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第26話 私達の関係って何て言うんですか?

「つまらないわね」

「申し訳ございません...」

「謝る気があるなら今度お願いね」

「え...それは...」

「なに?」

「いえ、私などでよければお使いください」


兵士って大変だなー


俺達が相談し合って決めた平和的解決ではあるが、カインからすれば一時凌ぎにしかならなかったみたいだ。


「女王ってそんなに料理下手なのか?」

「陛下のお創りになる料理はその...独特なお味なのだ」

「別に遠まわしに不味いって言わなくてもいいんだぞ?」

「断じて!口に合わないわけではない。私が陛下の味覚と離れているのがいけないのだ」


まあ、どの時代も偉い地位の奴らは自分のことすら他人にまかせっきりだしな。

料理する気があるだけマシというもんじゃないか?

謎物体を量産することになってもそのうちちゃんとしたものが出来るさ。

それまで毒味役頑張れ。


「リューさん、お疲れ様です」

「おう。手加減って大変だな」

「出来るようになれば、生け捕り系の仕事も受けられますから頑張ってください」

「生け捕りより討伐系の方が報酬はいいだろ?」

「そうですね。でも血が出るので出来るだけ行きたくないです」

「そんなんで旅が出来ると思ってんのかよ...」

「大丈夫です。危なくなったらリューさんが守ってくれますから」

「俺は護衛じゃねぇんだぞ」


「そう言われてみれば、私達の関係ってどうなるんでしょう?」

「仲間だろ?一緒に旅をする」

「仲間と友達の何が違うのでしょう?友達も平たく言えば赤の他人なわけですし私達だけじゃないです。フユと私は領地が隣同士ってこともあり親友ですがリューさんからすれば他人なわけですよね?」

「そうだな、だがそれがどうした。仲間と友達は一緒の意味だろ。じゃなきゃフユと毎日のように喧嘩なんかできるか」

「では私達は友達ということでいいのでしょうか?」

「それで満足できるならな」


ま、満足できなくても俺の知ったこっちゃないがな。

親友どころか友達もいたことないのにそんな関係なんて知る訳がない。


「でもでも、ここまで旅をしてきて色んなことがありましたよね?モンスターに追われて手を繋いだり時にはお姫様抱っこもされました。疲れた夜は添い寝したり、リューさんが私の水浴びしてる途中に乱入したこともありましたね?」

「そうだな。だから?」

「他の人が見たら恋人みたいじゃないですか?」

「しらん。俺に知識を求めるな。んなこと言ってないで帰るぞ」


一体どうしたんだ。今まで関係がどうのなんて言わなかったのにいきなり言いだして。

まあ、人はなにかしらの繋がりがないと不安になるってアレンがどや顔で言ってたから多分今のリコは不安なんだろう。

...それが分かったところで俺には何もできないが。



「おかえりにゃ。早かったにゃ」

「女王だって暇じゃないだろうからな早めに切り上げたんだ」

「そうかにゃ。なら弓の試し撃ちに行くといいにゃ」

「出来上がるのは数日後じゃなかったのかよ」

「ドラゴンの髭の加工の関係でそれくらいかかる見込みが意外と簡単に加工が出来たからその日のうちに弓が出来たにゃ」

「そうか。メイ!弓の試し撃ちに行くぞ!」

「は、はい!」


メイとイノシシ狩りへと向かった。

フユが作った弓もあるし相手は一度見てるから緊張もないだろう。


「あ、あのご主人様の名前ってなんですか?」

「龍輝だ。黒井龍輝」

「どうやって書く...あ...」

「俺が知る訳...なんでそんな青ざめてんの?」

「地雷...でしたよね....すいません」


地雷?えっと...地面に埋める爆弾だったけ?

俺は地雷なんて不便なもの持ってないぞ。


「なあ、俺の名前を日本語で書いてみてくれよ」

「黒井は多分この字で、龍輝が分かんないです」

「親に言われた気がするんだけどな...ドラゴンがどうのって...」

「ドラゴン?龍ですか?」

「多分な。龍になにかだ。平仮名で俺の名前はこう書くのか。初めて見た」

「ご主人様はいくつなんですか?」

「知らん。俺が知ってるのは性別だけだ」


それ以外は教わっていない。

教わっていても必要ないと脳内から消したものも多い。


「ほら、あそこにいるから気づかれないようにやれ」

「は、はい」


念のためメイの後ろに移動して見守る。

深呼吸をして矢を放つ。

するとどうだろう。イノシシは断末魔を上げて倒れた。

その頭部にはメイが放った矢が刺さっていた。


「やった!やりました!」

メイが興奮したのか俺の方へと駆けてきて自分の持つデカく柔らかいものを俺の腕に押し付けた。

「分かったら落ち着けって」

「あ、すいません」

「そんなに嬉しかったか」

「それはもう凄く」

「日本じゃそれなりの有力者だったか。それで当たらなくて悔しく...」

「違います。もっと単純なことです」


単純な理由...当たらなくて恥ずかしかったのか?


「ご主人様がこの世界に来てどれくらいですか?」

「さあ、曜日とかも分からないし時計も読めない」

「この世界は日本より治安は不安定で怖い場所です」

「メイのいた時代はそうだよな」

「いくらご主人様が同じ日本生まれだからと言っていつまでも役に立たない私を置いてくれるとは思いません。だから今回が最後のチャンスだと思っていたので」

「あれ、俺が師匠から教えられた唯一に知識って教えなかったけ?」


適材適所


「あ...」

「例え弓が使えてなくても俺達のパーティにはやることはたくさんある。なんならいるだけでやる気があがる」

「そんなこと...」

「俺もアレンも男は単純だからな」


揺れる両乳を見ればだれだってやる気があがるさ。


「んじゃ、これからよろしく...あっぶ!」


イイ感じに仕事を終えようとしていたところに邪魔が入った。

邪魔したのは人でも動物でもなく生き物ですらなかった。


「矢?」


メイが放って刺さったはずの矢。メイが放ったのは一射のみ。

矢の先には血がついていた。


「あーそう。そういういうこと」


どうやら、メイの特異体質はフユの反対体質じゃ相殺できないようだ。

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