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『モブだって人生は激流 』 by紫陽圭

モブだって人生は激流 (番外編など)

作者: 紫陽 圭

本編主人公の周りでは・・・。

 ***** 番外編 1 『いきなり異世界』 *****


 私は『悠里亜那ユリアナ』。 突然この世界に引っ張り込まれた21歳のOL。 でも、もう元の世界には戻れないらしいし、兄という身内も一緒に来てるから、昔は忘れて自由に生きることにした。


 そして、そんな決心をした矢先に、恋に落ちた。 相手は本物の王子様、ただし変わり者。 新しい人生を頭の中で計画中に、彼(ティーバネス王子)が帰城して予定を聞いてきた。 興味と心配が入り混じったキラキラした眼をして・・・。 不思議な色合いの黒い瞳ではあるものの、豪奢ごうしゃな金髪とすらりとした長身に颯爽さっそうとした動きは『ザ・王子様』、思わずマジマジと見つめてしまった。 けれど、彼はそんな視線に慣れてるのか怒りもせず平然として気さくに話しかけてくる。 それからは楽しかった。


 しかし、後見人が決まり退城するとき、王子が『見送る』と付いて来て、そのまま一緒に馬車に乗り込んだときはあせった。 『まだまだ話したいことが有る』『視察帰りだから服装も所持品もこのままで問題無い』『後見人のソレス公爵は叔父だから何とでも説得出来る』と言って降りようとしない。 私もティーヴ(ティーバネス)への気持ちを既に自覚してたから嬉しかったけど、王子だよ? しかも現王の唯一の子供だったはずで、気にするなというのが無理だ。


 そうして、ゴタゴタしてるうちに更に状況は複雑になった。

 王に呼ばれて参上した令嬢が、王子を見かけて様子を見に来たんだけど、そんな彼女フィーリアと兄が恋をした。

 もともとの相性も合ったんだろうけど、すぐにお互いを気に入って、今度はフィー(フィーリア)が『私も行く』と言い出した。 銀髪に独特の蒼い瞳で、こちらも『ザ・令嬢』。 しかも王族同様の公爵令嬢。 絶対無理と思ったのに、ティーヴはアッサリ太鼓判を押すし、兄も退く気は皆無のようで、私が折れるしかなかった。


 結局、全員でソレス公爵家に行き、ティーヴの説得で2人で公爵領を拠点に冒険者をすることになった。

 とはいっても、魔法が無い世界には魔物も魔獣も居ないわけで、実際は護衛・狩人・便利屋なので、私でも問題無し。

 そう、旅の途中で判明した驚きの事実。 2人とも超ハイスペック。 知識は周辺諸国の特性にまで及び、話し上手だから私たち兄妹は旅の間にこの世界の常識のほとんどを覚えた。 

 剣術は護衛が要らないレベルで、母譲りの武術マニアの私たち兄妹にも負けない。 

 当然、基礎体力も有るし、ハイキングと遠乗りが好きなだけ有って乗馬の腕は抜群で旅行用の粗末な食事や馬車での寝泊りも平気という逞しさ。

 召喚(?)されたのにチートの無い私たち兄妹と互角。 ステータスも変わらず、特殊なのは全ての言語を読み書き・会話できることだけ。 遺跡調査とか有れば役に立つかも?!

 2人の性格と能力を知りながら渋っていた公爵だが、話し合いの途中で王宮から使者が来てからは完全に諦めたようだった。 公爵領を拠点とすることと、領内を出るときは許可を取ることを条件に、住居と冒険者ギルドへの紹介状と身分証明書(一部ごまかし)と当座の資金まで、あっというまに調えてくれた。 ティーヴとよく似た金髪に一瞬見惚れたのは内緒。

 さらには、フィーの父親にも筋を通せと手紙を持たせて送り出してくれた。 感謝。 もう遅いので、明朝みんなでディアナ公爵(フィーの父親)家へ向かうことにした。


 後日、3組合同結婚式と関連式典の説明を聞くことになる。 つながりに複雑な気分を味わったけど、美男美女の揃い踏みを見られるのは今から楽しみ。 私の後で選び直された巫女にも『後はよろしく』と伝えられるといいな。



 ***** 番外編 2 『巻き込まれて異世界』 *****


 俺は『海瑠カイル』。 いきなり、ユリアナに巻き込まれてこの世界に引きずり込まれた。

 ただの巻き添えの上、召喚術どころか魔法も無い世界だから帰すことができない? それ以前に占いで召喚されるなんて前例も無いし原因もわからないし? 

 神官たちを問いただしてもらちがあかないので、割り切って自由に生きることを決めたんだが、妹も同じ決意をしたようだった。


 ところが思わぬ事態発生。 妹が恋に落ちた。 相手は本物だが変わり者の王子様ティーバネスで、不思議な魅力の外見と興味津々の様子を妹は気に入ったらしい。 威張り散らしたり権力をカサにきないところは好印象だった。 後見人のソレス公爵家に向かうべく退城するとき、『見送る』と付いて来た王子が一緒に行くと言い出したときは驚いたな。 ティーヴ(王子)は頭の回転が速く、諦めさせるのに手こずった。


 そんなところに俺にまで予想外の出来事が起きた。 王に呼ばれて参上する途中でティーヴを見かけたから様子を見に来たという令嬢フィーリアを、どうしても欲しくなったんだ。 話してみると、これまた型破りな令嬢で、頭は良いし嫌味は無いし、気は強いけど好奇心には勝てない様子で、面白くってますます手に入れたくなった。 おかげでフィー(フィーリア)が『私も行く』と言い出した時は止めるべきかさらうか一瞬本気で迷った。 月の女神のような外見の公爵令嬢なんて、普通は長旅でさえ無理だろう。 一瞬の迷いにティーヴの太鼓判が決定打になり同行することにした。 ティーヴも思うところがあるようだが、俺も味方は多い方が助かるから『相互扶助』でいけるだろう。


 結局、全員でソレス公爵家に行き、ティーヴの説得で彼と妹はソレス公爵領を拠点に冒険者をすることになった。

 そう、2人とも外見だけでなく能力も超ハイスペックで文武両道。 知識は膨大ぼうだいで話し上手、剣術はそこそこの兵士でも瞬殺だろう。 基礎体力も有るし、乗馬はうまいし、厳しい環境にも文句1つ言わない。 特にフィーは令嬢としては完全に規格外だ、面白い。

 チートが言語能力のみと知った妹が『鳥や植物とも会話できれば面白いのに』と言ったが冗談じゃない。食材の最後の叫びなんて聞きたくないし、植物なんて周り中に有るんだから五月蠅うるさくてノイローゼになるのは確実だろ。

 2人の性格と能力を知りながら渋っていた公爵も、話し合いの途中で王宮から使者が来てからは完全に諦め、2人にいくつかの条件を飲ませて承認した。 そして、フィーの父親にも筋を通せと手紙を持たせてくれたのは、さすがの配慮だ。 感謝。 もう遅いので、明朝みんなでディアス侯爵(フィーの父親)家へ向かうことにした。


 で、ディアナ公爵家。

 ここで、フィーの外見が両親そっくりと判明。 銀髪は父親、ブルートパーズの瞳は母親と同じだ。 金髪は初代の王の直系にのみ、銀髪は初代の王の弟の直系にのみ、受け継がれるらしい。 男子だと瞳の色も父親から、女子だと瞳の色は母親から受け継ぐので、フィーの兄は侯爵と同じブルーダイヤの瞳なんだとか・・・。 なんにしろ、王族関係は全員美形だ。

 さて、ソレス公爵の手紙も見せ、説得開始。 俺は元料理人だし、フィーは野菜作りとスイーツ製作が趣味とのことで、オーガニックの食堂をやろうと考えていた。 それにしても、畑作業とか、フィーはトコトン変わってる。

 気張ってみたものの、意外にアッサリ承認された。 フィーの父親だけに、娘をで熟知してるからこそ反対しても無駄だとわかっていたし、やはりというか昨夜こちらにも王宮の使者は来たらしい。 むしろ『一生、手綱たづなを握って離すな』と言われた。 ソレス公爵同様の気配りぶりはさすがだ。

 王家からの指示で今後は、妹たちはソレス公爵が、俺たちはディアナ公爵が後見になるらしい。 なんか、王家はこの展開を読んでないか?


 明日、俺たちは店舗兼新居に、妹たちはソレス公爵領へと別れる。

 そして、それぞれの後見人と王宮へ挨拶と報告に上がって、王宮神殿で合同結婚式を行う。

 その時、立太子式・王太子の結婚式・立太子妃式までやるというが、ティーヴが蹴った王太子を引き受けることになったのがソレス公爵の次男(ティーヴの従弟)で、フィーが蹴った王太子妃を押し付けられた(!)のがディアス侯爵の娘(ディアナ公爵の姪=フィーの従妹)と聞いたときほど、微妙な気分になったのは初めてだったな。 2人とも合意だというから気にしないことにしたが・・・。 巫女の話では妹の考えが透けて見えて、あまりの『らしさ』に思わず苦笑してしまった。


 さぁ、新たな出発に向けて突き進むぞ!



 ***** 番外編 3 『瓢箪ひょうたんから駒』 *****


 いきなりですが、ホントに『事実は小説よりも奇なり』ですね。

 私、この度、王宮神殿の巫女に選ばれた、子爵家の元令嬢です。 巫女は家を捨てるので『元』になります。

 ディアナ公爵家からディアス侯爵家、そしてディア伯爵家へと続く流れのはしっこに繋がる家柄なので、私が選ばれたことに反対は無かったそうです。 娘が巫女になる可能性が有った人々はホッとして歓迎したとか。 家(身分)を捨て、結婚も出来ず、政略に利用することも出来ないとなれば、貴族として当然の反応でしょう。 一番ホッとしたのは当の令嬢たちでしょうけど・・・。


 そんな中、ウチでは、本人は大喜び、家族も安堵で、空気がゆるんでます。 私なんて、浮かれて飛び回りたいくらいです。

 巫女の主な仕事は、(魔法等が一切無い世界なので)朝夕の祈祷・薬草園の管理・薬剤調合・薬事研究です。

 で、私の趣味は、ハーブ栽培・アロマ調合・読書です、ドンピシャですよね。

 もともと畑作業以外ではほとんど屋外に出ないインドア人間なので神殿の敷地にこもるのも平気ですし、神話等は好物なので祈祷きとうも苦になりません。 

 天職というより、神殿に最適なお宝人材だと思います。 実際、選ばれなかったら神殿に直接押し掛けようかと考えたぐらいで・・・。

 本人の希望と適性に合ううえに、私が結婚願望皆無で困ってたのまで解決するんだし、家族も喜ぶのも当然ですよね。


 ってことで、ユリアナ様でしたっけ? 御馳走様です。 選んでくれた神官様、ありがとう。

 これから、私は人生を気兼ねなく謳歌おうかできそうです。



 ***** 番外編 『本音で内緒話』 *****


「王位継承権、要るもんか。 王籍抹消、望むところ。 恐いくらい上手くいったな。」

「勘当とはいえ後見有り、なんて好都合。 これで窮屈きゅうくつも退屈もしなくていいのね。」


「読まれまくってたというか、誘導された感じさえするんだが・・・」

「別に問題無いじゃない。 むしろ色々手間とか省けてラッキー?!」

「それもそうだな。」


「気になるのはアーシャ(アーシアナ)とレーヴよね。」

「あの2人に恋愛感情なんて皆無だったからな。」

「でも、社交界公認どころか一部では憧れの組み合わせだったわけだし、似合ってるよね。」

「見た目も性格も、な。 思考とかは絶対俺たちより王・王妃に向いてるよな。」

「言えてる。 私には王妃なんて無理だから出奔しゅっぽん計画立ててたし・・・。」

「お前もか。 お互い、駆け落ちという形で実現してるけどな。」

「私たち、似た者過ぎて恋愛感情皆無だったのよね。」

「でも、あの2人は似た者夫婦で上手くやれそうだな。」

「そこが私たちとの違いの1つでしょ。」

「そうだな。 ま、見守ることにするさ」



 ***** 番外編 『王宮の奥で』 *****


「さて、セカンドライフはどうしようか。」

「孫との触れ合いを最優先したいですわ。」

「ふむ。 そうすると譲位は出産直後か。」

「それはダメですよ。 出産は大仕事なんだから休養は必須ですよ。」

「いや、公務や付き合いはレーヴだけで・・・は無理か。」

「彼の能力的には可能でも、アーシアが落ち着かないでしょう?」

「2人とも真面目だからなぁ。 わかっていたからこそ、ではあるけどな。」

「ホントに『理想的な組み合わせ』だったのよね。」

「まったく。 まぁ、孫の為にもいつでも最大限の協力はするさ。」



 ***** おまけの裏ネタ *****   


 ・神殿でまつるのは太陽『アーク』と月『シア』と、それぞれの神とその眷属。

 初代の王は『アーク』を、その王弟は『シア』。

 実は、ヒロインは主人公特権で『アーク』+『シア』=『アーシア』だったりする。

『フィーリア』は『フリー』、『ティーバネス』は『定番』、『レーギユネス』は『レギュラー』、をもじって・・・(笑)。 召喚兄妹は海のイメージ。


 ・太陽神『ソール』、息子『ソレス』、娘『ソレイユ』。

(初代)王家・直系公爵家・直系侯爵家が名前を冠し、直系伯爵は『アッシュ』。

 名の最後にも男は『エス』、女は『ユ』の音を付ける。

 名前の音と、豪奢ながらも透けるような金髪が直系の証。


 ・月の女神『ディアナ』、息子『ディアス』、娘『ディア』。

(初代の王弟)直系公爵;直系侯爵・直系伯爵が名前を冠する

 名の最後にも男は『アス』、女は『ア』の音を付ける。

 名前の音と、中から光があふれるような輝く銀髪が直系の証。


 ・神格は、『ソール』、『ディアナ』、『ソレス』、『ディアス』、『ソレイユ』、『ディア』の順


 ・世界中が同じ宗教で、ここの王宮神殿が総本山。


 ・近隣諸国は現在は平和。


 ・季節や時間、十進法などは地球と同じ。 生活は中世から近代(電気発明前)程度。


 ***** (番外編など) 完 *****

一応、これで完結です。 続編等を書いたらシリーズリンクさせます。

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― 新着の感想 ―
[一言] どの作品も楽しく拝読させていただきました。 でもこの作品は登場人物が不快です。 コメディと理解してます。 しかし王子は国民の、令嬢は領民の血税で贅沢な生活をしておきながら、義務を果たす気もな…
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