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第47話 コロシアムのコロシアイ

最初の対戦相手は冒険者のチーム。

盾と剣と弓と魔法というアレン曰く一般的なチームだという。


『速い!クリュー選手の速さ、まさしく瞬殺!開始数秒で盾役が倒れた!』


「盾役ってこんなに脆いのか?」

「僕の盾が特別製だからその影響が大きいかもしれないね」


盾の性能でここまで差が出来るものなのか。

邪魔な盾役をはじに寄せて魔法使いを庇うように構えている剣士に迫った。


「うぐっ!なんという速さ…見えない…」

「まだ速くできるけどどうする?」

「『ウィンドカッター!』」

「おっと」


やはり遠距離からの攻撃がめんどくさいな…先に潰すか。


「待て!メアリ!」

「じゃあな、魔法使い」


刀を横に一閃。

魔法使いに張られていたなにかがパリンという気味のいい音を立てて割れ魔法使いからは血が噴き出した。

やはり、冒険者相手だとつまらないな。

司会に読まれた名前のやつと戦わないと面白味はないか…。


魔法使いという大切な人を失ったチームの士気は下がり相手にもしたくなくなった。


「どうする?まだやり合うか?まあ、早くこいつを手当てした方がいいと思うけど」

「くっ…降参だ…」


『おーっと!飛び入り参加枠のクリューチーム、なんと初戦から圧勝です!』

司会は必死に盛り上げようとするが観客はそこまで盛り上がらない。

当然だ。

ここのいる連中はチャンバラを見に来たじゃない。殺し合いを見に来てるんだ。

つまり、相手に降参するチャンスを与えた俺は連中が最も嫌いな出場者となっただろう。


「ブー!ふざけんな!」「真面目にやれよ!「さっさと退場しろ!」


「なんで殺さなかったんだい?君ならあのチームくらい瞬殺出来るはずなのに」

「別に…殺すことが目的じゃないからな。殺さなくてもいいかなって」

「でもこの状況どうするんだい?」


周りからはブーイングの嵐でリコ達がどこにいるかわかるほど満場一致で不評だった。

だが対処は簡単だ。


「うるせぇ!雑魚共!」


その一言で会場中は静かになった。


「コロシアムに出てこない奴らに真面目にやれだふざけんなだの言われたくねぇよ!そんなに死体が見たいなら誰でもいい!出てこいよ!そいつを血祭りにあげてやるよ!」

「はぁー。喧嘩売ってどうするんだい…」


俺の呼びかけに応えたのは0人。

誰一人として俺に挑む気なんてない。


「これが分かったら2度と俺に殺せとか言うなよ!」

「やりやがったな。おまえ」

「ああ、イラついたから言った」

「カトレアが言ってた意味が分かった気がするな…。俺も一番最初の時にやった。観客に向かっておなじようなことをな」

「大胆なことしますね…今でも会場はザワザワが止まらないですよ」

「まあ、仕方ないことではあるな。オレの時もそうだった。ま、これから容赦なくブーイングが飛んでくるが頑張れよ」


わかってる。

今のはただ殺す気が起きなかっただけだ。

次は確か前回大会2位の実力者。

相手に不足はないし、そいつを血祭りに上げるとしょう。


「ふふっ。楽しい人ですね」

「は、恥かしいです…」

「ナイト様も最初はこんな風に不評な戦い方をしていましたから」

「そうなのかにゃ?」

「ええ。誰も殺すことなく場外への吹き飛ばし、気絶による戦闘不能など殺さずして上位まで勝ち上がりました」

「そ、その時は優勝しなかったんですか?」

「はい。ナイト様が詰まらないと言って辞退してしまったんです」

「勿体ないですね…当時から最強として活躍してたんですか?」

「ナイト様はこの世界に来た時から異常なほどの強さを持っていました」

「この世界に来た時?」

「はい。ナイト様はこの世界の出身ではないのです。ここではないどこか違う世界で生まれたんです」。ですので、彼と気があうのではないでしょうか」



2回戦目が始まり、俺の対戦相手は前回2位のコールマン。

白い鎧に身を固めていて剣を使って戦う剣士である。

魔法を使うナイト・コアとは違って純粋な剣術のみで戦うため、俺と相性が良かったりする。


「貴殿が飛び入り参加という冒険者であるな?」

「ああ、そうだが?」

「失礼だが君は強いか?」

「さあな。人によるだろ」

「その心意気、大事にするといい。では始めようか」


お互いに構えを取り、司会者の合図と共に地を蹴った。


『最強に最も近づいた男と 今大会の問題児の戦いです!互いに剣のみを使い己が鍛錬のみをぶつけるまさに男の戦い!どちらが勝つのか見ものです!』


今までやり合ってきた敵の中で一番めんどくさいかもしれない。

力で相手を潰すってタイプでも絶対攻撃避けるマンでもない。

受ける所は受け、攻撃する所は攻撃する。

当たり前のことだが俺の速度でそんな判断が出来てるんだ。

まだこいつは余裕の筈だ。


「君は冒険者をやっているが夢はあるのか」

「あ?夢はない。ただ仲間と一緒に楽しく旅が出来ればそれでいい」

「それが私を一撃で沈められない理由だ。目的なき旅はただの時間の無駄だ!」

「ぐっ!」


一撃一撃が重い。

受け流そうにも芯を捉えられていてうまく流せない。

体格は相手が少しでかい。鎧のせいかコールマン自身の力は重みもある。

今までにないタイプだった。


「夢がなければ高みには上れない。君の旅はそこで終わりなんだよ!」

「ガハッ!」


受け流し切れなかった衝撃で後ろへと飛ばされる。

風の魔法を使ってないのにこの飛距離…当たったら即死だなこりゃ。

剣を受けた刀は衝撃で震えまともに構えることすら出来ない。


「聞くが、お前の夢はなんだ」

「私の夢、それは勿論。最強…ナイト・コアを超えること!一介の冒険者に負けるわけにはいかないのだ!」


夢…ね。

両親が死んだ7歳の時から夢は持っても仕方ないものと考えるようになった。

夢を見るよりその日の食料を見ていた方が現実的で生きる術となった。

今更夢なんてない。

夢は持つだけ無駄だ。


「じゃあ聞くけどさ」


俺とコールマンの間に影が入った。

持ち前の盾でコールマンの攻撃を完全に遮断。


「なんで、リコさんの夢を叶えたんだい?夢は持つだけ無駄なもの。と考えている割には理解出来ない行動だけど?」

「ただの気まぐれだ」

「だったら気まぐれに、夢を持ってもいいんじゃないかい?」

「今更夢なんて持てるか」

「いやぁもう持ってるじゃないかな」

「は?」


「『楽しい旅をする』という小さくて偉大な夢が」

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