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女子は買い物が長いのだ。


あれから少しして宿屋のおばちゃん、マドリーさんと言うらしい、が朝食の乗った木のトレーを運んできてくれた。




「あら、可愛い服じゃないのさ。アンタに良く似合ってるよ。」




どこかのご令嬢みたいだよと、笑顔で褒めてくれた。

お母ちゃんって感じだ。




「あの、マドリーさん。ここの部屋って1日いくらでしたっけ?」



「アンタ・・・昨日の今日でもう忘れたのかい?」




どこか抜けてる娘だねぇ、と呆れ顔で教えてくれた。


そんな事言われても、目覚めたらここに寝てたから知らないって〜とは言えないので笑って誤魔化しておいた。




マドリーさんの宿屋、古鳥の泊まり木は旦那さんとマドリーさん、そして末っ子のお子さんの3人で経営してるらしい。


マドリーさんのお子さんは娘さんが3人いて、上の2人はお嫁に行っていないらしい。

忙しい時期は手伝いに帰ってくるみたいだ。





宿屋の宿泊費は1日朝食付きで銅貨4枚らしい。

この金額が高いのか、安いのかいまいち判断がつかないし、計算も私が知っている十進歩であっているのかもわからない。




「え〜と、じゃあ7日泊まったら銅貨28枚ですね〜。」




「そうだよ。計算早いじゃないか、頭が良いんだねぇ。」





マドリーさんはニコニコで褒めてくれた。

どうやらこの世界の計算は私が知っているものと同じ様で良かった。





「全部銅貨で払ってくれても良いんだけど、何十枚もあるなら銀貨とかに両替して貰った方がかさ張らないんじゃないかい?」




両替とな?銀行でもあるんかいな。




「北通りに商人ギルドがあるからね、そこで両替して貰えるよ。」




「ありがとうございます。食べ終わったら早速行ってみますね。」




出かけるついでに配膳板持ってきておくれよ。

マドリーさんはそう言うと部屋を出て行った。




配膳板ってこのトレーの事だよね?







マドリーさんが持って来てくれた朝食は、コッペパンの様なパンに薄いベーコンと葉物野菜が挟んであるサンドイッチと、きのこのスープだった。




味はまぁまぁで、強いて言うなら、野菜の水気をもう少し取って、パンに何か塗って挟んで欲しかった。



味付けは全体的に薄めだったが、朝一と言っても昼近いらしいが、にはちょうど良かった。
















異世界で最初の食事を終えた私は早速外へ出ることが事にした。





マドリーさんにトレーを返した私は北通りにあると言う、商人ギルドを目指す事にした。





この街、メイルクリートは王都からも海からも比較的近く、商業が盛んらしい。


南北に森があるため、魔物なども出るらしいが、領主様の騎士団と冒険者ギルドが何とかしてくれるらしく、安全な街だそうだ。


騎士団とか冒険者ギルドなんてファンタジー!RPG!!!


内心大興奮だ。





あ、これは串焼き屋のおっちゃん情報ね。

古鳥の泊まり木亭がある南通り、正確には黄昏通りと呼ぶらしい。通りの標識みたいなのに書いてあった。

ここは露店や、民家がある区画らしく、通りには様々な露店が並んでいた。


串焼きはもちろん買った。塩気が効いていて大変美味でした。

値段は銅貨1枚。

宿代と比較すると高めの設定じゃないかと思ったが、塩の値段が上がってどうのと言っていた。

普段は鉄貨6枚だと言っていたので、値上げしたばかりらしい。



そんな会話でこの世界にはとりあえず、鉄貨、銅貨、銀貨、金貨があることがわかった。


所持金が金貨しかなかったため、1枚出したところ、金持ちか!?と言われた。違います。



銀貨9枚と銅貨9枚のお釣りがきた。




どうやら、銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚の価値らしい。




両替の必要が無くなっちゃったな〜このまま、買い物でも行こうかな。



商人ギルドに行くのはとりあえず止めて先に買い物に行くことにした。





おっちゃんの話によると服屋や武器屋は商人ギルドのある北区、北通りにあるらしい。

早速行ってみることにした。




靴下、靴下。足が蒸れる。










北通りは正式名称、白鳥(しらとり)の通り道と言う。

おそらく、北通り、南通りと言う呼び方は地元ならでわだと思う。





通りにはオシャレな建物が並んでいた。

全部見てまわりたいところだが、寝坊したらしいので、当初の目的から果たそうと思う。



靴下。





一軒一軒看板をみて歩く。





そう言えば私、この世界の文字、見たこと無いはずなのに読めるんだよな〜。

不思議。いや、ありがたいけどさ。





そんな事を考えながら歩いていると、服屋らしき

看板を見つけた。


金属性らしき看板には服の絵が掘ってある。





「ここだ!」





硝子がはめてある木製のドアを開けるとカランコロンとベルが鳴った。






「いらっしゃいませ。」






白いシャツに黒いロングスカートのシックな装いの美人なお姉さんが出迎えてくれた。





あれ?ここ何か高そう?






「どういうものをお探しでしょうか?」





靴下くれって言いにくっっっ!!!





「あ〜と、下着とかありますか?」





こちらです、と案内された。


靴下だって下着だよね。靴の下に履くんだから。



なんて変な言い訳をしながらチキンハートな私はお姉さんに着いていった。







お姉さんに着いていった先には色々な下着が売ってあったが、レースの可愛い下着や、セクシー下着は金貨10枚からとお高い仕様だった。

お金持ちになったら買ってあげるからね。


無難な物を2着、それでも可愛い物を選んだつもりだ。お買い上げした。


それと、下着の棚の奥に靴下らしき物を見つけた。

靴下と言っても、皆お馴染みくるぶしソックスでも、五本指ソックスでもなく、太ももでガーターベルトで留めるタイプのオーバーニータイプのものだ。


私にはちょいとセクシー過ぎるかと思ったが足が臭くなるよりましだと思い、3足購入。




後は着替えだ。

うら若き乙女が1着をずっと着ているなんてあり得ない。洗濯もしたいし。



お姉さんに案内されたのは色とりどり、多種多様の服が置いてあるコーナーだ。




中々良さそうな淡いイエローのワンピースを手に取ってみる。

膝上丈で胸元が少し空いているがイヤらしい感じは全然しない。



「きっとお似合いになりますよ。鏡で合わせてみてはどうでしょうか?ご試着もできますからね。」



お姉さんは営業スマイルで対応してくれている。

足下まで見える大きさの姿見まで案内された。



てか、鏡あるんだ。





鏡で見てみると益々気に入って欲しくなる。が、値段を聞いたところ、銀貨7枚、中々だ。

これからの事を考えるとあまり無駄遣いはしたくないし、服はもう1着くらいは欲しい。

でも気に入っちゃったし・・・・ん〜・・・!



よし!鑑定してみよう!





リリィの花の精霊ワンピース:リリィが花の精霊をイメージして作ったワンピース。花の精霊が力を貸してくれやすくなる。





んん?花の精霊?力を貸してくれやすくなる?

これは効果が付く服なの?それともこの世界の服は全部効果つき?




「お客様どうされました?」



「他のも見て良いですか?」


















あれから色々服を鑑定しまくってみたところ、何かしらの効果があるものと何も無いものがあった。


ほとんど効果が何もないものばかりだったが、このリリィさんとやらが作ったシリーズ、略してリリィシリーズは何かしら効果が付いていた。



リリィシリーズは全部で13着、流石に全部買えないから厳選させて頂いた。




リリィの水の精霊ワンピース:リリィが湖の畔で作ったワンピース。洗濯が簡単。水の精霊に好かれ易くなる。回復魔法の威力があがる。



白に近い水色の長袖ワンピースで手首で広がるデザインだ。裾は膝下で、鎖骨が見えるくらいの開いた襟にはレースが付いている。品の良いデザイン。






リリィの大地のワンピース:リリィが鉱山で作ったワンピース。胸元の魔鉱石は友好の証。地の精霊が力を貸してくれるかも。野菜が育ち易くなる。解毒魔法の威力が上がる。



ライトベージュの膝上ワンピースで、パフスリープそでの可愛い半袖だ。胸の下からギャザーの切り替えになっていてオシャレなデザインだ。




私は最初手にした春の精霊ワンピースとこの2着をお買い上げする事にした。







下着2着、靴下3着、服3着で合計、金貨3枚銀貨5枚になった。




店のドアを開けると日が暮れていた。

何時間い居座ったの、私。




「なんか、長い時間すみません。」




「いえ、お買い上げありがとうございます。またのご来店お待ちしております。」




はい。また来ます。

ネーミングセンスイマイチだけど私はすっかりリリィシリーズの虜なのです。

こうなったら全コンプリートしてみせます。




「仕事探さなきゃな〜」





今日は服を揃えるのに1日が終わってしまった。

明日は早くから行動開始しよう。














宿屋に帰って来た私はマドリーさんに早速7日分の宿泊費を支払った。



「オリヴィアちゃん、夕飯はどうする?銅貨1枚で食堂で食べれるけど。」



「お願いします!」






宿屋の食堂には人がちらほらいた。


商人風の人や、いかにも冒険者!って感じの厳ついおっさん。スプーンを持つ手の小指が立っているのはギャップ萌えを狙っているんだろうか・・・。




「はいよ、おまたせ!」




ライ麦パンの様なパンと、ゴロゴロとしたお肉と野菜の煮込み料理、木のコップに入った水が目の前に置かれた。





「今日は少し豪華なのさ、ライドンさんが捕ったお肉をくれたからね!」



「ライドンさん?」




マドリーさんの目線の先には小指を立てた厳ついおっさんがいた。

あの人がライドンさんか・・・。

良く見るとお化粧してる?



ライドンと不意に目があってしまった。





「うふっ。た〜んとお・た・べ☆」





ウインクと投げキッスまでいただいてしまった。



ライドンさんはおっさんではなくオネェさんだったようです。





こうして私の異世界生活1日目は過ぎて行くのであった。






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