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第4話 誘拐事件発生!

見知らぬ土地に迷い込んだ俺はその土地を領地としているシルフィード家と出会った。

昼間、どんちゃん騒ぎしたため疲れた俺は敷地内の木の上で昼寝をしていた。


そして夜。

ある人物を誘拐するべく屋敷の壁を登っていた。


「滑る壁だな...よっと。やっと着いた」


3階建ての屋敷の2階、左から4つ目のベランダ。

そこが目的の人物の部屋だ。


「ちょっと失礼しますよっと」


刀で窓の鍵を盛大に斬った。


「な、何事ですか!」

「騒ぐな。静かにしてろ」


騒ぎ立てるリコの口を塞いで小脇に抱えてちょっと待つと、ほら来た。


「リコ様!いかがなさい...貴様!」

「ここの領主に伝えろ。娘は預かった。返して欲しければ...頑張れって伝えろ。じゃあな!」

「え、あ、おい!待て!外だ!外に逃げたぞ!」


特に要求とかないから頑張れにしたけどいいよな。


「やっぱり、貴方でしたか」

「暗闇の中、よく俺だって分かったな」

「魔力で目を強化すれば暗闇ではなくなりますから」

「魔力?新しい元素かなんかか?」

「いえ、誰しもが持っている魔力です」


こいつ薄々気づいていたが...頭がだいぶ可哀そうなことになっているんだ。

まあ、俺は十人十色がもっとーだからな。可哀そうだとは思うけど。


「これからどうしますか?」

「その友人のところに行けばいいだろ。案内は頼んだ」

「ありがとうございます」

「礼はここの敷地を出てからだ」


暗闇の中、リコの案内を元に門のところまで来れたが...


「やっぱいるよな...」


門の前には兵士がこれでもかとつめていた

俺1人なら突破は簡単だ。だが今回は人質がいる。

リコを取られては意味がない。


「抜け道とかないのか?」

「ないですよ。...あの、兵の皆さんを殺すんですか?」

「場合によっては」

「私から仕掛けておいてなんですけど殺しだけは...」

「いやいや、あの数を誰も殺さずとか無理だ」


せめて逆刃刀であればいけたかもしれないが俺が持ってるのは普通の刀。しかも大業物の『秋水』振った勢いで人なんて簡単に斬れる代物。


「そうだな...まずは俺だけでる。お前はここにいろ。絶対に出てくるなよ」

「わ、分かりました」


作戦はこうだ。

俺が単身で出て娘は俺の仲間に渡したことにすればいい。

お嬢様の安全を第一に考える私兵なら血眼になって探すだろう。

そんな時に手ぶらの俺に構っている暇なんてないんだ。


「貴様!リコ様をどこへ連れて行った!」

「お前らの大切なお嬢様なら今頃俺の仲間が運んでるだろうよ」

「どこへ連れて行った!」

「まあもう間に合わないだろうからいいか。港だそこに連れて行った。今頃怖い思いしてんだろうなー。領主の娘ともなれば高値で売れるからなー。私兵ども、俺に構ってていいのか?」

「貴様!仲間諸共打ち首にしてみせる!それまで首を洗って待っていろ!」


門の前に詰めていた私兵は真夜中の街へと走っていった。


「いいんですか?そんな自分が悪者みたいな言い方をして」

「お前を誘拐した時点で悪者だ。今更だろ」

「友人の領地まで2日の道のりです。陸路を通っていくので兵の皆さんを海に誘導したのは助かります」

「んじゃあ、行くか」

「待て」


誰かと思えばジャンか。一番先に飛び出して行ったと思ったが...残ったのか。


「リコ様!これは一体どういうことですか!」

「ごめんなさい。今日は振り回してばっかですね」

「珍しいですよね。リコ様がここまで騒ぎを大きくするなんて...ですが!誘拐騒動はやりすぎです!」

「...私だって外に出たいの!見張りも護衛もなく、自由に旅がしたいの!」


それはリコの心からの叫びだった。

領主の娘という、なに不自由ない家に生まれたリコは外に憧れた。

例えそれが危険だとしても、死が身近になろうとしたかったことだ。


「だから道をあけてください」

「いけません!外に出るなら誰かと...」

「今の私にはジャンより強い剣士がいます。木剣であっても言い訳一つせず貴方に勝ちました。これほど有能な護衛はないでしょう」

「しかし...!御父上にはなんと説明したらいいか...」

「フユに会いに行く予定です。そう伝えれば十分です。私はもう子供じゃないんですから」

「.....分かりました。貴様、名を聞いてなかった。教えてはもらえないだろうか」

「黒井龍輝。」

「黒井?珍しい名だな...」

「黒井は苗字、龍輝が名前だ」

「リューキ。呼びにくい、リューで構わんだろう。リュー、共に剣を交えたもの同士そして、リコ様が信じた相手だ。貴様を信じるぞ」

「兵士って大変だな。まあ、我慢できる範囲で頑張るわ」

「手を出したら貴様を八つ裂きにしてやるからな」


この兵士の人怖ーい。

じゃけん逃げましょうね。


「御父上には私から伝えておきます。リコ様はそこの不埒者に襲われませんようご注意くださいませ」

「ありがとうございます。我が親愛なる兵よ、貴方に女神の祝福があらんことを」


私兵が街にくりだしてから数十分後、俺とリコは真夜中の街へと走った。

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