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第17話 常識知らずの剣士

王都へと入るには身分を示すものと税金が必要となる。


リーンフォード領のギルドでギルドカードを発行していたため特に問題もなく入ることが出来た。


「人多いな」

「国の中心だからね」

「これからどうするにゃ?」

「まず宿を決めましょう。アレンさんが料理が出来るので少しは安くなりますよ」


王都初心者の俺とアレンは前を先導するリコとフユについて行く。


入門前にリコから説明があった通り、王都には階級地域というものがある。


王族、上位貴族などが住む、上級層

中位貴族、商人などが住む、中級層

平民、奴隷亜人などが住む、下級層


領主の娘であるリコとフユは上級層に入り、異世界生まれの俺や平民のアレンは当然下級層。

下級層の人間が上級層に入ることは出来ない。

ので、中級層の宿を取ることにした。


「入ってすぐの宿でも良かったんじゃないか?」

「入ってすぐの宿は奴隷専用となっています。ので、私達が泊まることは出来ません」

「奴隷ってなにに使うんだ?そもそも、どうやったら奴隷に落ちるんだ?」

「色々あるけど、主には薬物依存の人や賭け事で負けた人だね。あとは、亜人とか誘拐された女の子かな。使用用途は冒険のお供から家の事までなんでもやる。って感じかな」

「詳しいな」

「冒険者をやっていれば1度はお世話になるからね。特にほら僕なんかは防御型だから攻撃する人が必要だったんだよ」


奴隷か...遠距離攻撃する人がいないから欲しい。

リコは夜間であればその本領を発揮するが昼間は普通に俺が掠ってでも突貫すれば事足りることが多い。

俺だって出来ることなら攻撃は受けたくない。痛いから。

遠距離攻撃する人がいるに越したことはない。


「奴隷を雇うとこでなんか注意点とかあるのか?」

「犯罪奴隷は止めた方がいいね」

「犯罪奴隷を雇うとどうなる?」

「犯した罪にもよるけど、雇い主を殺して装備とか所持金を奪われることがあるよ。僕の知人もそれで1人亡くなってるからね」

「リュー、奴隷でも買う予定があるのかにゃ?」

「遠距離攻撃役が欲しいと思ってな...」

「え...」


俺の言葉にリコは酷くショックを受けた顔をしていた。


「別にリコをどうこうするんじゃなくて昼間に動ける遠距離攻撃役が欲しいだけだ」


それに、この旅はリコに外の世界を見せるという一応の名目がある以上リコ本人に抜けられると色々と困るんだ。


「そうですか、少し安心しました」

「リコがいなくなって困るのは俺だから」


読み書き出来ない、常識知らない、愛想良くない

というないないだらけの男がこの世界で生きていくなんてことは不可能に近いだろうよ。


しかし、奴隷がいれば楽になるのは事実であり、出来ることならパーティに入れたい。

犯罪奴隷じゃなく、遠距離を得意として欠点がないのが好ましい。


「宿に荷物を置いたら一緒に見に行こうか」

「助かる。イマイチ分かってない」


中級層の宿をとって自由行動となった。


「奴隷商は下級層にあるから気を付けてね。治安はどうしても悪くなってしまうし下手したら命を落としてしまうかもしれないからね」

「魔力はなくても、索敵くらいは出来る」

「それじゃ、行こうか」

「リコ達はどうする?」

「女王陛下に会いに行ってきます」

「久しぶりだから楽しみにゃ」

「捕まらないようにな」

「リューさんじゃないので捕まりません。それに、私たちは敬語じゃなくても許されますから」

「領主特権にゃ」


さすが、それなりの地位を持っているだけのことはある。

そう言えば、政治の権利がどうのこうの言ってなかったか?

絶対に忙しいと思うが...まあ、本人達がいいならいいけどさ。

リコ達と別れて奴隷商へと向かう。


「奴隷の相場っていくらだ」

「だいたい金貨20枚くらいだね」

「......それって高いのか?」

「いつもリュー達が受けている仕事の報酬が銀貨10枚くらいだから、あの仕事を20回すれば標準的な子が買える計算だね」

「俺、今まで買い物とかしたことないし報酬金はリコが管理してるからそういうのまったくわからない」

「よく生活できてたね...」

「その金貨とか銀貨ってなんだ」

「一番安いので銅貨、その次が銀貨、銀貨の上が金貨。一般的に使われるのはそんなもんかな。銅貨10枚で銀貨一枚、銀貨10枚で金貨一枚」

「....?それなら仕事の報酬金は金貨一枚でいいんじゃないのか?」

「僕たちは4人パーティだろう?分け前とか色々の事情があるんだよ」


リコに任せっぱなしだから全く知らなかった。


「そろそろ奴隷商だけど気をつけてね?」

「なにを...あっぶね!」


少し暗い路地の中、キラリと光るなにかが頬を掠った。

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