復活した。

水も試したがダメだった。土も光も闇もダメだった。

どの属性でも再生した。


「どうすっかなアレ…リコの魔法も通じないとなるとあとは力任せに行くしかないんだよな…」

「力任せって言ってもどうするにゃ?まさかその刀で斬るきにゃ?」

「それは無理や。その前に刀が折れる」


「最強、知恵ないか?」

「さあな。どんなに強かろうと無限に再生されては勝ち目がない。ただあるとすればだた一つ生物としての死くらいだろ」

「首斬り落としても再生するのにどうやって殺すってんだ」

「わざわざ首を飛ばす必要はないだろ。脳を貫いてやればいい。お前の刀じゃ短すぎる。弓矢で確実に当たる方がいい」

「確実に当たる弓矢なんて…メイ!」

「は、はい!」

急に呼ばれてびっくりしたのかメイは肩をビクつかせた。

「頼んだ!俺がヒュドラの頭に乗るから射ってくれ」

「わ、わかりました!」


また武闘家2人に首を掴んで貰って頭に飛び乗る。


手を離すと同時に俺を振り落とそうと首を振るヒュドラ。

メイが射ると同時に俺が振り落とされた。

矢は一回ヒュドラに刺さるとヒュドラの頭を貫通した。


重力に従って落ちてくる。


「か、勝ったぞー!」


ヒュドラVS冒険者の戦いは苦戦をしつつも冒険者の勝利となった。

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