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第25話 王都での日常Ⅱ 変化する環境

 ヴァレオの事件から1週間が過ぎた。


 現役の騎士団長が起こした事件は国民に影響を与えることは無かった。

 メリットが無いことは公表されなよいよね。大人の事情と言うやつだ。

 その代わりに、貴族の変死事件は帝国将校リンバルによる犯行であり、そのリンバルが捕縛されたことで解決したと公表された。


 それにより人々の噂は、リンバルの貴族変死事件の事から別の事に移っていた。

 リンバルの事件中、夜に外出するなどの行為は非常に危険だった為、自主的に制限されていた。それにより貴族にとって非常に重要な夜会という、名前を売る為のイベントも行えていなかった。しかしリスクが無くなった事で、今までの鬱憤を晴らすかのように、派手で社交的な貴族達は、自身の家を誇示する目的で夜会は日々どこかしこで開催されるようになった。

 上流階級のそんな生活を羨望するように、もしくは嫉妬するように、夜会の内容が噂されるようになっていった。


 研修のメンバー構成も変化があった。

 1番実力があり、人気のあったグループである勇者ルシフェルとその仲間達は、事あるごとにメンバーが減っていった。初日こそ、教官が選んだクエストだった為に何も問題は無かったが、その翌日からはパーティーで選べるようになり、それが問題だったようだ。


「大丈夫、僕がいるから少しくらい難易度を上げても達成できる」

「おい、お前がいるからって何だよ? 俺達がまるで足手まといって言うのか?」

「きゃー、ルシフェル様、さすがですぅ!」 

「ほら、彼女たちも同意してくれているみたいだし、君達が一緒でも大丈夫だよ」

「けっ! バカバカしい! そういって昨日、タンクが重傷を負ったんじゃねえか!」

「昨日はタイミングが悪かっただけだよ。あんなミスはもうしないよ?」

「あーやめだやめ、確かにお前は強いかも知れないが……何にしても俺はお前とは組みたくねえ。取り合えず研修もヤメだ」

「残念だなあ。ねえ! こっち1人抜けちゃったんで、第2パーティーから1人来てよ」


 こんなやり取りを昨日はしていた。自分の非を認めたくない天才なのかな? 


 グループの再編はこういう流れでは必然だったのかもしれない。


 第2パーティーの1人が勇者パーティーに異動した為、第2パーティーにいた4人は、グループを構成する為の人が足りなくなって、俺達のパーティーに合流した。それにより研修は、勇者パーティーと仲良しパーティーと俺達の3グループで継続していくことになった。

 タンクが2人、ヒーラーが2人、ディーラーが3人と最初のころから考えたら立派になったものだ。

 場合によっては、お姉ちゃんがゲストとして参加することもある。


 移動してきたヒーラーは、勇者第2パーティーのリーダーだった人だ。俺の2回目の怪我を治してくれた人でもあるので有り難い。

 見た目は完全に修道女のイメージだ。修道服を身に纏い、頭はベールで覆われており、少し見える前髪で金髪なのが分かる。背は高くなく160㎝弱だろうか。牛乳瓶のメガネから少し外れて見える、右目の泣きぼくろが特徴的だ。いやむしろ牛乳瓶メガネの方が目立っているのか。

 ヒーラーはアルティアさんという。あと戦士のモーガンさん、魔術師のクリストフさんとモンクのルクールさん。この4人が今回、異動してきた新メンバーになる。

 

 また冒険者稼業というものを考えた。


 今は研修中なのでまだ確定ではないが、冒険者の稼ぎって厳しいと思った。

 パーティーを組むと1階級上の依頼をする訳だけど、新人の俺達だとシルバーランクの依頼を完了させて、8人で2000マルク前後しかない。それを1人の手取りに換算すると250マルクだ。

 とてもやっていけない。

 恐らく研修を辞めていった理由の中には、これが原因の人もいるのだろう。

 命を懸けた結果、時給が250マルクだとやるせない気持ちになってしまう。


 それと俺の立ち位置は変わっていない。


 1週間前から始めた、俺の魔力制御は改善の兆しが見えなかった。元々、魔力というものに馴染みがなかったこともあり、それを制御するなんて全く理解できない。

 その事をパーティーで話していると、アルティアさんが練習に付き合ってくれる約束をしてくれた。

 それを聞いたモーガンさん達は最初、えぇ?! と驚いていたが、最終的にシブシブといった様子でそれでは俺達もと同行することになった。


アルティア「眼鏡って凄いんですよ!」

モーガン「いきなりどうした?」

アルティア「牛乳瓶の蓋にも……」

モーガン「ならねえよっ!」

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