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第36話 ムカついたら斬る!これ常識な

温泉を満喫した翌日。

ガイと待ち合わせに指定したギルド前にいた。


「それじゃ、出発するぞ」


まだ朝日が登ってそんなに時間は経ってない。

超眠者である俺は物凄く眠かった。

まあ、昨日夜遅くまで起きてたからかもしれないがな。


「リコ…寝るからあとは頼んだ」

「はい。わかりました」


俺はリコの膝枕で眠りに入った。



「寝るの早いにゃ」

「それほど疲れてるんでしょう」

「でも昨日、夜中にどっかに行ってたみたいだけど?」

「え、そうなんですか?」

「ああ、トイレで目が覚めたら彼のベッドは空だったから間違いないよ」

「なんでそんな夜中にご主人様は出て行ったのでしょうか?」

「それが分からないんだよね。起きてすぐに聞いては見たけど出て行ってないの一点張り。どこか怪我してるとかそんなことはなかったし変わった様子もなかったんだよね」

「誰か女と会ってたんじゃないかにゃ?」

「女?でもリューさんにそんな人…」


「もし、初日の自由行動の時に会ったのがカイトとアキだけじゃなかったら?」

「まさか…」

「この無知ならやりかねないにゃ。リューの知識がどこまでなのかわからないけどリューだって男にゃ十分にあり得ることにゃ」


そんな…リューさんに限ってそんなことないはずです。

これまで一緒に旅をしてきましたが一度もそんな女の人と関係を持つようなことはなかったです。


「それはただ本性を見せてないだけにゃ。心の中ではエロいことをしたいという欲で一杯にゃ」

「もう!さっきからなんでリューさんのことを悪く言うんですか!?」

「目を覚まさせるためにゃ」

「目なら覚めてます!」

「そうじゃないにゃ」

「じゃあどういうことですか」


「昨日、リューがメイに無理やり蝙蝠の羽を食べさせた時、リコ自分でどんな顔してたか知ってるにゃ?」

「どんな顔か…そんなの普通の…」

「羨ましいみたいな顔してたにゃ」


羨ましい?私が?なぜ?


「メイが無理やり食べさせられてこの男は笑ってたにゃ。あの目を細めて広角をあげる笑い方はフユは嫌いにゃ。そんな顔をする男にろくな奴はいないにゃ。だから警告にゃ、リューだけは止めとくにゃ」

「それはフユの主観なのでは?」

「そんなことないにゃ。アレンからも言質を取ってるにゃ」


それは取ったことにしてるんじゃないですか?

大丈夫な証言ですか?


「今回だって、1回目はメイの膝枕だったのに今はリコが膝枕してるにゃ。きっと夜の相手じゃ物足りなかったんだにゃ」

「これはただ熟睡したいから…」

「安全ではない道で?危険なモンスターが街道に出てくるかもしれないのに?」

「それは…」

「ほら、やっぱりフユの言う通りにゃ」


それでも私はリューさんを信じます。

今回だって、ただ私の膝枕がいいからそう言っただけでやましいことなに一つとして無いですよね?


私は自分の膝を枕に寝息を立てる彼の頭を撫でた。


リコの膝枕のお陰でかなり熟睡できた。

んで、この圧倒的に不利な状況はなんだろうか。

俺が寝てる間になにがあったよ。


「リコ、状況の説明頼む」

「えっと…なんと言ったらいいか…」

「リュー、昨日の夜中どこにいたにゃ?」

「アレンにも聞かれたがどこにも行ってないぞ」

「嘘にゃ。昨日、どこかに行くのをアレンが見てるにゃ」

「トイレには行ったけどそれ以外は部屋から出てないぞ」


ジー


「逆に聞くが、俺がどこかに行ったという証拠はあるのか?」

「リューが証拠とか言い出したにゃ…」


あっれ、俺って結構バカだと思われてる?

証拠ぐらい俺だって知ってるし疑うからには在るものだということくらいしてるわい。

どういうのが証拠になるのか知らないけどさ。


「アレンが見てるにゃ」

「寝ぼけてたんだろ」

「ぐぬぬ…しぶといにゃ...」

「リューさん?本当に外には出てないんですね?」

「さっきからそう言ってる」

「本当に本当ですか?」

「なんでそんなに疑う?俺が夜に出かけたらなにかあるのか?」

「それは...その...」

「リコの場合、リューがどこかに行っちゃわないか心配なだけにゃ」

「フユ!私はそんなことないですから!」


「だいたい、夜にどこに出かけるって言うんだ」

「娼館」

「しょうかん?ん?」

「あー分かってないね。ほら、王都の下級区にあったよね?説明してないからあれだけど」

「あーなんか臭いところか」

「臭い?」

「香水の匂いだと思うよ」

「娼館なんて臭い場所行くかよ」

「じゃあどこにいたにゃ?」

「どこってカイトと残党処理...あ」


フユの口角がどんどん上がっていく。

猫種特有の八重歯を見せてにやーと笑う。

殴りたいこの笑顔。


「なんの残党にゃ~?なんで噓ついたにゃ~?」

「...メイとリコが怖がると思ったからだ」

「私達が怖がる...?」

「二人とも、殺人なんて無縁のところで生きて来ただろ、ハイドの時もそうだったが2人には刺激が強すぎると思ったんだ」

「そんな話くらいじゃ怖がりませんよ」

「人の首が飛んで、断面丸見えだったし中には四肢斬り落とした奴もいたな」

「そういう話をしなければいいんです!」「ご主人様は鬼畜かなにかですか!」

「痛い痛い!ほっぺ引っ張んなって!」


アキを襲った連中の後処理をしただけの話、すぐに済んだから誰にもバレてないと思ったが、アレンに見られてたとはな。

次からは気をつけよ。


「リューさん?なんでそんな秘密にしたかったんですか?」

「だから、2人に免疫がないから...」

「そうじゃないんです。フユと会う前からリューさん、敵対した人には容赦ないですよね?自意識過剰かもしれないですけどそれって私達の為ですか?」

「いや普通にイラついたからだけど?」

「最低な人間にゃ」

「なんとでも言え。そういうこと言うやつは大抵俺に負けた奴だ」


俺はそんなに身長も高いわけじゃない。筋肉だってムキムキじゃない。

武器だって、刀という細い金属。

リコは結構可愛いから、絡まれることだってある。

ハイドみたいな好きって直接言ってくる奴ならまだいい。

なかには俺を殺して傷ついたリコを慰めて自分のものにしようとする奴もいる。

その度に相手するのは楽しい反面、その裏が見えていけない。


「ようするに、大切な人を守るための致し方ないことってことでいいんだよね?」

「まあそうだな」

「あー大事な話してるところ悪いんだが、モンスターの群れだ。討伐頼む」


それじゃ、大事な奴を守るために刀を振りますかね。

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