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第20話 ドラゴンと遊ぼ

ギルドの出口から真っ直ぐ行った所にある洞窟。


『今から600年前くらいに王都から討伐隊なるものが我の所に毎日のように来た。あの頃は滾っていてな。楽しい思い出だ』

「命知らずが多いんだな」


俺は目的のドラゴンと対峙していた。



ドラゴンがいるという洞窟の前まで来たが入口がとにかくデカイ。

東京にあるあの赤い塔と同じくらいはありそうな高さだ。


「この入口あってドラゴンいないとかなったら肩透かしもいい所だろ」


だがそれは杞憂に終わった。

洞窟の中に入ってすぐに目的のドラゴンがいることが確定された。

なんと言っても匂いが違うのである。


血の匂いと獣臭さ、明かりは全く見えないのに風だけはビュービュー吹いている。

いることが確定して構えの状態で進む。

俺に魔力はないから完全に感覚だけでの探索となる。


ガシャン!

気をつけて進んでいたはずだが周りに散らかるなにかを蹴ってしまったらしい。


何層かに積まれていたなにかが音を立てて崩れ落ちた。


「うるさ!」


全てが金属なのか、ガッシャンガッシャンと物凄い音がする。

収まったかと思ったら後ろでなにかが動いた。


『なんだ...誰だ...』


間の抜けた声?振動?で岩が喋った。


『人間...何の用だ』

「お前の素材を取りに来た」

『そうか。我は寝る。角でも鱗でも好きなものを取るといい』

「痛くないのか?」

『外殻であればの話だがな。』

「俺、魔力がないから今全然見えてないんだよな」

『今すぐその武器を仕舞え』

「取っていいんじゃないのかよ」

『ちゃんと見えてる場合の話だばかもの』


デカい図体の癖してちっちぇーやつ


『明るくするから、しばし待て』

「なにを...熱!火吹くなら先に言えよ!」

『人間はこの程度で熱いと感じるのか。不便だな』

「うるせぇ。火、吹かれる前に殺せばいいんだ」

『それはさておき。これで剥ぐことが出来るであろう』

「なんでそんなにあっさりしてんだよ」

『もうこの世に生を受け1000年近く経とうとしてるのだ。今本気を出したところでお前さんには敵わんよ』


数千年を生きる生物とて寿命はあるのか。

そして、生きた分だけ暇になるということか。


「ここに住んでるってことは王都から討伐隊やらなんやら来たんじゃないか?」

『来たとも。今から600年前くらいに討伐隊なるものが我の所に毎日のように来た。あの頃は滾っていてな。楽しい思い出だ』

「命知らずが多いんだな」

『お前さんも人のことは言えんがな』


俺の場合、運が良ければ倒そうかなレベルの事だったからな。

もし強そうならこの辺に散らばる宝をアレンから預かったアイテムボックスにしまうつもりだったし。


『その辺の鎧や剣も欲しければくれてやる。我には必要のないものだ』

「そいつはありがたい」


入口付近から洞窟の奥まで様々な装備が散乱していた。

黄金の剣から虹色の指輪まで色んなものがある。


「素材はどこを斬ればいい」

『どこでも好きな所を斬るといい』

「んじゃ。ここだ!」


人間で言う背骨の辺り、1番盛り上がっている所に刀を突き刺した。


『ぐぬぅ!手加減せんか!老いぼれには優しくするもんだぞ!』

「俺、手加減出来ないから。てか、取れないんだけど?」

『勢いよく刺したらそうなるのは目に見えていただろう!』

「刀を突き刺したことないからわからん」


刀ってだいたい縦に斬るか横に斬るかだし。


「抜けねぇ!」

『ゆっくり抜け』

「お前、属性付与とか使えないのか?」

『む、多少の魔法は使えるが...どうするつもりだ』

「俺の刀に風属性を付与してくれ」

『鋭利にしてそのまま斬る算段か』

「ああ、そうだ!日暮れまでに帰らなきゃいけないんだ!」

『風よ我が呼び声に従い彼の者に力を』


ドラゴンの魔法詠唱により万物を斬り裂く程の鋭さとなった俺の刀は引き抜く寸前に鱗を数枚剥がした。


「ぜぇぜぇ...なんでこんなに体力使ってんだよ...」

『戦っていたらもっと使っていただろう』

「そういうこと言ってんじゃねぇよ」


色々あったが素材は入手出来た。

が...


「日暮れまで時間が無い...」

『何故そんなに急ぐのだ?』

「仲間と約束してんだよ。間に合わなかったら仲間が奴隷落ちする」

『ふむ...中々大変な状態なのだな』

「奴隷買いたくてでも金がないからお前のところに襲撃に来た」

『頑張れ。若者よ』

「見捨てんのかよ!助けろよ!」

『図々しいとは思わんかね』

「俺、馬鹿だからわかんね」


『お前さんの仲間の苦労が目に見えるぞ。いいだろう。今回だけ送ってやる』

「やったぜ」

『背中に乗るといい』


いいドラゴンでよかったー。今から俺の足で全速力で走っても日暮れまでには間に合わないからな。


『行くぞ』

「え、ちょ、まっ!ぎゃああああ!」


この老いぼれ。最初から全速力で出発しやがった。

体の大きさギリギリの洞窟の入口をスレスレで飛び立った。


『久しぶりの外だ。気持ちがいいな』

「それは!分かったから!速度を落とせ!」

『乗せてもらってるんた。文句を言うな』


こっちは振り落とされないように必死でしがみついてんだよ!

刀とか振って握力付けといてよかったと思った瞬間である。


『ほれ、もう着くぞ』

「酷い目にあった...」

『楽しかったであろう?』

「ゆっくりだったら楽しかったかもな」


まあ、全速力で来たおかげで日暮れまでに帰れたんだ。

ちゃんと礼をするのが基本だよな。


『ぐぬぅ!貴様...』

「礼をしないといけないなと思ってな〜」

『なにが礼だ。鱗を無理やり剥がしておいて...』

「礼は礼でもお礼参りってやつだ。俺の師匠がよくやってたよ」

『二度と我の前に姿を表すな』

「時々遊びに行くわ」

『消し炭にしてやるわ』


ギルド前の広場でドラゴンと言い合いをしていると甲冑姿の兵士がゾロゾロとやって来て俺達を包囲してしまった。


「貴様!そのドラゴンはなんだ!」

「あぁ、乗せてもらったんだよ...ってこんなことしてる場合じゃねぇ!ドラゴン乗せてもらってあんがと!んじゃな!」

『我も帰るとしよう』


俺はドラゴンと別れ裏路地を通ってアレンの所まで走った。


「アレン!帰ってきたぞ!」

「あぁ...リュー...おかえり...」

「おま!なんでそんなに弱々しいんだよ!」

「リュー...君アイテムボックスに何入れた?」

「何って...ドラゴンの鱗」

「アイテムボックスってね。僕の魔力を使って収納してるんだよ。僕の魔力だから、そんなに量入らない...とりあえずギルドで換金してきて」


量入れすぎたってことか。

心配させやがって。


「おやおや、随分早いおかえりですね」

「まあな。ちょっと人外生物に手伝ってもらったがな。金の用意はできたしばらく待ってろ」

「ええ。お帰りとならば待ちましょう」


商人の言質も取ったことだし俺はギルドへと走った。

...今日走ってばっかの気がする。


「待て!貴様、先程ドラゴンを操っていた者だな!」


その道中面倒臭い奴らが待ち伏せしていたた。

毎日投稿分が消費されたので次回更新は4月29日となります。


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