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第37話 この世界の最強は?

「そういえば、この世界の最強って誰なんだ?」

「いきなりだね」

「最強がいるなら戦ってみたい」

「止めといた方がいいと思うけどね」

「そうですよ。なに要求されるか分かりませんよ」

「それでも戦ってみたい」


最強、俺だって憧れないわけじゃない。

無双したいとも思うし、最強の果てを聞いてみたいというのもある。


「最強っていうと『ナイト・コア』かな」

「ナイトコア?」

「そう。彼が使う魔法全てが未知数の威力で剣の腕は神を相手でも引けを取らない程のものだと聞くよ」

「ただし、他の人たちはその姿を見たことないにゃ。噂とか物語の人物とされている節もあるにゃ」

「てことは居場所も分からないわけか...」

「一応は王都郊外ってことにはなってるけど、結界が貼られてて許可された人達しか通れないって話。ナイトコア本人とその仲間は彼のオリジナルの魔法『ゲート』で移動するから待ち伏せも意味を持たないらしいんだよ」

「なんじゃそりゃ。滅茶苦茶じゃねぇか」

「それがナイトコアという男さ」

「ん?正体不明のおとぎ話的存在なのにアレンはなんでそんなに知ってるんだ?」

「本とかで散々取り上げられてるからだよ」

「本?そんな昔の話なのか?」

「ああ、少なくとも100年前の話ではあるね」

「それもう死んでるだろ」

「そうでもないですよ。リューさんが来る前に一つ災害が起こってるんです」

「災害?」

「モンスターフェスというモンスター達が繁殖期に入りピリピリしてるところに他のモンスターの襲撃を受け、戦争状態に入ることです」

「大規模なモンスターの襲撃と考えればいいよ」

「そのモンスターフェスがあった現場に王都から派遣された兵士が向かったところ既にモンスター達は全滅していたそうです」

「それがそのナイトコアがやったと?」

「はい。辺りには魔法で戦ったとされる跡があり人の死体などはなかったと聞きました。モンスターフェス程の数を魔法で削り切るなんて私が本気出しても無理です。おそらくリューさんでも厳しいレベルです」

「100年前の話ではあるけど、彼自身神という特異種族で神と戦ったという記述がある書物もあるんだよ」


リコがここまで断言するんだからそれなりの痕跡はあるのか...しかし姿は誰も見たことがない...かっこいいじゃん。

神に匹敵する程の最強。まったくイメージがわかない。

剣で戦ってるってことはムキムキで腕力に物言わせて...ってタイプじゃないと思う。

どちらかというと、俺やカイトみたいな相手の攻撃を最小限の動きで躱して最大の攻撃をするって感じか。


考えるだけでも闘争心が燃える。


「最初に止めといた方がいいよって言ったのは、リコさんやメイちゃんが奪われるかもしれないからだよ」

「は?」

「奪うのは僕じゃないから僕にキレないでね」

「そうしたら、戦争だな。相手が最強だろうが神だろうが叩き切る」

「勇ましいことで」


王都を経由してヴァイスへと向かう。

ガイは王都とオルディンを往復する仕事のためここでお別れ。

ここからは別の交通手段を考える必要がある。


「またあの馬に乗るか?俺とメイは馬の操縦が出来ないから最低でも3頭は必要だけど」

「それは確実じゃないからやめた方がいいにゃ。また同じ場所にいるとは限らないにゃ」

「馬車だと結構お金がかかるんですよね」

「買っちゃえば楽なんだけどね...」

「ご主人様はどのような交通手段を考えてるんですか?」

「ああ、リューに行き方を聞くのは間違ってるにゃ」

「え...」

「最悪走れば」

「ほら、馬車でも2日かかる道のりを走るとか血迷ったこと普通に言うやつにゃ」

「ああ...そうですね。別の案を考えましょうか」

「金の心配ならそんなに考えなくてもいいかもしれない」

「どういうことですか?」

「良い稼ぎ場を知ってる」


俺以外頭に?を思い浮かべたまま向かったのは例の洞穴。


「おっす来たぞ」

『帰れ無礼者』


「ご主人様?いい稼ぎ場ってここのことですか...?」

「ああそうだ。こいつの素材、結構高値で売れるんだよ」

「それはそうだろうねなんてったって、ドラゴンだもん」

「リューさん...遊んでるなら怒りますよ?」

「遊んでないから魔法を起動させるな。まあ正直今回はドラゴンには用はない」

『ならなぜ来た。我も暇ではないのだぞ』

「掃除に来た!」

『ほう掃除とな。して、いかにしてこの広い洞穴を掃除するというのだ」

「掃除って言っても本格的なのはいやだぞ。やるのはこの辺に転がった防具とか武器とかを片すだけだ」

『なんだその程度か...』

「飛べない俺等にお前の体格がすっぽり入る洞穴をどうやって掃除しろと?」

『そこはその魔法娘の魔法でどうとでもなるであろう』


残念ながら、昼間はリコは箱入り娘なだけだから戦闘力皆無だから。


「んじゃ、リコのアイテムボックスに全部放り込む感じでいいか?」

「ちょっと待ってください!本当にこの状態でやるんですか?こういうのって普通留守のときにやるものではないんですか!?」

「おい、邪魔なもん片すくらいいいよな?」

『帰れと言った...』

「良いってさ」


流石のドラゴンもキレたのか重い足を上げて俺達を潰そうとしてきた。

しかしデカければデカいほどその動きは遅くなる。

避けるのは難しくない。


「なんだよあぶねーな」

『帰れと言っているだろうが』

「大丈夫だってすぐに帰るから。お前だって、いらないジャラジャラしたもん住処に置いておくよりいいだろ?」

『日没までには帰れ。この辺は我の魔力に当てられた馬鹿どもが多いからな』

「ツンデレドラゴンとか需要ねぇぞ」

『消し炭にされたいか』

「うわー怖い怖いじゃけんさっさと作業しましょうね」


怖がるリコとメイを説得して作業に移る。

俺とアレン、リコとフユとメイという男女で別れる。


『そこの娘。奴隷の娘』

「は、はい!」

『新しい主人のもとでの生活はどうだ』

「えっと、その、楽しいです」

『苦しかったら我に言うといいこの男を我が消してやろう』

「なに口説こうとしてんだぶった切るぞ!」

『傷一つつけられないくせによく吠える男よ』


腹立つドラゴンだなおい。

長生きしてるくせに気だけは短いな。

長生き…


「お前ってどれくらい生きてる?」

『さあな。もう忘れた。少なくとも、100年は経っていることは確かだ』

「それなら、ナイト・コアのことも知ってるんじゃないか!?」

『ああ、知っているとも。奴とは一度戦ったこともある』

「どうだった!?って、お前が生きてるってことはナイト・コアが負けたのか」

『いや、負けたのは我の方だ。奴の攻撃に我は何一つ出来なかった。圧倒的な速さ、我の鱗をもろともしない攻撃力。奴の全てが我の上を行っていた』

「負けたならなんで生きてんだよ」

『我は一度死んでいる。ただ、奴の恋人である犬の獣人の権能によって生き返ったのだ』

「…は?」


能力で蘇った?

なんでわざわざこいつを蘇らせたんだ?


『勿論、我が蘇ったのはあくまでついでだ。その娘が本当に蘇らせたかったのはナイトコアだ』

「ってことはナイト・コアは一度死んでるのか」

『左様。神々との戦いの末、この世界と引き換えに自身の命をかけたのだ。奴の死を回避するために一生に一度しかつけない権能を使ったのだ』


ナイト・コアは存在し今でも生きている。

その強さははるか違う次元の話をされているかのようだった。

広範囲攻撃なら得意なドラゴンが手も足も出なかった。

剣の腕はこのドラゴンの鱗を軽々貫通するほどに鋭く、強力。


『なんでそんなことを聞く?』

「戦ってみたくてな」

『止めておけ、今の貴様ではその自慢の剣が折られるのが関の山だ。我の鎧を貫通できないよではまだまだだな。それでも挑みたいというならヴァイスのコロシアムに出るといい。貴様が強者と認められればナイト・コアは必ず出てくる』


なるほど。

どの道、戦いたかったらヴァイスに行くのが手っ取り早いのか。

回復役も必要だしな。ヴァイスへの移動を急ごう。


ドラゴンの巣で掃除をした結果。

全部で金貨50枚という金額になった。

流石、ドラゴンに挑むだけの装備品の数々だ。


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