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第59話 海戦開始!

バレーボールを終えヘトヘトになった俺たち。

疲れた俺たちを裏腹に女性陣は海ではしゃいでいる。


「元気だね〜」

「本当だな…俺は疲れたってのに」

「まあ、君は魔法を直撃だっただろうからよけいに疲れてるだろうね」


フユやリコの魔法が何回か直撃したが吹き飛ばされる程度で大した怪我はしなかった。

まあ、吹き飛ばされる度に砂食べることになるから結構きつかったがな。


「君は海には入らないんだったね」

「ああ、傷が滲みるからな」

「もしリコさんかメイさんが溺れたらどうする?」

「そりゃ…助けに行くけど…」


けど、俺も泳げないからな…あまり意味はないと思うが。


「お、久しい…くもないの」

「なんだお前も来てたのか」


現れたのは水着姿のセイスだった。


「この刀、貰っちゃってもいいのか?」

「構わんき使うてくれ。わしにはもう抜けんきの」

「抜けないのか?」


まあ、俺も今は抜けないけど。


「その刀は意志を持っちゅー。所謂、妖刀ってやつだ。その意思は持ち主に身の危険があると判断した時のみ抜ける。老いぼれが死んだ今、わしにはもう抜けん」


そういうことか。

セイスの敵はシュトただ1人だった。

ナイト・コアなんてセイスからすればどうでもいい。ナイト・コアに狙われればセイスにも抜けるだろうが、ナイト・コアは自分に害する敵じゃないと戦わない。

よって、セイスにはもうこの刀は必要ないというわけだ。


「それにしても…われらこがに暑いのによう動けるの」

「それは女だけだ。魔法を諸に受けた俺は超疲れてる」

「…その傷、コロシアムでのやつか」

「ああ、ナイト・コアにやられた」

「よう生きとったなわれは。死んでもおかしゅうないばあの傷やろうに」

「手加減されてたんだよ。じゃなきゃ死んでる」


それほどの攻撃だった。

受けた直後は重かったがすぐに剣は引かれた。

あんなもん、ナイト・コアがすぐに引いたか俺の体が斬られた瞬間に回復しないとあの感触はないはずだ。

ナイト・コアに敗れ死にそうな俺を引き止めたのはリコだ。

リコがいなきゃ俺は今頃ここにいない。


「あの女に惚れちゅーか」

「別にそんなんじゃねぇよ」


なんで皆そんな発想に至るのだろうか。

たしかに、リコのことは好きだ。

けどメイもアレンもフユも同じくらい好きだ。リコだけを特別好きというわけじゃない。


「なら、わしがあの女を貰っても…!」

「いいわけないだろ。ぶった斬るぞ」

「ムキになることないやろ」


目の前で刀の鍔迫り合いが起こりその周辺にいた人たちが何事かとこちらに振り向く。


「リコは大事な仲間だ。誰にも渡さねぇ」

「あの女のこと、そればあ大事なんだな」

「否定はしない」


俺が答えるとセイスの口角が上がっていってこう言った。


「その独占欲は好きの証拠や」


独占欲…?


「なんや、知らんのか?」

「リューは見た目より持ってる知識は少ないんだ。戦いの知識は別だけどね」

「そがな奴の保護者であるわれはおおごとやな」

「まあ、慣れだね。最初は頭がちょっと可哀想な子って思ってたけど今となってはそれがリューさ」


2人して酷い言い様だな。

俺が子供?バカ言え、両親が死んでから結構経つんだ。少なくとも10歳以上であることは確実。

そんな俺をまだ子供呼ばわりするか?


「なら、好きってどういうことだか言ってみてよ」

「それは…ほら、一緒に居たいか居たくないの違いで…」

「残念ながら不正解だよ」

「まだまだ子供だな」


うるせぇやい。


「リューさーん!」


セイスと話していると水着姿のリコがこちらに向かって走ってきた。

リコの水着姿を確認したセイスの口角がまた上がったから俺はリコとセイスの間に入った。


「どうしたリコ。リューさん!海クジラの群れですよ!こんな間近で見られるなんて運がいいです!」

「ちょ!あまり引っ張んなって!」


ちらっと後ろを向くとにやけ顔のセイスと対照的な笑みを浮かべるアレンの姿があった。

興奮気味のリコに腕を引っ張られ海岸までやってきてリコの興奮の意味を理解した。

目の前の海ででかい生き物が飛び跳ねたり水をだしたりと結構迫力あるものだった。


「海クジラがこんな海岸までやってくるなんて普通はないんです。普段は深海にいて海底からでる魔力を餌としてるんです」

「…」

「リューさん?」

「リコ、俺から一つ教えておくことがある」

「?」

「人間以外の生物がなにか珍しい行動をしたらなにかの予兆だということを覚えておいてくれ」

「予兆…?」


リコが聞き返すとほぼ同時、海面から水柱が上がったかと思ったその瞬間。

現れたのは俺らなんか一飲み出来てしまうほど巨体で多頭の水龍だった。


水龍の登場によりあたりはパニックを起こして逃げ惑う人でいっぱいになる。


「なんだあれ、でっかいな」

「ヒュドラ…どうして…」

「リコ知ってるのか?」

「はい。このあたりの海域を守護する神の一種です」


守り神的な生物…なのか?そもそも生物なのか?


「なんやこの水龍。われ、なんかしたのか?」

「してねぇよ」


逆になにしたら守り神なんて出てくるんだよ。

しばらく俺たちの動きを見ていた水龍だったがいきなり咆哮した。


『ぎゃおおおおおおん!』


大地を揺らすほどの咆哮は木々を揺らし海面を波立たせた。

それと同時に侵入者を消そうと海から仲間を呼び出した。

槍だの剣だのを持ったトカゲのような生物たち。


ピー!

指笛で大狼のロウを呼び出すとその背中にリコを乗せた。


「俺が道を作るからお前はリコに攻撃が当たらないようにしてくれ」

「バウ!」


いい返事だ。

開戦の合図かヒュドラは一際大きな咆哮を放った。

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