曾祖父
妖魔の王はひ孫を見る。
「ども!はっじめまっして!月見空です」
「はじめまして。ひいおじいさま。月見秋です」
丁寧に挨拶をした秋に妖魔の王は首を捻る。
「双子か?始めてみるんだが」
「いえ。従兄弟です」
秋が丁寧に受け答えをする。
「ほー。お前が孫を紹介するとはな」
月見を見れば月見は溜め息。
「俺が死んだら親父に面倒見てもらうと思って」
「え!じいちゃん死んじゃうの!」
「例えだろ?」
「そっか!よかった」
秋の驚きに空は溜め息。
『つっきみぃ!あっそぼー!』
北斗が月見のが背後から抱き付き、月見は見下ろす。
『月見?』
「北斗、まだ何処にもいかないよな?」
『うん!妖魔の王は襲わないって言ったからいる』
満面の笑顔に秋と空は顔を見合わせて北斗を両脇から押さえ込む。
「ぎゅ!」
「魔術師なんだって?」
「つか怪我大丈夫なのかよ?」
『うなあああああ!』
北斗が暴れて二人から離れると月見にしがみつく。
『秋も空も怪我しているの知っているなら押すな!』
「だったら歩き回るなよ」
「そーそー」
「魔術師。歩いて平気なのか?」
いつも通りの黒に身を包んだ北斗に妖魔の王は聞く。
「うー」
『お腹空いた』
「あぁ。準備なら出来ている。まぁ、正装してもらおうか」
北斗が自分の服を見て言う。
『俺の正装これ。天照が作った服』
「天照が?」
『穴が開いても自己修復機能に、清潔を保つためのもの。滅多なことで傷つかない防御機能とかいろいろと、天照の最高傑作』
「ならしょうがないな」
『エンリィは?』
「外で人間の姫君と会話をしているはずだ」
『呼んでくる。イクア』
「おう」
イクアが現れ、北斗ともに走っていく。
「北斗の動物好きってあれの影響かな」
秋は不思議そうに呟き、それから妖魔の王を見る。
「キャラメル食う?」
口に入れようとして聞いてくる。
「お前らは俺が怖くないのか?」
「だってじいちゃん優しいし」
「北斗が警戒していないのならお祖父様はいい妖魔ということになります」
「なんだかな」
とりあえずポケットからチョコを取り出して二人に渡しておく。
「子供たちはかわいくないが孫はかわいいものだな」
「可愛いんだって。空」
「俺はかっこいい方が好き」
「なるほど。自分の血ではなくよその血が流れているからこそかわいく思うのか」
一人満足そうな妖魔の王に月見は黙る。
「ぎゃあああああ!」
北斗の悲鳴が聞こえて来て、月見は慌てて庭へと走る。




