表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/77

60話 海辺の乱戦

次回からまた2日に1回投稿に戻ります


61話は7月3日に投稿されます

「『黒井流奥義ー真一文』」


俺は先頭のモンスターを吹き飛ばすと振り抜いた勢いのまま敵の密集地に飛び込んだ。

モンスター達もただ突っ立ってるわけじゃない。

剣が槍が槌が目の前で次々と振られる。

身体強化 なしでさばくにはギリギリだった。

まだヒュドラが攻撃に転じていないことが不幸中の幸いだった。


「リューさん!やっぱり魔法で援護を…」

「いや、リコはさっきバレーで魔力使ってんだから今は自分を守ることに集中してくれ。この数だ俺じゃ完全には捌き切れない」


数が数だ。

二刀流になった俺でもさばききれない。


「おい!大丈夫か!」

「こっちは大丈夫じゃきそっちに集中せい!」


まあ、向こうにはアレンがいるから防御は心配ないか。

それより問題は…


「お前!喋れんだろ!なんか言えよ!」


モンスターに囲まれたその中心で俺は元凶を睨んだ。

しかし、9頭の龍は動かずこちらを見据えるのみ。

もしかして喋れないのか?


「セイス!一旦合流するぞ!」

「わかった!」


セイスのいる方向へ向かって刀を走らせる。

ロウの背中にいるリコは目をぎゅっと瞑って振り落とされないようにロウの毛をしっかりと掴んでいる。


剣を持ったモンスターを袈裟懸けに切り捨てる。

横からくる槍を刀でいなし突き終わった直後に胴を真っ二つにした。


仲間が斬られても引く気配がない。

仲間が斬られれば多少なり躊躇して止まったりするもんなんだがな…」


「なんなんだこいつら…ロウ!リコを連れてアレンのところに行け!」

「バウ!」


ロウは一飛び高く飛ぶとこの周辺の敵を飛び越えて行った。

これで一安心だ。


捌き切れなくなった俺を剣だの槍だのが突き刺さる。

込み上げる何かを吐き出すと砂浜が赤くなる。


背中から大剣が突き刺さりそのまま俺を振り回した。

振り回した拍子にどこかへ飛ばされた。


「奇跡的な生還を果たした英雄もこの程度か」


俺を上から影が覆われ声がする。

その声は聞いたことのある声だった。


「そう…だな…俺はただの人間。魔力を持たない人間だ。そんな奴の力なんて…この…てい…ど…」

「オレの一撃を受けて生きて底辺モンスターの攻撃で死ぬ…そんな不敬が許されるか神に対しての不敬罪だ。貴様は死なない。ミミ、回復を頼む。少しでいい」

「いいんですか?少しだけで」

「あとは自分で動き出すだろ。起きなきゃあの娘を一生玩具として使ってやろう」


は?今なんて?

玩具に…っ!


頭上からの声に怒りを覚えた俺は飛び起きた。


「ふざけんな!誰がお前なんかにリコを渡すか!」

「本当に起きるんですね…」

「ああ、オレが始めて恐怖した人間だ」


怪我が治り動けるようにはなった。

だったらやることは一つ。


「まあ、待て。焦るな。今お前が行ってもなにも変わらない」

「だったらどうしろって言うんだ!」

「1人がダメなら2人で2人でダメなら10人で…オレが昔に教えられた教訓的なものだ。1人で解決しようとするな」


ナイト・コアはなにかを唱えると黒いなにかが宙に現れた。


「なにするつもりだよ…」

「黙って見てろ」


言われた通りに見てると黒いなにかが徐々に増えていく。


「来い。強制召喚だ」


ナイト・コアがそう呟くと黒いなにかから次々と人が出てきた。

ナイト・コアのゲートという能力による召喚。しかも、さっき言った通り目的の人を強制的に召喚するもので、召喚者に拒否権はないという魔法。


「こいつらって…」

「そうだ。コロシアムで命を削りあった猛者達だ」


ナイト・コアのことだから皆殺しにしたと思っていたがまさか生かしていたのか。


「いきなり呼び出したと思ったらなにこの状況!」

鞭使いのアウローラが苛立ちを含んだ声を上げる。

「生かしてやったんだ。文句言うな」

「説明くらいしなさいよ!」

「目の前のモンスター殺せばいい」

「簡単じゃない!」


今ので説明になるんだろうか…。

まあ、本人達がいいならいいけど。


「んじゃまあ、人数も揃ったことだし暴れますか!」


太陽が照りつける中、海の守り神VS冒険者達の乱戦が始まった。


傷が回復した俺が一番最初に飛び出した。

目の前のモンスターを秋水で横一直線に斬ると両側から斬りかかってきたモンスターをその場で回転しながら斬り伏せた。


「伏せなさい!」

甲高い声を聞いて伏せると背後から細い鞭が伸びてきた。

その鞭がモンスターに当たるとモンスター達は仲間を攻撃しだした。


「これが私の能力、魅了よ。あなたも受けてみる?」

「魅了か…子供が使っても効果あるんだな」

「私の鞭で絞め殺されたい?これでも24の立派なレディよ?…なにその目、文句でもあるの?」

「なんでもないでーす」


俺とアウローラが喧嘩してる間にもドンドンモンスター達は倒れていく。

しかし、倒せば倒すほどモンスターは増えていく。倒すたびにヒュドラが追加してくるのだ。


「ハハハ!楽しいな!こんなに楽しい戦闘は久しぶりだ!」

「全くだ!筋肉が喜んでおるわ!」

レオーンとドンの武闘家コンビは非常に楽しいそうだ。


「……」

「さっきからなにも喋らないけど怒ってる?」

「…?」

「怒ってないのね。よかった。」

盾のルシアと弓のセリーヌの相性は抜群のようだ。前衛でも中衛でもいける防御専門家は後衛のセリーヌと相性が抜群にいい。あと、無口のルシアと意思疎通ができるのもセリーヌだけだ。


「おい、獣飼い!あまり前に出るな、怪我するぞ!」

「ふぇぇ!すいません!クーちゃんが興奮して言うこと聞いてくれなくて!」

吸血鬼のヴァランとブリーダーのアミナペアは中々苦戦してるようだ。

日中ということもありあまり自由に動けないヴァランはモンスターの攻撃を避けるのもやっと。攻撃したいが牙王のクーちゃんが邪魔で攻撃出来ないという状況になっている。


「エクスプロージョン!…あ」

魔法使いリベカは特大の爆裂魔法を打って砂浜に倒れた。

効率悪い戦い方だな…いつもどうやって冒険してんだよ…。


「中々にいいチームじゃないか」

「お前も戦え最強。お前ならあのドラゴン一撃で倒せるだろ」

「ああ、倒せるとも。それじゃあ、面白くない。これは試練だ。お前があの娘を守れるかどうかのな」


ほう…上等だ。

一撃とはいかなくともあの9個の首、全部俺が切り落としてやる。


「レオーン!ドン!頼みがある!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ