第27話 次なる目的地へ!
「あ、あの大丈夫ですか?」
「ああ…大丈夫」
あの後、何射かしてみたが、見事に全ての矢が俺のところに飛んできました。
それら全てを撃ち落とすのにも時間がかかった。
なんなんだあの不気味な特異体質は。
「メイ、男が怖いとか ないよな?」
「はい。そういうのはあんまりないです」
「あんまりってことは少しはあるのか」
「私だって目付きが悪い人とかすぐに暴力を振るう人は怖いです」
「メイの目に俺は『冷徹暴力男』映ってるのかーよく分かったよ」
「違います!そういうことじゃないです!だからそんな怖い目で見ないでください!」
どうだか。
確かにアレンと比べたら俺は目付きも悪いし優しくもないだろう。
だが、優しいだけの男がいい男かと言ったら果たしてそうだろうか?
師匠がよく言っていた
『女は怖いぞ。儂が何発も出しても求めてくるからな。枯れるところじゃった』
違う。この時じゃない。
『女は良いぞ。一人でいると群がってくるからな』
あのジジイ、弟子にロクなこと教えてねぇでやがる。
要はあれだ、女の罠に気をつけろってことだ。
アレンみたいな優しい男はすぐ騙されて身ぐるみ剥がされて一生奴隷みたいな生活を送るんだ。
それを考えたら少しは威圧というものも必要だとは思わんかね。
「えっと…アレンさんがなにかしたんですか?」
「例えに使っただけだ。別にアレンと居ると毎回比べられて怖いって言われるとかそんなんじゃないし」
「そうですか…」
アレンへの恨みをメイに吐いたところでフユの簡易工房に到着した。
「おかえりにゃ」
「どうだったのか聞かないのか?」
「今のリューを見れば結果は見えてるにゃ」
「メイちゃんの特異体質は解決しなかったみたいだね」
「放った矢が全部俺のところに飛んでくるとかもう地獄」
「でも、飛んでくる方向が分かれば避けるのは簡単だろう?」
「1本、2本ならな。3本以上になるとキツイ」
「でもその特異体質、リューがそばにいなかったらどうなるにゃ?」
「そのまま刺さったままなんじゃね?メイを単独で仕事を受けさせたことないからわかんね」
「じゃあ今度は僕と一緒に行こうか」
「アレン…お前矢撃ち落とせんのか?」
「大丈夫!僕にはフユさんが作ってくれた盾があるからね!」
その盾貫通しないかな…なんて思ってみたり
メイとアレンが何の仕事を受けるか相談している間に俺は倒したイノシシをギルドに届けようかと思う。
アレンに借りたアイテムボックスはすごく便利だ。
俺に魔力があれば使えたらしいが、魔力がなかったり、少なかったりすると持つ意味はあんまり無いとのこと。
今になってこの特異体質が悔やまれる。
「あ、リューさん!」
「リコ、こんなところでなにを?」
「私もなにかお仕事しようと思いまして」
「昼に?1人で?」
「そう思って待ってました」
「出来るだけ誰かと一緒にいてくれ。リコが誘拐とかされたらこの王都にいる全員を殺して廻るぞ」
滅茶苦茶探した後、俺がリコの父親に殺される未来が容易に見える。
あの親バカ領主のことだ例えリコが無事でも俺を絶対に許しはしないだろうよ。
「で、なんの仕事を受けるんだ?」
「これなんかどうでしょう。『オルディンへの道中でモンスター狩り』」
「オルディン?どこだ?」
「火山の麓にある都市で温泉が有名だそうですよ。あ、報告はオルディンでしても良いみたいですよ」
「まあ、次の目的地も決めてなかったしな。温泉に入りにオルディンに行くか」
メイの弓も作り終わったし丁度良い。
ドラゴンのところに簡単に行けなくなるのは寂しいけどその気になれば俺だけでも逢いに来れば良いか。
次の目的地『オルディン』に行くことが決まったため俺たちは準備へと移った。
リコとフユとメイは替えの下着を買いに行ったり、俺とアレンは必要な食料とか調味料、武器の手入れをした。
それだけで2日かかった。
「よし、忘れ物はないな」
「はい。大丈夫なはずです」
「うーん…ずっと簡易工房に籠ってたから腕が鈍ってそうにゃ」
「大丈夫、フユほどの怪力があれば鈍りとか関係ないだろ?力で押しつぶせばいい」
「にゃ?まずリューの頭を潰すかにゃ?」
「事実を言ったまでだ」
「はいはい。喧嘩はしないでくださいねー」
「頬引っ張んな!いてててて」「にゃー!耳!耳にゃー!」
「今までよく旅出来てましたね」
「リコさんが居なきゃ今頃どっちか死んでそうだけどね」
出発前にグダグダしたが次の目的地、オルディンへと向かった。