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第35話 回復役を求めて

「お疲れさん」

「ああ、疲れた」


この筋肉ムキムキマン、硬いったらない。

俺の秋水とカイトの虎徹でもギリギリ切れるかどうかだった。

ま、倒せたんだよしとしよう。


「で、さっきから顔を覆ってるお二人さん?」

「なんでしょうか」「なんですか?」

「なぜに顔を覆ってる?」

「今のリューさんは絶対に血塗れです」

「血はまだ慣れてないので…」

「じゃあ、慣れないとな」


2人の手を思いっきり外して目の前に出てやった。


「「キャああああああ!」」

「おぶっ!」


リコからは高水圧の水魔法を、メイからは力強いビンタをいただきました。

滅茶苦茶痛かったです。


ハイドを倒して、倒したとの旨を伝えたらギルド中で安堵の息をついていた。


「久々に大暴れした気がするなー」

「火山であれだけ暴れてたのにかい?」

「火山の敵はそう大して強くないだろ」


ただ発火性があったり少し硬かったりする程度だ。


ギルドに報告を済ませて次なる目的地を決める。


「あんなことがあったばかりだってのに行動力はあるにゃね」」

「まあ、少し大変だったくらいだからな怪我と言う怪我はしてないからな」

「昼間の私が治癒できるほどですからね」

「あーでもこの先、旅をするなら回復役は欲しいよなー」

「リコさんではダメなんですか?」

「ダメじゃないけどさ。俺が怪我するのって大抵昼間だから昼間に俺が致命傷を負った場合俺はそのまま死ぬと思うんだ」

「まあ、その可能性が高いだろうね。リコさんの魔法は夜に本領発揮するからね」

「だから、回復役をパーティに引き込もうと思う」

「回復専門ってことですか?」

「おう」

「いるのかにゃそんな人…回復も大抵魔法使いの役目にゃ」

「でも必要なのは確かだぞ。フユだってなにか作ってて怪我することだってあるだろうが」

「フユは多少の怪我なら自分で治せるにゃ」

「俺は魔力がないから直せないんだ」

「貧弱にゃ」


しょうがないだろうが。

この世界の出身じゃないんだから。


「だから、人が多く集まる場所に行きたい」

「ヴァイスなんてどうでしょうか?」

「ヴァイス?ってどこだ?」

「王都を挟んで反対側ですね。私の領地の隣です」

「そんなに人が集まるのか?」

「はい。冒険者の街と呼ばれるくらいですから。因みに私の領地シルフィードは始まりの地なんて呼ばれてたりします」

「冒険の街…そこならいそうだな」


次の目的地が決まったところでまたガイと一緒に王都へ戻ろうではないか。


「もう行くのか」

「ああ、思い立ったらすぐに行動しないとな」

「またいつかこいよ。稽古相手がお前しかいないんだ」

「暇だったらな」

「ちゃんとリコさんを大事にしなさいよ」

「わかってるつもり」

「どうだか」


「それじゃな。俺の好敵手(ライバル)

「死ぬなよ」


まだ旅は始まったばかりだろ、こんなところで死んでたまるか。

カイト達に別れを告げてギルド前まで戻る。

数日の間だったが世話になったな。


「おお、またおまえさん達か。オルディンに2日くらいしかいないがもう出発するのか?」

「ああ、まだまだこのパーティには足りない人員が多すぎるんでな」

「ほう。リューくらいの強さがあればあとは関係ないと思うがな」

「俺だって万能じゃないんだ。魔法は使えないし防御も紙装甲。一撃で済む相手なら俺だけでいいが世の中にそんなやつばかりだとは思わないからな」


どの道、領主の娘を2人も抱えてるんだ。

問題もあるだろうし、強者にも目をつけられやすい。

仲間は多いに越したことはない。


「最終的に何人くらいのパーティにするつもりだ?」

「さあな。必要な奴がいればいれるって感じだから分からん」

「そうか。頑張れよ。運ぶ荷物を持ってくるから出発は明日だ。残りの時間、オルディンを満喫しとけ」

「そうする」

「じゃあ!観光しよう!」

「観光ならしたぞ」

「リューさんはしてても私達はしてないんですー」

「火山なんかの熱に当てられるからだろ」

「水辺の領地の領主に熱に耐えろと言う方が無茶なんです」

「威張るなよ…少なくとも、これから暑い場所に行ったらどうするんだ」

「それは…リューさんに丸投げします」」

「おい」


モンスターはどうにか出来ても熱そのものは無理だぞ。

てか、魔法

使えるんだから熱とか環境的なものはリコの領分だろうに。


改めて火山都市『オルディン』の魅力について見ていこう


「屋台が多いが祭りでもやってるのか?」

「この都市では自炊するということが少ないみたいですね。孤児院などはそういう自炊を学ばせるために自炊したりするそうですが一般家庭はそんなにしないですね」

「だから値段は安いのか」


屋台をぱーっと見た感じ食べ物の屋台は銀貨1枚が最大、それでも高い方でほとんど

銅貨数枚で買える値段。


「これなんだ?」


やけに薄く筋のようなものがあるこれは食べ物なのか?


「蝙蝠の翼の部分ですね。私は苦手ですけどコリコリした歯ごたえが美味しいと評判ですよ」

「めっちゃいい匂い。これくれ」


食欲をそそるような香ばしい醤油に似た匂い。

ハイド戦で腹が減ったから丁度いい。

翼膜の部分を齧ると口の中に濃い醤油の味が広がった。

食感はスルメに近い。日本では十分な食事が取れず何度も噛めるスルメに随分とお世話になった。


「うめー。アレン、これ作れるか?」

「食材と調味料があれば似たような物は作れるよ。ただこの味は再現出来ないかな」

「なんで」

「正確には分からないけどいろんな調味料が使われてる。所謂、秘伝のたれってところかな」

「味はアレンに任せる。蝙蝠を捕まえた時には作ってくれ」

「それならお安い御用さ」


それはそうと…


「お前らは食わないのか?」

「私は苦手なのでいらないです」」

「フユも、そんなゲテモノ食べられないにゃ」

「私も蝙蝠はちょっと…え?」


俺は蝙蝠の翼が刺さった串を笑顔で差し出した。


「食え」

「え…でも…」

「新鮮なやつがいいのか?それなら今から獲ってくるから待ってろ」

「待ってください!食べます!食べますから生はやめてください」

「んじゃ。はい」

「う…」


メイははむ!と頬張った。


「美味いだろ?」

メイは勢いよく首を横に振った。

「美味いだろ?」

メイは静かに首を縦に振った。


賢いってこういうことを言うんだろうな。

良き良き。


「リュー。死ね」

「え、なんで?」

「鬼畜なんて生易しいもんじゃないにゃ即処刑の惨虐行為にゃ」

「そこまでのことか?俺はただ『美味いから食べてみ』って言っただけだぞ」

「無言でしかも奴隷という逆らえない立場の人間ににゃ。リコもなにか…やっぱりなんでもないにゃ」


フユから睨まれながらも屋台を回って夕方。

宿に戻ったらこの都市の目玉とご対面。


火山都市特有の施設。

温泉だ。


「相変わらず壮観だな」

「だねー。毎日入りたいくらいだよ」


可能なら俺もそうしたい。

だが明日ここを発つ。

今日一日暴れた分、疲れをとろうではないか。


「今日は壁登らないのかい?」

「伝えることもないしな。それにこの時間帯の雷は遠慮したい」


時刻は日が傾き始めた頃。

この時間帯の雷は普通に死ねる。

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