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第3話 全員落ち着け

「我が主...いきなり呼び出して人を殺せなどと...」

「うむ!ひと思いにスパッと頼むぞ!」

「いえ、ですから...はぁ」

「お前も大変そうだな」

「旅の方、申し訳ない。我が主はこういうところがあるのです。出来れば私とて危害は加えたくはないのですが...」

「ジャン!その者は娘を辱めた大罪人だぞ!」


いや、そんな記憶ございません。

話をしてただけだぞ。

ただ話してる内容が誘拐の段取りというだけだ。


「リコ様に辱めを...?」

「そんなことしてたらそのリコ様は笑顔でこの場にいないだろうよ」

「した、してないの問題ではないのですよ。私が憤りを露わにしてるのはリコ様のお部屋に入ったことです」


俺が自分で入ったんじゃないんだけどな...手錠で繋がれて引っ張られてたんだけどな...


「そんな事実はない。お前の主が作ったでっち上げだ」

「ジャン。お願いします...私は穢されてしまいました...」

「なぜに泣く。なにもなかっただろうが。」


クソが...陥れる気満々じゃねぇか。しかも逃げやがったよ。

さっさと帰りたい。何県かも分からないし地図もないから無理だろうけど。


「それでは、罪人の処刑を行う。両者構え...始め!」


処刑ね...まさにその通りだ。

俺の武器は木刀なのに対し相手はどう見ても金属甲冑に金属の剣盾。

昏倒は出来ても殺すのは無理だな。


「どうしましたか罪人よ。降参なら今のうちです。可及的速やかに首を撥ねましょう」

「それはごめん被るんだがな...一撃で済ませるから動くなよ。」

「度胸だけは称賛に値しますね。」

「言ってろ。『黒井流抜刀術、兜割り』!」


木刀といういつもより軽い武器でしかも相手の強さも未知数という無茶ぶり。

それより無茶ぶりされたこともあるからこれくらいならまだ乗り切れるけどな。


俺は盾を前に構えるジャンの額部分を全身を使って殴った。


「くっ...罪人の分際で...?あれ?なにも見えない?」

「頭殴ったんだからそらそうだ。」


人間の一番の情報源は視覚というのはだれでも知っていることだ。

例え、馬鹿な俺であってもだ。

脳を守ろうと情報を制限するときになにを封じられるかと言ったら当然視界だ。

そしてジャンは今その状況である。


「兜越しだったからそれで済んでるんだ。もし直だったら脳震盪で死んでるぞ。んまあ、チェックメイトだな。」


折れた木刀の端を首につけ終了。


「くっ...罪人の勝利...貴様どこまでシルフィード家を馬鹿にする?」

「馬鹿になんてしてない。ただ俺は旅を続けたいだけだ」

「娘を誘拐しようとしてただろう!」

「その娘からの提案なんだけど?」

「ほざけ!そんなこと...リコ?」

「お父様。私、この人と結婚します」


「......は?俺、なにも聞いてないぞ」

「辱めるだけでは足りず娘を篭絡するとは...ジャン!まだ直らないのか!」

「落ち着けって。聞いてたんならそんなことしてないってわかるだろうが」

「リコ様から離れろ罪人!」


まだ完全に復帰してないだろうに...兵士って大変なんだな。

てか、木刀壊れてるから今丸腰なんだけど!

復帰してないから変な方向に剣がいくだけましか。


「全員落ち着け!」

「な、なんだ散々場を荒らして置いて...」

「場を荒らしたのは紛れもなくお前の娘だ。忘れたか?俺は奴隷術を施されてる変な真似はできない。当然辱めることもな!それなのに決闘しろだの結婚するだの...俺はただの旅人!処刑はされないし結婚もしない。.....帰る。指名手配でもなんでもしてくれ」


これなら組織の拠点に突貫してこいとかいう仕事の方が楽だぞ。

シルフィードとか言ったっけ?二度と関わらねぇ。

ただ気がかりなのは、リコのあの寂しそうな顔。

『一度も外に出たことがない』


「...知らない土地で1人も危険だよな。案内役が必要だよな。」


俺はそう自分に言い聞かせた

決して外に出してやりたいとかそんなことは思ってないぞ。うん。

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